■製菓製パンメーカーや物流業界が採用する食品加工機械&コンベヤ・メーカー


三重県四日市市に本社と製造拠点を持ち、創業75年を超える食品加工及び物流機械メーカー、三鈴工機株式会社は、早くから東京と大阪に営業拠点を設け、全国への販売、メンテナンスに対応してきました。2020年には、事業拡大とサービス拡充を図るために、大田区羽田旭町に新たに東京事業所を開設しました。
同社東京事業所の田中覚所長代理に、事業内容や東京事業所の移転の動機や狙い、今後の展望について伺いました。


三鈴工機株式会社東京事業所 所長代理兼FFA事業部東京FFA営業部部長の田中覚氏 事業部名の「FFA(フード・フレキシブル・オートメーション)」は、食品加工プラントの自動化、省人化を実現する部署
三鈴工機株式会社東京事業所 所長代理兼FFA事業部東京FFA営業部部長の田中覚氏 事業部名の「FFA(フード・フレキシブル・オートメーション)」は、食品加工プラントの自動化、省人化を実現する部署

■日本初のオンリーワン国産機、発明大賞装置など、技術開発力とシステム設計に強み


三鈴工機は、戦後まもなく、土砂用コンベヤ、工場の生産ラインや物流センターで使われる搬送用ローラコンベヤなど、モノの移動を効率化する「マテリアル・ハンドリング」関連装置の製造販売から出発。1960年代半ばから食品加工機械の開発生産をスタートしました。今では、名だたる大手製パン・製菓メーカーに軒並み採用されています。
「スーパーやコンビニエンスストアで販売されているパンやお菓子のうち、当社の機械で加工されている商品は少なくありません。製造現場の裏方を支える仕事ですが、皆さんと接点の多い身近な存在だと自負しています」(田中氏)
同社は、1970年代前半、製パン量産機が輸入モノ主流の時代に、米国の製パン機械メーカーといち早く技術提携し、大型製パン機械や食品加工プラントの国産化を実現。大手製パンメーカーから支持を受けている所以です。
「輸入機ではどうしても納品までに時間がかかる上に、部品交換やメンテナンスの対応も遅くなりがちです。お客様の新製品開発スピード、多様なニーズに合わせて機械装置を導入し、機動的にメンテナンス対応するために、国産化に取り組みました」(田中氏)
生産ラインの上流から下流まで同社の装置だけで組み、設計から稼働まで一貫してサポートできる総合システム・エンジニアリングメーカーとして高い評価を受けています。また、旧通産省の発明大賞を受けたプラスチックコンテナの遠心脱水装置(ドライカプセル)、個人農家や災害現場など幅広いユースに対応するグラビティコンベヤなど、独自の設計開発力も強みの1つです。


日本初の国産化に成功した「ドラムレス スパイラル コンベヤ」食品の冷凍・冷却・乾燥・熟成まで一貫して行える省スペースの食品加工プラントとして、国内で数多くの納入実績
日本初の国産化に成功した「ドラムレス スパイラル コンベヤ」食品の冷凍・冷却・乾燥・熟成まで一貫して行える省スペースの食品加工プラントとして、国内で数多くの納入実績

長さ1m、重さ5kg、コンパクトに収納できる同社独自開発の「丸まるコンベヤ」(MHE事業部MHE営業部東京MHEグループマネージャーの嶋津氏)
長さ1m、重さ5kg、コンパクトに収納できる同社独自開発の「丸まるコンベヤ」(MHE事業部MHE営業部東京MHEグループマネージャーの嶋津氏)

