開発したIMS分析装置
シャープは、独自の大気中電子放出デバイスによるイオン化技術を搭載し、大気中の超微量のガス成分をすばやく識別できるIMS(Ion Mobility Spectrometry)分析装置を開発しました。
IMSは、大気中のガス成分をイオン化し、その移動速度(移動度)に基づいて成分を識別(※3)する技術です。これまでのIMS分析装置は、イオン化に放射性物質を用いるものや、オゾンなどの副生成物の発生が課題となる放電方式によるものが主流で、爆発物や薬物の検知など、ごく一部の用途に限定(※4)されていました。

今回開発したIMS分析装置は、当社が複合機の開発で得た知見を活かして独自に開発した、大気中電子放出デバイスを搭載しました。同デバイスは、従来、真空中でなければ難しいとされてきた安定した電子放出を、大気中で実現。イオン化された成分が本分析装置内を移動する際の「時間(横軸)」とイオンの「量(縦軸)」のスペクトル波形をデータベースと照合することで、成分や濃度の特定が可能となります。

なお、当社は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「IoT社会実現のための革新的センシング技術開発(※5)」プロジェクトに参画し、『大気中電子放出イオン化によるIMS呼気分析システムの研究開発』のテーマにおいて、IMS分析技術のさらなる研究開発を進めた結果、本分析装置を用いて0.1ppb(※6)の超微量な成分を検知できることを確認。また、アンモニアや酢酸など、10種類以上の異なる成分を識別できることも確認しています。本プロジェクトの成果は、本年2月1日(水)から3日(金)まで東京ビッグサイト東京都江東区)にて開催されるナノテクノロジー技術の展示会「nano tech 2023」のNEDOブースにて展示します。

当社は、IMS分析技術のさらなる研究開発を進め、呼気分析用途への応用をめざすとともに、空気中の微量物質の“見える化”技術を活かした用途開発にも取り組んでまいります。

※1 スキャン1回に要する時間は0.1秒以下です。対象成分の種類や濃度などにより、識別までの時間は変動します。
※2 イオン移動度分析。
※3 空気抵抗により、大きな分子ほど移動速度(移動度)が低下します。
※4 放射性物質は法的規制のため民生利用のハードルが高く、放電方式はオゾンなど副生成物の発生、およびそれにともなう検出精度の低下といった課題があります。
※5 実施期間:2020~2024年度(予定)
※6 parts per billion。濃度や含有量などに使用する単位で、10億分率を表します。0.1ppbの検知は、酢酸において得られたものです。


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