
企業再生コンサルタント兼プロ経営者の中沢光昭と申します。コンサルティング会社や投資ファンドに長く勤めたあと、業績の悪い会社をよくするために、コンサルティングだけでなく、クライアントの要望に沿うために、雇われ経営者も投資家も同時に行い続けております。
会社の非常時になって改めてむき出しになる会社員の欲や栄枯盛衰の実態をたくさん見てきました。実際に目の当たりにした情報をもとに、会社員にとって実効性のある情報をお伝えしたいと思います。
◆効率的にカネを得るために大切な「人脈」
「人脈」という言葉はとても胡散臭い響きがあるとともに、効率的にカネを得るための最も重要なキーワードのひとつともいえます。
出世するのも仕事も得るのも能力の差ではありません。好印象を持たれているかとか覚えていられているかとか、いろいろな意味を含めて「人脈」です。
それでは人脈はどうやって築かれるものなのでしょうか?
◆「いい人」や「優秀な人」でないタイプこそ人脈を築く
筆者の経験上、必ずしも万人が認める「いい人」や「優秀な人」が人脈をたくさん持っているわけでもありません。
どちらかといえば、「いい人」や「優秀な人」とはいわれないタイプこそうまく人脈を築いて、生かしています。
今回はそんないい人でも、優秀でもないのになぜか人脈が広い人の特徴を挙げていきます。なお、男性と女性では特徴が異なりますので、今回は男性を対象にしています。
◆特徴①「連絡がとにかくマメ」
メールにしろLINEにしろ、常に待ち構えているのではないかというくらい返事が早いです。
また、社交辞令であろうとも「今度、ご飯でも行こうよ」「またみんなで集まろうよ」というセリフが出た際の段取りの早さも秀逸。
歳をとっていくほど日程調整するのも面倒くさくなっていきますが、そうした面倒を率先して引き受けます。
◆最適な場所を選んで素早く連絡を回す
また、お店も参加者の嗜好や集まる主旨に合わせてほどよく話しやすかったり、安かったりと、最適な場所を選んで素早く連絡を回すことができます。
新しく知り合う人の中で「やけに動きが早いな、段取りがいいな」と思っていたら、飲み会などは決まった店でしかやっていなく、その店からキックバックをもらっていたなんて黒い事例もあるので、やはり「いい人」ではありませんね……。
◆特徴②「誘うときに少しも恥ずかしがらない」
知り合って間もなかったり、普段接点がなかったりする同じ会社の他部門の人などに「今度、ご飯でも行きましょうよ」と誘うことを躊躇する人は多いと思います。
異性には異性で、同性には同性でなんとなく誤解されたらどうしようとか、どこか照れくさかったりとか、周りの人に聞こえていたら恥ずかしいなとか、今度対面した時に話そうとか、メールでいいかとかどうでもいいことを迷ったりする人が少なくないように感じます。
◆多くの人が迷っている間にセッティングを済ます
一方で、人脈を作ることが上手な人は、そんなことは微塵も躊躇しません。あいさつ代わりに「今度ご飯でも食べながらゆっくり話しましょう」と声がけできます。
そして、マメですから日程調整もすぐにでき、多くの人が迷っている間にセッティングを済ましているのです。
◆特徴③「大きな用がなくても会いにいく」
自分の都合がつけば、人が集まっている場には積極的に参加しますし、1対1でも人と会う機会を多く作っています。いわゆる「フッ軽」というやつです。
むしろ1対1を志向しますので、自分が空いている日があればその日に会える人を探して予定を組みます。
◆相手や状況や雰囲気に合わせて機会を設ける
会って話すことにどれくらいの時間を使うかといえば、サッと終わることもあれば、お酒を飲みながら長々と同席することなど、相手や状況や雰囲気に合わせています。
目安として50代以上の相手に対しては積極的に夜の席で同席しようとし、40代以下の相手に対しては昼の席で同席しようとする傾向にあります。
◆特徴④「何を考えているのかわかりやすい」
会話上手の人は聞き上手とよくいわれます。人脈が広がる人は、質問を上手に展開します。会って話しているとき、相手からすると「あ、この話をしにきたのか」という明確な質問があります。
そして、その返事を聞いて場を終了するのではなく、仕事でもプライベートでも現在自分が関心のあることや取り組んでいることを伝え、それに薄くでも関連するような質問をしたり、話題を広げたりします。
◆自分の考えを絶妙な塩梅で披露する
今すぐの成果を期待するわけではなくとも、いつくらいまでにどんなことをしたいのかなどを明確に共有しておきます。
相手が何を考えているのかわからないと、人は他人に対して警戒したり、不信感を持ってしまったりします。そういう点、自分の考えをすべて披露するわけでもありませんが、一部でもクリアすることで信頼関係を構築するわけです。
◆特徴⑤「時間を無駄にしない」
フットワークが軽い人の場合は家族を放ったらかしにしているかどうかというのは千差万別のようです。
ただ、家族を大事にしているタイプであれば、家族と過ごす時間もひとつの仕事のように「確保」しています。
時間の使い方も外でガンガン人と会ったり、ワールドカップを一緒に観戦するなど他人と共有できる話題、イベントに費やようにしていたりして、ただぼんやりやのんびりと過ごしている時間は少ないです。
◆人脈作りも「ひとつの大仕事」と捉える
のんびりとしたいときにも、のんびりという時間を誰かと過ごせないかと考えます。ゴルフに行ったりするのもその一環といえます。
人脈を作るというのも「ひとつの大仕事」として捉えるということでしょうか。会社も社会も所詮は人が集まっている集団です。
そのなかで生き抜くためには時間を有効活用すること、周囲の人間をいい気分にさせることが処世術として結局、最も重要なことなのでしょう。
【中沢光昭】
株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある

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