■支店機能を拡充したデモ&デポの戦略拠点、「Tokyo Innovation Base」


三鈴工機が東京に進出したのは創業から十数年たった1960年頃。初めての東京進出は神田でした。事業拡大と共に新橋、浜松町へ、東京都心部を中心に移転を繰り返してきましたが、いずれも営業拠点です。
「2019年に、関連会社を事業統合して事務所が手狭になったのを機に、初めは営業拠点の拡充を目的に新オフィスを探し始めました。しかし、ちょうど2021年の創業75年を控えた時期でもあり、100年企業を目指す布石として、飛躍に向けた新たなステップを踏み出す戦略も含めて検討することになったわけです」
いくつかの候補の中から同社経営トップの目に留まったのが、MFIP インダストリアルパーク羽田内の大田区産業施設「Techno Square Haneda(テクノスクエアハネダ)」です。この広々した2階フロアに、2020年9月、東京事業所「Tokyo Innovation Base」をオープンしました。
ここにはオフィスに加えて、多数の製品のデモを実際に見て試せる常設展示スペース兼テストラボである「イノベーション・ラボ」、グラビティコンベヤの中継基地としての機能を持つ「GC・デポ」を併設しています。
「昨今、工場見学が難しくなり、実物の機械装置を確認できる機会が減っているため、導入を検討しているお客様に実物を見てもらいながら説明したり、搬送テストを行ったりできる実演ラボとしての機能を備えています。加えて、本社工場で組み立てたグラビティコンベヤを完成品としてストックし、関東以北から東北方面に即納できる体制を整えました。製品によっては、競合他社が納品に1週間前後かかるところ、最短で翌日納品が可能です」(田中氏)です。


新オフィスの事務スペース。現在22名のスタッフが所属
オフィスの事務スペース。現在22名のスタッフが所属

スペースに限りのある展示会では置けない多数の実機を見られる「Innovation Lab」 見学や搬送テストに訪れる顧客も増えつつある。
スペースに限りのある展示会では置けない多数の実機を見られる「Innovation Lab」 見学や搬送テストに訪れる顧客も増えつつある。

動力部のないグラビティコンベヤや部品をストックする「GC・デポ」 顧客の必要なタイミングで出荷でき、機動的なサービス部隊の出動でメンテナンスのリードタイムも短縮
動力部のないグラビティコンベヤや部品をストックする「GC・デポ」 顧客の必要なタイミングで出荷でき、機動的なサービス部隊の出動でメンテナンスのリードタイムも短縮

■東京立地のメリット~技術革新と新たなブランド発信のベース


新しい東京事業所を現在地に選んだのは、第1に羽田空港から国内外へのアクセスの良さです。
「現在、売り上げの海外シェアは10%程度ですが、飽和状態の国内市場だけでは厳しくなるだけに、海外への進出も強化しています。海外展開を考えたときに、やはり羽田空港へのアクセスの良さは大きなメリットです」(田中氏)
さらに、今後の展望として、大田区の地の利も活かしたいといいます。
「製造拠点としては、今のところ三重県の本社工場のみですが、将来的には、大田区内に多いモノづくり系の中小企業とお互いに協力関係を構築し、開発品やメンテナンス部品の製作もこの場で実現できないかと模索中です。やはり、東京は、いろいろな意味で需要が一番多い場所ですし、多様なお客様からのニーズが寄せられる吸引力があります。ここを技術革新のベースとして、東京から新たなアピールポイントを発信し、会社を変えていける原動力になれば、オフィスを移転した甲斐があると思いますね」(田中氏)
100年企業に向けた同社の活躍が楽しみです。


大空間にゆとりをもって、オフィス、ラボ、デポが配置されている。
大空間にゆとりをもって、オフィス、ラボ、デポが配置されている。

■企業概要・お問合わせ先


会社名:三鈴工機株式会社 東京事業所
住所東京都大田区羽田旭町10番11号 MFIPインダストリアルパーク羽田2F
代表者:代表取締役社長 打田卓也
設立:1946年昭和21年)創業、1955年昭和21年)会社設立
事業内容:食品関連の加工機械・プラント、ローラコンベヤの設計製造販売
ホームページ: https://www.misuzukoki.jp/
お問い合わせ: https://www.misuzukoki.jp/contact/


■情報配信元


東京都企業立地相談センター 担当秋山
住所東京都江東区東陽2-4-24 サスセンター1F
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E-mail:4909@ilsc.tokyo
ホームページ:https://ilsc.tokyo/
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三鈴工機株式会社東京事業所 所長代理兼FFA事業部東京FFA営業部部長の田中覚氏 事業部名の「FFA(フード・フレキシブル・オートメーション)」は、食品加工プラントの自動化、省人化を実現する部署