吉高由里子北村匠海が織り成す大人のラブストーリー「星降る夜に」(毎週火曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)。タイトルがTwitterのトレンド入りする反響を呼んでいる本作で、主人公・鈴(吉高)の“後輩”である新米産婦人科医を演じているディーン・フジオカ(DEAN FUJIOKA)も注目されている。さまざまな作品に出演してきたなかで、これまであまり見たことがないような役どころで魅力を放つ。(以下、ネタバレがあります)

【写真】吉高由里子とディーン・フジオカのオフショット

■30代後半で医師を目指した異色の経歴のキャラクターを演じる

同ドラマは、のどかな海街を舞台に、感情を忘れて孤独に生きる産婦人科医・雪宮鈴(吉高)と、音のない世界で自由に生きる10歳下の遺品整理士・柊一星(北村)が運命の恋を育んでいく物語。

ディーン演じる佐々木深夜は、鈴が勤めるマロニエ産婦人科の新米産婦人科医師。30代後半で前職を辞めて医学部に入り、45歳で医師になった異色の経歴を持つ。

ドジっ子ぶりに驚きつつも視聴者「かわいすぎる」

1月17日に放送された第1話の登場シーンから衝撃だった。

緊急手術のため鈴に呼ばれて院内を急ぐ深夜。美しい顔立ちにすらっとしたスタイルで、待合室の妊婦たちも見惚れるかっこよさだったが、直後、階段につまずいて検尿コップを持っていた看護師にぶつかってしまい、頭から盛大に尿を浴びてしまった。

ぶつかった看護師に呆れられ、別の看護師にも「ぼーっと生きてんじゃないよ、佐々木先生」と言われたところをみると、このドジっ子ぶりが通常運転のようだ。

分娩の対応中にテンパってしまう面がある一方、赤ちゃん誕生の奇跡に感動して涙をこらえて下がり眉の変顔になってしまうピュアさも。鈴とご飯を食べる場面では、買い出しに使ったビニール袋を几帳面に三角折りでたたもうとしていたり、おにぎりをくわえたまま他のスタッフのためにお茶を準備したり。

さらに1月24日放送の第2話では、赤ちゃん言葉を使う場面も。

視聴者からは「深夜先生がいちいちかわいすぎて」「もうキュンしかない」「癒やされる」といった声が続々と寄せられた。

ディーン・フジオカに対して、どちらかといえば硬派なイメージを持つ人が多いのではないだろうか。

2022年4月期の主演ドラマ「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~」(日本テレビ系)での頭脳明晰な警視正、2022年に映画化もされた主演を務めた月9ドラマ「シャーロック」(フジテレビ系)では危険な香りも漂う天才的な犯罪捜査専門のコンサルタント、そして“ロス”の声であふれた連続テレビ小説あさが来た」(NHK総合)で演じた実在の人物・五代友厚など、端正な顔立ちも相まってスタイリッシュでかっこいいキャラクターが印象に残る。

それらのキャラクターを魅力的にしているのは、内面をしっかりとすくい取る確かな演技力が備わっていることにもよる。本作ではそれがポンコツななかに秘めた部分があることを感じさせている。

第1話では、なぜ医師を目指したのか鈴に問われ「秘密です」と答えた深夜だったが、お墓参りで小さな地蔵菩薩も設置されている様子が映し出されていた。そして、第2話の過去を思い返すシーンで、スーツ姿の深夜が医師に「力及ばず、残念です」と言われ、「彩子は…死んだんですか? 子どもは…?」と問うと、医師が首を横に振った。第1話の描写と合わせると、妻子を亡くしたようだ。

そして一星が勤める遺品整理会社の社長・北斗千明(水野美紀)とは妻のことを知る旧知の間柄で、千明のせりふで「都庁であんなにさっそうと働いていた人がね…」と深夜の前職が明かされた。最愛の妻子を亡くす悲しみ、つらさは想像に難くなく、人生が大きく変わる出来事だっただろう。鈴は命の始まりを、一星は命の終わりをつかさどるが、深夜には命が深く刻み込まれている。

今回の役を新鮮だと捉えた視聴者も多い。そんなディーンによるポンコツぶりを楽しみつつも、物語にヒューマンドラマ的な深みを与え、かつ、鈴と一星の恋愛模様にも関係することが明かされている深夜をさらに注目していきたい。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

ディーン・フジオカ“深夜”は、吉高由里子“鈴”に医師としての仕事や心構えを教わる/「星降る夜に」第2話より (C)テレビ朝日