現在、アメリカでは海上スレスレを滑るように高速飛行する個性的な次世代海上モビリティ「シーグライダー」の開発を進めている企業が存在します。ここにJALグループが出資しました。

2025年までにサービス開始予定

アメリカ、ロードアイランド州に本拠を構えるリージェント(REGENT)が、海上スレスレを高速飛行する個性的な次世代海上モビリティ「シーグライダー」の開発を進めています。その同社が2023年1月26日JAL日本航空)が展開するコーポレート・ベンチャーキャピタルファンド「Japan Airlines Innovation Fund」から出資を受けたと発表しました。

この投資についてリージェントは「シーグライダーJALのグローバル・ネットワークに組み込むための調査の第一歩として機能するものだ」としています。

リージェントのシーグライダーは完全電動で、「飛行機の高速性と、ボートの低コスト性を兼ね備えた」乗りものとのこと。海上でのテストは2023年までに実施予定で、2025年までにサービスを開始する計画といいます。

シーグライダーは12人乗りで300km/hにて航行(飛行)でき、既存のバッテリー技術を用いた場合の航続距離は300kmとされています。推進はおもに、翼に8つ備わった電動プロペラ。あえて8発となっているのは、冗長性確保などの理由があるとしています。このほか、胴体(艇体)底部には、機体を持ち上げるための水中翼が取り付けられています。

シーグライダー、どんなスペック?

シーグライダーの飛行モードは3つあります。船のように航行するモード、水中翼を用いた高速航行モード、そして、翼状の物体が地面や水面近くを移動する際、それらのあいだの空気流の変化に物体が影響を受ける「地面効果」を用いて、海上スレスレを高速で低空飛行するモードという3つで航行します。

こうした斬新な設計や飛行モードにより、既存の一般的なボートでは実現困難だった高速移動を提供できるほか、電動の採用による環境負荷の軽減効果などが期待されています。

JALの担当者は「JALの新たな挑戦のリストにシーグライダーを加えることができ、シーグライダーの可能性を探求するためにREGENTと協力できることを光栄に思います」とコメント。今回Japan Airlines Innovation Fundが投資を実施したことで、リージェントは4500万ドル(約59億円)以上の資金を確保したとのことです。

リージェントが開発を進めている「シーグライダー」(画像:REGENT)。