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新社長 打越氏 トナーレを披露

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

トヨタフォルクスワーゲンルノー・日産・三菱グループなど、世界トップ3を争う自動車メーカーに迫る勢力となったステランティス・グループ。

【画像】新しい小型SUV アルファ・ロメオ・トナーレ【細部まで見る】 全62枚

フランスの旧PSAグループと伊・米の旧フィアットクライスラー・オートモビルズ(FCA)を統合して、2021年1月に誕生した。

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ステランティス日本法人の打越晋 代表取締役社長    ステランティス ジャパン

日本においては、現地法人としてFCAジャパンとグループPSAジャパンが存在していたが、2022年3月に統合されて「ステランティス ジャパン」となった。

そして昨日開催されたアルファ・ロメオ・トナーレの発表会において、11月に新社長となった打越晋(うちこし・すすむ)氏が、プレゼンテーションを行い、今後の戦略について語った。

打越社長は、「ステランティスになって、何が変わったの?」「ユーザーにどんなメリットがあるの?」と聞かれることがあるという。

そのうえで今後の戦略を示したのだが、注目は、“ブランドを越えて”ステランティスのクルマが買える・買いやすくなるという取組みだろう。

電動ラインナップ拡大 19車種

ステランティス・グループに属するブランドは現在、15ブランドになる。

そのうち日本で展開しているのは、「フィアット」「フィアットプロフェッショナル(商用車)」「アバルト」「アルファ・ロメオ」「ジープ」「プジョー」「シトロエン」「DS」の8ブランドになる。

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アルファ・ロメオの新型SUV「トナーレ・エディツィオーネ・スペチアーレ(578万円)」    ステランティス ジャパン

まずは、この8ブランドの車種を拡充して、豊富なラインナップを展開していくと、打越社長は語る。

(コロナ禍以前にはオペルの導入もアナウンスされていたが、今回のプレゼンでは言及されなかった)

とくに、電動化モデルを強化していくという。

今回発表されたトナーレは、アルファ・ロメオ初の電動車(マイルドハイブリッド)として日本に導入される。

これを皮切りに、アメリカンブランド(ジープ)で3モデル、イタリアンブランド(フィアット/アルファ・ロメオ)で3モデル、そしてフレンチブランド(プジョー/シトロエン/DS)では13モデル、合計「19の電動モデル」を日本に導入する予定だ。

そこで語られたのが、先の「ステランティスになったメリット」。今後、2つのメリットが生まれるという。

複数ブランド、1つのショールームで

まず1つ目のメリットは、ネットワークの拡充。

同社のミッションとして、「新車、中古車、サービスが、一体となって、お客様の要望を的確に理解し、迅速に対応することが重要」と説く打越社長。

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8つのブランドを擁するステランティス ジャパン。ブランドの垣根を越える取組みが始まる。    AUTOCAR JAPAN

2022年時点では、8つのブランドで349拠点を誇るステランティス ジャパンのネットワークだが、「迅速に対応するには、われわれのネットワークはまだまだ不十分」との見解を示した。

8つのブランドのユーザーは現在、平均で10km~15kmもの距離を走って来店する状況だと明かし、2025年には442拠点にまで拡大し、ショールームを増やすことで店舗間の距離を縮め、よりユーザーに有益なネットワークを構築していくという。

その鍵となるのが「クロス・インベストメント」だ。

例えば、「ジープを展開している販売店に、アルファ・ロメオもお願いする」「複数のブランドを取り扱うお店を拡大し、より利便性の高いネットワークにしていきたい」

また、「フィアットを展開しているお店の周りのお客様が、じつはフレンチの方が嗜好に合っているのではないか、というフレキシブルな対応も可能になる」と例を挙げ、「これこそ、ステランティスだからできる新たな価値だと考えます」と、新戦略に自信を見せた。

ブランドを越えても、金利のメリット

もう1つメリットが、買いやすさの提案。

現在、同社のユーザーの50%がファイナンス商品を利用しているという。

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アルファ・ロメオ・トナーレと打越社長    ステランティス ジャパン

ただ、ステランティス内の他のブランドへ乗り換える際は、さまざまな手続き・手数料が発生していたのが現状だ。

今後は、例えばフィアットで低金利のキャンペーンを利用していたとしたら、グループ内の他のブランド店で次のクルマを購入しても、継続してその特別金利を適用できるようにする。

つまり、ステランティス・グループの8つのブランドから、どのクルマを選んだとしても、ストレスなくファイナンス商品を選べるようにするのだという。

こうした取組みによって、ステランティス ジャパンは日本市場での販売台数の増加を目指す。

2022年、同社が抱える乗用車ブランドの販売台数は、合計約3万4000台。首位となったメルセデス・ベンツの約5万2000台にはおよばないが、ブランド別で2位となったフォルクスワーゲンの約3万2000台を凌ぐ数字となる。

今回のアルファ・ロメオ・トナーレを皮切りに、多くの電動車やニューモデルを登場させるであろうステランティス・グループの2023年に期待したい。


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