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現在はヨガインストラクターとしても活動している小田茜さん

住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、欠かさず見ていたドラマの話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょう――。

「子どものころから母と一緒にトレンディドラマを見るのが好きで、大人の恋愛を疑似体験していました。とくに仕事を始めたころに見た『101回目のプロポーズ』(’91年・フジテレビ系)は“こんなドラマに出てみたい”という女優への憧れを強くしてくれた作品です」

こう語るのは、現在、ヨガインストラクターとしても活動している、女優の小田茜さん(44)。そんな小田さんが、最初に影響された女優は後藤久美子だった。

「“第二の後藤久美子を探せ”というコンセプトでオスカープロモーションが『国民的美少女コンテスト』を始めたほどの美少女。当時は連続ドラマや映画でも大活躍で、中山美穂さんと共演した『ママはアイドル』(’87年・TBS系)でも美少女ぶりを発揮していました。“年齢制限をクリアしたら、私も美少女コンテストに挑戦したい”と、ずっと思っていたんです」

後藤久美子と同じように、沢口靖子の美貌にもすっかり魅了されたという。

「映画『竹取物語』(’87年)は、かぐや姫をモチーフに描かれた作品。その映像は、まるでおとぎ話の中にいるような世界でした。豪華絢爛な衣装も素敵でしたし、巨大宇宙船の特撮映像も壮大で、エンディングに流れるピーター・セテラの『STAY WITH ME』も、名曲でした」

小田さんにとって、夢がたくさん詰まったドラマや映画は人生に欠かせないもの。後藤久美子沢口靖子が共演した『痛快!ロックンロール通り』(’88年・TBS系)、安田成美と緒形直人が共演した『同・級・生』(’89年・フジテレビ系)も夢中になって見ていた作品だった。

「書道や塾など、習い事が毎日あったので、家に帰って、ご飯を食べて、お風呂に入ったあと、母と一緒にドラマを見るのが、最大の楽しみでした。とくにトレンディドラマで描かれていた、都会的でおしゃれなライフスタイルは憧れそのもの。栃木県の田舎で育ったので、習い事からの帰り道、満天の星を見上げて“ドラマのような素敵な生活を送れますように”とお願いしていた記憶があります(笑)」

国民的美少女コンテストの応募資格を満たす12歳の誕生日が来るのを、ずっと待ちわびていた。

「実際に応募したのは、誕生日を目前に控えた11歳のとき。両親から反対される前に、母には『私はどうしても女優さんになりたいから、絶対に反対しないで、お願い』と、習い事帰りの車の中で、よく話していたんです」

とはいえ、グランプリへの道のりは険しく、遠い。

「ダメでもともとと、落ちたときに自分を慰める理由を用意しつつ、本気で選ばれるつもりで挑戦しました。選考を重ねて数名に絞られていくと、歌唱審査にもチャレンジすることに」

■『101回目のプロポーズ』のストーリー展開に毎回ドキドキ

小田さんはドラマだけでなく、歌の世界でも、恋愛を疑似体験していたという。

「音楽はノリノリの曲よりも、しっとりとしたラブバラードが好きな小学生(笑)。とくに岡村孝子さんが大好きで、歌唱審査で『夢をあきらめないで』(’87年)を歌うため、母と一緒にカラオケに行って練習していました」

こうした家族の後押しもあり、第4回全日本国民的美少女コンテストでグランプリに輝いた。

「その瞬間から生活が一変。毎日のように取材や撮影があったし、歌やウオーキング、演技のレッスンも始まりました。ほぼ毎日のように栃木から新幹線に乗って東京まで移動。学校に通いながらだったので、母とドラマを見る時間も減ってしまいました」

そんななかでも楽しみにしていたのが『101回目のプロポーズ』だ。

「仕事を始めていたので、毎回、欠かさず見ることはできませんでしたが、印象に残っているドラマ。それまでのトレンディドラマとは違って、イケメンとは対照的な武田鉄矢さん演じる主人公が、人気女優の浅野温子さん演じるヒロインにアタックする展開は、毎回、ドキドキしたし、予告を見ては母と次週の展開を予想したり(笑)。“3高”が男性に求められた時代、主人公の男性がプロポーズするシーンは本当に印象に残っています。たいした恋愛経験があったわけではないですが、真摯でまっすぐな気持ちは、人の心を動かすのだなって思いました」

毎回のラストシーンで流れるCHAGE&ASKAの『SAY YES』(’91年)も、大人の恋愛の世界に入り込める曲だったという。

「音楽好きの兄が、おすすめの曲をカセットテープに録音してくれたもののなかに『SAY YES』が入っていて、栃木と東京を往復する新幹線の車中で、毎日のようにくり返し聴いていました」

仕事関係者から、同ドラマの台本を見せてもらったことも、貴重な体験だった。

「いつもブラウン管を通してでしか見ていない世界を、別の角度から見られるようなもの。“憧れの女優の仕事に、ここまで近づくことができたんだ”と、台本を持つ手が震えました」

そんな経験を生かし、小田さんはドラマ『いちご白書』(’93年・テレビ朝日系)で初主演を果たした。

「ドラマでは安室奈美恵さんと共演。物静かなタイプでしたが、内に秘めた強さを感じました。ドラマ収録の合間にダンスのレッスンをしていることがあったのですが、キレがすごくて、体を動かすたびに空気を切る音が。華奢な体なのに、ストイックに練習する姿から、プロ意識を学びました」

こうした刺激を受けられたのも、ドラマのおかげだ。

「『101回目のプロポーズ』をはじめ、さまざまなドラマが夢を与えてくれたし、女優という仕事への興味を駆り立ててくれました。ただ、現実の恋愛に関しては、ドラマの世界に入り込みすぎてしまったせいか、なかなかうまくいかないんですよね(笑)」

PROFILE

小田茜

’78年、栃木県生まれ。小学校6年生のときに第4回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞し、’91年にはNHK大河ドラマ『太平記』でドラマデビューを飾った。’21年、離婚を機に約12年ぶりの芸能活動を再開。現在はヨガインストラクターとしても活躍している