キョーラク株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:長瀬孝充、以下、キョーラク)と日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山口明夫、以下、日本IBM)は、二重構造で難易度の高いハクリボトルの外観検査を自動化するためキョーラク栗東工場の検品工程にAIを活用した外観検査システムを2022年1月から導入しました。キョーラクでは、この外観検査システムを土浦工場にも展開し、本年1月から本格稼働したことで、主要なハクリボトル製造ラインの検品の無人化と高品質の生産を実現しました。

キョーラクは1947年にプラスチック業界に進出して以来、プラスチック成形のパイオニアとして常に「スペシャリティの追求」を続けてきました。近年需要が急速に拡大しているハクリボトルは、高い鮮度保持性に加え、使いたい分量だけしぼり出したり、中身が減っても自立性に優れているという、キョーラク独自の特殊な技術で生産されるボトルで、その優れた特性により、醤油や食用油、化粧品などの容器として幅広く利用されています。

一方でハクリボトルは、内袋が外殻から剥離して縮む二重構造のため、従来のボトルに比べ、様相や異物の色の識別などの特徴でルール化するのが難しい不良があり、キョーラクでは、既存の検査装置で検出できない不良を高いスキルを持った担当者が交代で目視により検査していました。しかし、高いスキルを必要とする目視検査は、検査員による品質のバラツキや人材育成の難しさなどの課題がありました。

また、ハクリボトル製造ラインは24時間稼働していますが、検査員が確保できない場合、工場ラインを停めなければならず、最終検査の機械化による無人化が強く求められていました。そこで、キョーラクでは日本IBMとともに、AIを活用した外観検査システム導入のプロジェクトを開始し、目視検査の自動化を推進してきました。

今回発表した外観検査システムは、AIを活用して判別することで、複雑な様相の不良にも対応できるようになりました。また、新外観検査システムは、生産されたハクリボトルをリアルタイムに撮影し、画像をAI推論や学習を高速で処理できるサーバーIBM Power AC922」*1で解析することで、製品生産のスピード要件を満たしながらリアルタイムでの検査を実現しました。

これによりキョーラクでは、ハクリボトル製造ラインの検品を無人化することが可能となり、安定して高い品質での検査を継続しています。また、IBMが全世界でこれまで培ってきた画像認識プロジェクトにおける知見、経験を適用し、AIに精通していない利用者でも効率的な運用や追加学習によりAIモデルの精度を高めていくツールを整備し、ユーザビリティーの高いシステム*2を提供しています。

キョーラクでは、マヨネーズ容器で築いた多層成形技術による食品容器や医療用ブローソフトバッグ、自動車部品、工業部品、物流資材、水上太陽光発電用フロート、ブロー成型機の販売など、高度な成形技術により、様々な分野で幅広い商品を生み出しています。今回のAIを活用したボトルの外観検査システムの栗東工場、土浦工場への展開をはじめ、さらに新たな試みを継続していきます。

以上

注釈:
*1 IBM Power AC922は、IBM POWER9プロセッサーとNVIDIA V100 GPUアクセラレーターを搭載し、プロセッサーとGPU間およびGPU同士のNVIDIA NVLink接続により、ディープ・ラーニングやアナリティクスのアプリケーションにおけるシステム・パフォーマンスを大幅に向上させることができます。

*2 本システムのAI開発・実装は、IBM Systems製品の先進的なサービスの開発を支援するIBM Technology Servicesが行いました。

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配信元企業:日本アイ・ビー・エム株式会社

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