電気代など、生活必需品が値上がりし、わたしたちの生活を圧迫しています。特に影響が大きいのが、低収入で困窮するケースも多い母子世帯。その苦しい実情をみていきます。

電気代は1年で3割上昇、灯油代は世界的原油高で高止まり…家計を大圧迫

東京電力による電気料金プランの値上げが世間を騒がせています。半数以上の家庭が契約している電気料金プランを6月の使用分から29.3%値上げすると国に申請したというもの。政府の補助金により、標準的な家庭では2月の請求分からは1,800円ほど負担は減るとされていますが、今回の申請通りであれば、7月請求分からは月2,600円あまり負担が増えるといいます。

ネット上には「電気代が高すぎて、生活を圧迫している」という悲嘆であふれています。

総務省統計局『家計調査 家計収支編」の最新調査となる2022年11月によると、2人以上世帯の電気代は全国平均1万1,560円で、前年同月比127.0%。都道府県別にみていくと、最も負担率が高くなったのは「和歌山県」で前年同月比157.6%。「大分県145.1%、「東京都」144.4%、「奈良県143.8%、「群馬県142.0%と続きます。節電をいわれているなか、使用料は減っているものと考えられますが、それでも全国平均で3割弱、負担が増しているという状況です。

値上げは電気代だけではありません。たとえば灯油代。特にここ最近の寒波で厳しい寒さにさらされているなか、灯油代の値上がりは大打撃。「電気代が高いから、灯油ストーブを買ったけど……灯油代も高い!」という人も。

灯油代は昨今の原油高により、高止まりの状況。そこに物価高が加わり、さらに高騰。総務省統計局 『小売物価統計調査』によると、全国の灯油(18リットル)の価格は2,021円。前年度同月比104.3%。2年前の12月と比べてみると、137.7%。4割弱も高く、寒さ厳しい雪国の生活を圧迫し続けています。

食費と光熱費は生きていくために絶対的に必要なところ。節約を努力しても限度があります。このような状況がいつまで続くのか、先が見えず、そこかしこから「生活が苦しい」という声が聞こえてきますが、特に収入の手段が限られている家庭からは「生きていくのも厳しい」という悲痛も。

手取り9万円のシングルマザー…雪国で生きていくための最低生活費

――寒すぎて、もう死にそう

今回の寒波で、まるで冷蔵庫のような室内。ストーブをつけたいが、灯油代が高くて、贅沢ができない……そんな悲痛の叫びは、日々奮闘するシングルマザーから。生活保護を受けているものの、生活は苦しく、そしてこの物価高。生きていくのも精一杯だといいます。

たとえば30代後半女性・パートタイマーの平均月収は推定11万2,249円(厚生労働省令和3年賃金構造基本統計調査』より算出)。手取りにすると9万円ほどです。

そして仮に北海道札幌市だとすると、最低生活費(2022年4月時点のデータ)は、小学生の子どもが1人いる場合で18万9,890円。その内訳は、「生活扶助基準額」として11万7,900円、「母子加算」として1万8,800円、「児童養育加算」として1万0,190円、「住宅扶助基準額」として4万3,000円。住宅扶助基準額は持ち家の場合支給されず、また実際の家賃のほうが低い場合は、実際の家賃額が支給されます。

基本的に生活保護費は、最低生活費と収入の差額が支給されますので、月々9万円強、手にすることになります。

最低生活費は、その地で生きていくために必要な最低金額。昨今の物価高は想定されていませんから、生活は日に日に厳しさを増します。実際にこの親子のように、灯油ストーブなどで暖をとるのを我慢して、家の中でもコートに毛布、などで耐え忍んでいる、というケースも珍しくないといいます。

最近は「異次元の少子化対策」に代表されるように、日本の先々について議論が交わされています。しかしそんな遠い未来でなく、いま、まさに「生きるのも大変」という人たちも。未来はもちろん「いま」にもクローズアップし、議論、さらには実行をお願いしたいものです。

(※写真はイメージです/PIXTA)