1980年代前半、日本の一部家庭では本格的なパソコンが導入され、「マイコン」に沸いた年とも言え(人気ドラマ『太陽にほえろ!』でも「マイコン」とあだ名される刑事が登場したのもこの時期)、コンピューターがより身近になっていた。この頃には自分でプログラミングを組む中高生も登場しており、まさに未来のIT社会を感じさせる時代でもあった。

 さて、そんなマイコンブーム真っ只中の1985年。高価なマイコンを狙った万引き少年グループが東京都内で逮捕された。少年グループは11名で構成されており、全員が大田区の中学校に通う3年生であった。彼らはある種「天才的」とも言える万引きの腕を持っており、百貨店や電気店などから金目のものを中心に盗んでいた。

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 主にターゲットになったのは当時、出始めだったポケットパソコン(ノートパソコンの原型)であり、その後もラジカセを14台、腕時計を15個、カセットテープ100本と当時話題を集めていた高級品を次々に盗んで行った。さらにはどうやって盗んだのか、書店に入れば本棚に並んでいる人気漫画のシリーズを1巻~40巻をまとめて盗んでしまうなど、やりたい放題であった。
 
 彼らが何故、高価なものだけを狙ったのか。それは盗んだ後に秘密があった。なんと彼らは盗んだパソコンやラジカセを山分けし、クラスメイトに売りさばいていたのだ。さらには希望があれば、注文も請け負っていたと言い、ポケットパソコンなどは実際にリクエストがあり盗んだものだという。

 警察の調べによると、少年グループが盗んだ物品は450点以上、金額に直すと150万円以上の被害だと言い、かなりの長期間に渡って盗んでいたようだ。

 青少年による犯罪が続出していた1980年代前半は、このような少年による「万引きグループ」の横行も少なくなかったようだ。

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