帝国データバンク(TDB)は、2022年の「物価高倒産」動向調査を発表した。

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 ロシアウクライナ侵攻に端を発した物価高。原油や燃料、原材料などの「仕入価格上昇」や取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより発生した「物価高倒産」が急増している。足元では、エネルギーや食料品コスト、為替相場の上昇速度は落ち着きを見せつつあるが、依然高止まりの状況が続いている。価格転嫁が十分に進まない状況が続くなかで、今後も物価高倒産は引き続き増加傾向で推移するとみられる。

 TDBの調査によると、2022年の物価高倒産は320件判明し、前年の138件から2.3倍に急増した。単月でみると、2022年12月が48件。前回調査時点で最多であった同年11月の46件をさらに上回り、単月では6カ月連続で調査開始以来最多を更新した。

 320件を業種別にみると、「建設業」(70件)がトップとなり、なかでも「総合工事業」(39件)が目立つ。以下、「運輸・通信業」(64件)、「製造業」(61件)が続いた。業種詳細別では「運輸業」(64件)がトップ。その他、食品関連や工事業者が目立つ。これらの業種では、燃料高や食品、資材価格高騰の影響をとくに受けている。

 負債規模別にみると、「1億~5億円未満」が146件で最も多く、次いで、「1000万円~5000万円未満」(60件)、「5000万円~1億円未満」(51件)と続く。

 2022年12月に発生した48件を業種別にみると、「建設業」(12件)、「運輸・通信業」(10件)が2ケタを超えとなった。

 2022年の全国企業倒産件数は6376件で、前年比6.0%増と3年ぶりに前年を上回った。先行き不透明な状況が続き、今後も食品や日用品など生活に身近なモノから産業資材まで、各種値上げは続くとみられる。加えてコロナ関連融資の返済が本格化するなかで、価格転嫁が十分にできない中小事業者を中心に、物価高倒産は引き続き増加傾向で推移するものとみている。

TDB調べ、「物価高倒産」320件、前年比2.3倍に急増