2022年、日刊SPA!で反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。今回は該当ジャンルが無くトップ10で紹介できなかったが、実は大反響だった記事を紹介する!(集計期間は2022年1月~11月まで。初公開日2022年7月21日 記事は取材時の状況)
 *  *  *

 様々な事情を抱えた人々が集まる夜の街。一見、華やかに見える水商売の仕事だが、トラブルや危険とは常に隣合わせ。従業員と客が揉めてひどい目に遭ったなんてケースは枚挙にいとまがない。

 キャバクラスナックなどで働く女性たちに、過去に味わったコワい体験を聞いてみた。

キャストの少ないガールズバーでは客から迫られることも…

 カウンター越しに接客するので、キャバクラよりも客と距離感のあるガールズバー。かつて大阪のガールズバーに勤務していたマナさん(仮名・25歳)の身に起きた事件とは……。

「大阪は小箱の店も多いので出勤が1人……なんてこともよくあるんですよ。私が以前、働いていたガールズバーは男の店長と女の子キャストが3人しかいない店でした。週末は全員出勤しても、平日は私と店長の2人きりの日もしょっちゅう。でも、店長が近所のバーに付き合いで飲みに行って店を留守にすることもあるので、そのときは私1人になってしまうんです」

◆客と2人きりになった瞬間「君、胸大きいね」

 そんなときに、客から迫られたのだという。

「特に怖かったのは店長がキャッチした新規客を連れてきたときです。少し酔っている客だったのですが、店長が外出した瞬間に、ジロジロと私のことを見て『君、胸大きいね』と言って。笑って流そうとしたら鼻息を荒くしてにじり寄って来たので、あまりの恐怖にその場で店長に電話をかけてしまいました。お客さんは、『冗談やって!』と叫びながら会計を多めに置いて逃げるように出ていきました。それ以来、新規客を入れるときは常に警戒するようにしていました」

 少人数制のガールズバーならではの恐怖体験かもしれない。

スナックに“色恋”を持ち込んだ元キャバクラ

 続いて話を聞いたのは、東京都内のスナックでママを務める綾子さん(仮名・40歳)。地元の客以外はほとんど来ないアットホームな店だが、色恋沙汰が起きたことで様子が一変する……。

「お客さんと女の子はみんな、地元の友達のように仲が良くて色恋とは一切、無縁でした。でも、ミユ(仮名・20歳)という子の入店をきっかけに店の雰囲気が崩れてしまって。ミユはうちで働く前、キャバクラで働いていたようで、お客さんとの距離がやたら近いんです。密着したり腕を絡ませたりと若いお客さんはメロメロでしたね。しまいには『ミユと付き合っている』というお客さんまで出てきたんです。それも1人じゃなくて3、4人……」

◆客同士がギクシャク

キャバクラならまだしも、うちみたいなスナックで色恋営業で股掛けとかやめてほしいですよ。お客さん同士の来店が被らないようにするのにも一苦労でしたね。でも所詮は狭い地元のスナック。お客さんもだんだん、ミユが他に付き合っている客がいることを知ってしまったんです。

 お客さんは怒り狂って『もう、店には行きません』と言うので、こっちは参りましたよ。その後、ミユは『本命彼氏と同棲することになったので辞めまーす』とあっさり退店……。散々、店を引っ掻き回し嵐のように去っていきました……」

◆「芸能人に会わせてあげるよ」業界人ぶる黒服の正体

 最後に話を聞いたのは関西のキャバクラに勤務するリナさん(仮名・26歳)。

キャバクラの黒服って怪しい人や変わった人も多いんですよ。私が前に働いていた店に黒服として入店したTさん。『以前は六本木の高級クラブで働いていた』『芸能人の知り合いも多いし好きなアイドルとかいたら会わせてあげる』と。

 私は胡散臭いな~と思っていたのですが、店の新人ちゃんは本気で信じていて『アイドルの◯◯君に会いたい!』とTさんに頼んでいました。そんなある日、新人ちゃんが『Tさん芸能人の◯◯と飲んでいるからおいでよ!』と言われたんです。私はTさんのことをどうしても信じられなかったのでやめたほうがいいんじゃないの?と伝えました。結局、新人ちゃんはTさんの誘いを断ったようです」

◆「今でもゾッとします」

 そんな黒服の正体が数ヶ月後、“めくれる”ことになる。

「私が退店した後、Tさんが逮捕されたという話を聞きました。『芸能人に会わせてあげる』と女の子を騙してわいせつな行為をしたそうです。他にも余罪があって、私達が働いていた店の更衣室にもカメラが仕掛けられていたそうです。もし、あのとき、新人ちゃんがTさんの誘いに乗っていたら……と思うと今でもゾッとします」

 なお、リナさんは店にドレスで出勤しており更衣室で着替えることはなかったため、被害は免れたようだ。夜の世界には疑わしい人間や胡散臭い人間も大勢いる。それらの被害に遭わないためには自分で身を守るしかないのだ。

<取材・文/カワノアユミ>

【カワノアユミ】
東京都出身。20代歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在は夜の街を取材する傍ら、キャバ嬢たちの恋愛模様を調査する。アジア日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウント@ayumikawano

※写真はイメージです(Photo by Adobe Stock)