国土交通省が2022年末、新たに85か所の踏切を「立体交差化すべき踏切」に指定。そこには京成高砂駅至近の2か所の踏切も含まれます。しかし検車区への回送線も兼ねるため、解消は容易ではなさそうです。

駅に近すぎるのも、遮断時間延長の要因

各地で深刻化している開かずの踏切は、解消に向けて少しずつ立体交差事業が進められています。しかし予算や立地の問題もあり、すべての踏切を立体交差化することは難しく、国土交通省地方自治体費用対効果や工事の影響による渋滞の激化などを勘案して、優先順位を決めています。

2022年12月、国土交通省は新たに85か所の踏切を「立体交差化すべき踏切」に指定。この指定を受けたひとつが、京成高砂駅東京都葛飾区)の東隣にある2つの踏切です。

同踏切は京成電鉄北総鉄道の列車が走ります。京成の方は運行本数の多い本線です。北総線方面には成田空港へ向かうアクセス特急が通ります。京成はもうひとつ金町線が分岐しますが、こちらは高架なので影響ありません。

京成高砂駅は京成にとって主要駅のひとつであり、ライナー以外の列車はすべて停車します。踏切は駅に隣接しているので、オーバーランなど不測の事態に備え、利用者が乗り降りしている間も閉まったままに。そのため、通常の踏切よりも遮断時間が長くなるのです。

電鉄と区の解消案は?

加えて、駅の東側には京成の高砂検車区が広がっています。ここに入線する電車は、スピードを落として踏切を通過するので、それも開かずの踏切化する要因のひとつです。もうひとつ東の踏切も、同じ事情から開かずの踏切となっています。

ちなみに駅脇の踏切では、通過する列車を「京成」「北総」「通過電車用」の3種類に区別して、それぞれの方向表示器で接近を知らせています。こうした例は京成津田沼駅千葉県習志野市)にもあります。

以上より2つの踏切は立体交差化が難しく、これまで後回しにされてきました。とはいえ今回、国土交通省から「立体交差化するべき踏切」に指定されたので、対策は講じなければなりません。ただし、検車区を移転させてからでないと立体交差化に着手できないでしょう。

現在、京成と地元自治体である葛飾区は、高砂検車区を現在地より約800m南東に移転させる方向で話し合いを進めています。移転先には多くの住宅が立ち並んでいることから、補償を含めた立退交渉などで時間を要することが予想されます。

市街地化された中での車庫移転を伴う立体交差化。完了にはまだ当分、時間がかかりそうです。

京成電鉄。写真はイメージ(乗りものニュース編集部撮影)。