透明人間”の少年の優しさに心惹かれて告白した少女。見事、告白した相手からOKをもらえたものの……。人は見かけだけじゃないけれど、その「見かけ」こそがとんでもない事態を招いてしまった4コマ漫画に「こっわ」「理解してビビった」とTwitter上で2.4万以上のいいねが集まっている。

【4コマ漫画】「透明人間」を読む

■「僕で良ければ」の意味が変わる…考えるとゾッとする告白の裏側

話題を呼んだのは、オカトマト(@tomatokeikakuan)さんが1月、Twitter上で公開した4コマ漫画「透明人間」だ。

ある日、学校のウサギ小屋を掃除していたところを、何も言わずに手伝ってくれた透明人間の少年にドキっとした少女。

その優しさにときめいた少女は翌日、「私と付き合ってください!」と思い切って告白。透明人間の少年は「僕で良ければ…」と告白を受け入れる。

無事に恋人同士になり、手を繋いで笑顔を見せる少女。だが相手の少年は「はじめて知った」と内心でつぶやいていた。「この学校に僕以外にも透明人間がいることを」、と。

最後の少年のモノローグを考えると、ぞっとするような「人違い」が浮かび上がる4コマ作品。投稿には2万4000件を超えるいいねとともに、「1コマ目と3コマ目の人物違うんかい」「僕でよければじゃないのよ」「話の作り方が美味すぎる」「透明だから顔も解らなきゃ、前者が無言で手伝ってくれてたから声でも判別出来なかったと…」と、オチの意味を察した読者からネタや構成にうなる声が多く寄せられた。

■「意味が変わる」仕掛けで生まれる“考えたくなる4コマ

本作のほか、Twitter上などで精力的にオリジナルの4コマ漫画を発表しているオカトマトさん。描く題材はさまざまだが、読者の意表をつくオチや考えて真相に気付くネタが光り、たびたび反響を集めている。また、Twitterのハッシュタグを活用し、同じお題で自由参加の4コマ競作が行える企画「ヨンバト!」(@yonkomabattle)や、4コマ作家の合同誌『闇鍋』の主催を行うなど、4コマ漫画に対する熱意の高い作家だ。ウォーカープラスではオカトマトさんに、4コマ漫画を描き始めたきっかけや制作上のこだわりについて話を聞いた。

――オカトマトさんが4コマ漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

「かつて週刊少年ジャンプの巻末読者投稿コーナーで4コマ漫画を募集していまして、それに投稿するために描き始めたのがきっかけです」

――今回の作品「透明人間」はどんなところから生まれたのでしょうか?

「私は『闇鍋』という4コマ漫画の合同誌を主催しておりまして、それに掲載するために描いた作品です。『闇鍋』は一つのお題に対して複数の4コマ漫画作家が作品を制作するという同人誌でして、今回の漫画も“透明人間”というお題に沿って描いた4コマでした。同じお題なので他の作家と話の内容が被らないように、透明になってイタズラをするといった定番のアプローチではなく、姿かたちが見えないことによる“匿名性”という点に着目してネタを描きました」

――オカトマトさんの作品は、後からハッとしたり、考えオチを含んだ作品が多いように感じます。4コマを描く上で意識しているポイントを教えてください。

「オチが分かった後にもう一度読むと台詞の意味合いが変わって見えるように仕掛けを作っています。透明人間4コマの場合ですと、『ぼ…僕でよければ…』という台詞が、オチの前後で意味合いが変わっています。こういったダブルミーニングのような台詞を取り入れることで4コマという限られたコマ数の中で情報量を増やしています」

――これまで発表した中で特に反響の大きかった作品を教えてください。

「反響が大きかったのは2022年のクリスマスの時期に描いた4コマ『プレゼント』です。コメントで、最後のナイフの使い道についての考察が複数されていて面白かったです」

――自作の制作だけでなく、4コマバトル「ヨンバト!」も主催され、多くの作家が参加されています。この取り組みはどんな思いから始まったのですか?

「『ヨンバト!』はもっと多くの人に4コマ漫画を描いて欲しいという理由で始めました。4コマ漫画は老若男女全員が楽しめる遊びだと考えていまして、創作をしてみたいけど絵が描けない、時間がないといった方にぜひおすすめしたい創作活動です。たった4コマで完成し気軽に始められますが、追求しようとすると果てしない奥深さがあります。

また、イラストや音楽は始めたばかりの素人がプロを上回ることはほぼ不可能ですが、4コマ漫画はその限りではありません。奇跡のような輝きを放つ一本がいきなり生まれたりするんです。その喜びを一人でも多くの人に味わって欲しいです。4コマ漫画を描く人のモチベーションに繋がればと思い開催していますので、ぜひ渾身の一作をもって挑んでください」

――最後に、今後の創作活動での目標や抱負を教えてください。

「『闇鍋』や『ヨンバト!』をもっと盛り上げるために、まずは自身の知名度を上げていきたいです。最近の4コマ漫画はハイコンテクストでニッチな内容になっていることが多かったので、もっと幅広い層に楽しんで貰えるような漫画を目指していきたいです」

取材協力:オカトマト(@tomatokeikakuan)

無言の優しさに惹かれ、透明人間に告白した少女。相手の「僕で良ければ」の意味にぞっとする4コマ漫画/画像:オカトマト(@tomatokeikakuan)