アメリカの民家のデッキ下で、冬眠しているアメリカグマが発見された。この家の住人がTikTokにクマの動画を投稿したところ、2500万回以上の再生回数を記録したという。また家族はアメリカグマを追い払わず、冬眠が終わるまで見守ることにしたそうだ。『The New York Times』などが伝えている。

アメリカグマが見つかったのは昨年12月30日、米コネチカット州プレインビルにある民家のデッキ下であった。この日、ヴィニー・ダシュケウィッチさん(Vinny Dashukewich)とガールフレンドオリビア・アンウィンさん(Olivia Unwin)は、ヴィニーさん宅の裏庭で愛犬のピットブル“カリ(Cali、3)”と遊んでいた。すると普段は甘えん坊のカリが、屋外デッキの高台付近で執拗にうなり、奇妙な行動を始めたそうだ。ヴィニーさんがカリの行動を疑問に思ったその時、オリビアさんが「クマを見つけた」と叫んだという。

ヴィニーさんは当初、クマが本当にいるとは信じられなかった。両親や妹のタイラーさん(Tyler、28)と共に家の裏にある林を探したが、クマは見当たらなかったという。しかし家のデッキ下を見てみると、そこには大きなアメリカグマがいた。太ってうとうとと眠そうにしていたクマは、葉っぱと防水シートの上で伸びをしながら、デッキ下のスペースに収まっていたのだ。

ヴィニーさんは「クマはまったく動じませんでした。私と顔を合わせた瞬間にもクマは動きませんでしたし、反応もしませんでした。クマは見るからに気持ちよさそうにしていましたよ」と当時の様子を語っている。

ダシュケウィッチ兄妹は、何年も前から敷地の近くで多くのクマを目撃してきた。しかしこんなにも近くにクマが来たのは、今回が初めてだったそうだ。

タイラーさんがTikTokに投稿したクマの動画は、これまでに再生回数が2500万回以上にのぼるほど人気を集めた。そして一家はクマを“マーティ・ベアナード(Marty Bearnard)”と名付け、クマのInstagramアカウントまで開設した。アカウントの紹介文には「僕はクマのマーティ。プレインビルで家族のデッキの下に棲んでいるよ。暑い夏に備えて今は冬眠中」と書かれている。

投稿された動画には近距離で撮影されたマーティが映っており、撮影者の身の危険を案じてしまう。しかしずんぐりとしたマーティは舌をペロペロとするのみで、特に反応を示していないことが確認できる。

動画を見た人からは「この子のふわふわの顔を見て。とてもキュート」、「クマだと気づくのに時間がかかった」といった声や、「家賃を払わせよう」といったユニークな意見があがっている。

ヴィニーさんらはクマを見つけた直後、コネチカット州エネルギー・環境保護局に連絡をした。そしてクマの写真を見せたところ、オスのアメリカグマであることが判明した。同局はヴィニーさんらに対し、クマを騒音や刺激で嫌がらせをして追い払うか、数か月後の冬眠が終わるまで休ませるかのどちらかだと提案したという。

タイラーさんは「クマはまったく私たちに迷惑をかけていません。なのでクマを移動させる理由はありません」と話しており、クマを敷地内で冬眠させておくことを選んだ。

コネチカット州エネルギー・環境保護局によると、北米で最も小型のクマであるアメリカグマは雑食性で森林地帯を好むという。小型とはいえオスは体重500ポンド(約227キロ)を超えることもあるそうだ。

また同局の野生生物学者ジェイソン・ホーリーさん(Jason Hawley)によると、デッキやポーチの下に隠れ場所を求めるクマの報告は珍しくないという。ジェイソンさんは「毎年ポーチの下にねぐらを作るクマは10~20頭報告されていますが、事故は起きたことがありません。クマが移動を始める4月ぐらいまでは、住宅に留まらせるよう家の所有者に勧めています」と説明した。

しかし同局では「周囲の注意を引くために、クマが住宅にいることを公表しないでください」と人々に警告している。

というのも冬眠中のアメリカグマは体温と心拍数を下げるが、それでも反応することができるからだ。ペンシルベニア州動物委員会の野生生物学者エミリー・カローロさん(Emily Carrollo)によると、クマは妨害されると冬眠中でも素早く動くという。

アメリカグマが冬眠する主な理由は、食料が不足する時期にエネルギーを節約するためである。エミリーさんによると、アメリカグマは身を十分に隠せる場所を好み、時には「巨大な鳥の巣」に似たねぐらを地中に作るという。またポーチやデッキ、小屋など人間の居住空間を利用してねぐらを作ることもある。

エミリーさんは「アメリカグマが人間を襲うことは非常にまれですが、近くに暮らすことでクマと衝突する可能性があります」と警告している。

ヴィニーさんは今後、犬を裏庭に連れていくことはないものの、マーティの存在に悩まされてはいないという。そしてタイラーさんは「私たちはただ、マーティの様子を見守りつづけ、皆のために最新情報を投稿するつもりです。多くの人がクマに夢中になっているようですから」と話した。

ヴィニーさんらはクマのマーティをあしらったTシャツの売上金で、自然環境やクマの生息地を保護するためのチャリティー活動を開始している。

画像は『Tyler Dashukewich 2023年1月1日付TikTok「#bears #newengland」、2023年1月12日付TikTok「Marty is chillin」』『Marty Bearnard 2023年1月14日付Instagram「Hey !! We want to thank everyone for all the love and support we have received for Marty.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)

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