東京・南町田グランベリーパーク内にあるスヌーピーミュージアムにて、2023年1月14日(土)から7月9日(日)まで、企画展『きみの大好物はなに?』が開催されている。

本ミュージアムの企画展は約半年ごとにテーマを変えて展示しており、今回は「食」をテーマに構成。『ピーナッツ』には、あさごはんや学校でのランチボックス、スヌーピーが大好きなお菓子など、食べものがエピソードによく登場する。本展ではおいしそうなアメリカン・フードが描かれた貴重な原画約40点ほど展示し、ストーリーとともにアメリカ文化にも触れられる機会だ。ここでは、本展にあわせて来日していたシュルツ美術館のトラベリングエキシビションマネージャー ナターシャ・コクラン氏と、クリエイティブ・ディレクターの草刈大介氏による解説とあわせ、内覧会の様子をレポートしよう。

あさ、ひる、ばん。チョコチップ・クッキー、ルートビア、ココナッツ……

今回の企画展について草刈氏は「今回は【あさごはん、ひるごはん、晩ごはん、大好きなもの、苦手なもの】の5つのセクションに分けて展示をしています。『ピーナッツ』にどんな食べものが登場しているのか触れることができると同時に、作者のチャールズ・シュルツさんが何を好き・嫌いだったのかも知ることができる機会でもあります。それから、マシュマロやチョコチップクッキーなど、今では日本の日常でも触れることのできる食べものですが、これが連載された当時の日本ではまだ無かったもの。アメリカの日常的な暮らし、どのような食文化なのかがわかる機会でもあると思います」と説明する。

ナターシャ氏は「『ピーナッツ』を読むということは、シュルツさんをよく知ることだと思います。コミックの中にもシュルツさんの個性が出ていて、例えばシュルツさんとスヌーピーは同じものが大好き。チョコチップクッキーがよく出てくるのは、シュルツさんも大好きだからです」と解説。なるほど、スヌーピーが好きな食べものにはそんな理由があったのかと、早速ひとつ知識が増える。

左から:クリエイティブ・ディレクター 草刈大介氏、シュルツ美術館 トラベリングエキシビションマネージャー ナターシャ・コクラン氏、そしてスヌーピーも駆けつけてくれた (※通常、スヌーピーミュージアムにスヌーピーはおりません)

左から:クリエイティブ・ディレクター 草刈大介氏、シュルツ美術館 トラベリングエキシビションマネージャー ナターシャ・コクラン氏、そしてスヌーピーも駆けつけてくれた (※通常、スヌーピーミュージアムスヌーピーはおりません)

お二人が撮影に応じたスペースは、来場者も撮影が可能。フォトスポットにどうぞ

お二人が撮影に応じたスペースは、来場者も撮影が可能。フォトスポットにどうぞ

スヌーピーの好き嫌いは、シュルツさん譲り

「この作品では、チョコチップクッキーミルクにつけて食べながら、同時にテニスをしようとしているスヌーピーが描かれています。チョコチップクッキーを食べるときにミルクをつけるのは、アメリカでは割と一般的なこと。子供から大人まで大好きな食べかたで、学校から帰ってきたおやつに、夕食後のデザートとしても楽しまれています」(ナターシャ氏)

ちなみに、スヌーピールートビアも大好きで、チョコチップクッキーと同じくらい多くのエピソードに登場するそう。「どれくらい登場するのですか?」という草刈氏の問いには「数えられないくらいあります」と回答したナターシャ氏。今回はそれらの作品から選び抜かれた数点が展示されているのだそう。

好きな食べものばかりではなく、苦手なもののエピソードも。「シュルツさんはココナッツが苦手でした。そのため『ピーナッツ』に出てくるさまざまなキャラクターも“ココナッツが嫌い”だと描かれています。この作品では、“ココナッツだらけのパーティーをするよ”とチャーリーブラウンに話し、意地悪をしています」(ナターシャ氏)

ちなみに、ナターシャ氏自身はココナッツが大好きなのだそうが「アメリカでも好き嫌いがはっきり分かれると思います……」と笑って解説してくれた。

エピソードから垣間見る、アメリカの日常

続いて紹介されたのは【ひるごはん】のセクション。「ここには、アメリカの学校生活を思い出すようなエピソードが多くあります。アメリカでは茶色の紙袋にランチを入れたり、ランチボックスを持ってきたりするのですが、それもたくさん描かれています。親御さんが作ってくれるので、子供はランチの時間になるまで何が入っているかわかりません。カフェテリアでランチを交換するということもよく見受けられます」(ナターシャ氏)

「ここではなんと、筆箱の中にフライドポテトを入れて持ってきています。別のコミックではスイカを丸ごと持ってきてしまうような情景も描かれています」と、他にも面白いエピソードがたくさんあると話してくれた。

この企画展はどのように楽しんだらよいかという質問には、「ホットチョコレートやマシュマロなど、アメリカの子供たちが大好きな食べものがたくさん見られます。皆さんも子供時代に好きだったものを思い出しながら、展示を楽しんでください」と答えたナターシャ氏。草刈氏が「美味しいものを食べたときの自分の思い出や記憶と繋がって、あたたかい気持ちになる展覧会だと思います」と話したのも印象的だった。

また、展示の見どころはほかにも。「今回の展示ディスプレイには布がたくさん使われています。それはテーブルクロスやテーブルウェア、室内の様子をイメージしていて、あちこちに散りばめられているので、そこにも注目していただきたいです。また、壁には小さな解説もあるのですが、それは紙ナプキンをイメージしているもの。展示作品だけではなく、ディスプレイも細かく見ていただけるとうれしいです」(草刈氏)

企画展に合わせたオリジナルグッズも新登場

本ミュージアム1階のショップ「ブラウンズストア」では、本企画展にあわせて新商品も登場。マグカップやランチョンマットなどから、食にまつわるエピソードをプリントした生地を使ったアイテムなどもりだくさん。新商品は今後も随時発売予定となっているので、発売日など詳細は公式サイトで確認を。

スヌーピーミュージアムの企画展『きみの大好物はなに?』は、2023年7月9日(日)までの開催。入場券はイープラスにて発売中。


(C) Peanuts Worldwide LLC
文・撮影=SPICE編集部

スヌーピーミュージアム 企画展『きみの大好物はなに?』