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 陥没穴(シンクホール)というと、地下水による浸食、何らかの人為的な変化で起きた地盤沈下を連想するかもしれないが、カルスト地形においても自然の穴が開くことがしばしばある。

 カルスト地形は石灰岩のような水に溶けやすい岩石でできている。そのため侵食されやすく、地下に洞窟のような空間ができることがあるのだ。

 地球に巨大な穴がボコボコと開いている様は神秘的だが畏怖の念を抱かずにはいられない。というか穴という穴は全て押さえておきたいというそこのあなたと私。ここでは自然が関与してできた10の有名な陥没穴を見ていこう。

【画像】 10. カッターラ低地(エジプト)

 エジプト北西部のカッターラ低地はアフリカで2番目に低い内陸地で、エジプト西部に広がる砂漠の一部でありながら、海面より低いところにある。

Quattara Depression - 01/07/1942 (1942)

 その底は浸水しており、塩類平原・砂丘・塩性湿地などにおおわれている。

 風による侵食と塩類風化によって形成された。西に20キロ離れた盆地には、塩と湖の街「シワ・オアシス」や「ジャグバーブ」などのオアシスもある。

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9. ダハブのブルーホール(エジプト)

 シナイ半島の東にあるダハブはダイビングスポットとして有名な観光地だが、中でも最大の見ものが海底にぽっかりと空いたブルーホールだ。

 穴の周囲は「サドル」という深さ6メートルの浅い海になっているが、そこから「アーチ」という長さ26メートルの海中トンネルに潜り込むことができる。

 アーチは天井の部分で深さ55メートル、底はだんだんと深く潜っていき、海側へ抜けるころの水深は120メートルもある。

 海岸から近く、潮の流れもないため人気のダイビングスポットだが、死亡事故が多発している場所でもある。

[もっと知りたい!→]ネバダ州の「悪魔の大釜」にiPhoneを投入したところ、不気味な叫び声が録音されていた件(アメリカ)

Diving the Blue Hole, Dahab, Egypt

8. マコチャ渓谷(チェコ共和国)

 モラビア・カルスト洞窟系にある陥没穴で、「マコチャ・アビス」とも呼ばれる。その深さは138.5メートルと、中央ヨーロッパ随一。

 神秘的な魔法にかけられたかのような美しさがある有名な観光地だが、自殺の名所でもある。

 なおマコチャの語源は「継母」だ。民間伝承によると、子連れの農夫と結婚したとある女が、血をわけた実の子供可愛さに相手の連れ子を穴に落として殺害。これを悔いた女は、自らも身を投げて自殺したのだという。

Macocha Gorge ||Czech Republic||

7. チェネットとチェヘンネム(トルコ)

 トルコ南部タウルス山脈にある2つの巨大な陥没穴。「チェネット」と「チェヘンネム」とは、トルコ語で「天国」と「地獄」のことだ。

 深さ60~70メートルのチェネットが天国なのは、おそらく信仰が関係している。この穴は階段で洞窟まで降りることができるのだが、その入り口に5世紀に建てられた聖母マリアの教会がある。

 道はさらに続いており、最後はやはり教会にたどり着く。これは元々ヘレニズム時代のゼウスの神殿だったものだ。

 一方、チェヘンネムが地獄なのは、大きさ60メートル、深さ120メートルの恐ろしげな姿ゆえかもしれない。

Cennet ve Cehennem Obrukları - Mersin (GoPro 1080p)

6. デビルズ・シンクホール(アメリカ)

 米テキサス州有数の洞窟で、直径20~30メートルある巨大な縦穴が、42メートル下にある100メートル以上の空間にまでおりている。

 テキサス州最大の洞窟で、1968年には国定自然区域にも指定された。

 デビルズ・シンクホールはエドワーズ高原の地下にはりめぐらされた巨大な洞窟ネットワークの一部で、その表面が崩れたことで形成された。

 内部にはおびただしい数のコウモリが生息しており、夏になれば100万~400万匹のメキシコオヒキコウモリが集まる。

Devil's Hole Adventure! | JONATHAN BIRD'S BLUE WORLD

5. エル・サカトン(メキシコ)

 深さ339メートルのエル・サカトンは、水で満たされた陥没穴としては世界で一番深い。

 深さ392メートル(正確には不明)のポッツォ・デル・メーロもあるが、これが陥没穴なのか垂直にできた洞窟なのかよくわかっていない。

 エル・サカトンの周囲には、陥没穴・温泉・洞窟・トラバーチン(温泉や地下水で生じる石灰質の沈澱岩)など、さまざまな面白いものが見つかっている。

 深さゆえにダイビングスポットとして人気で、潜水の世界記録もここで生まれた。

Cenote El Zacaton y La poza Verde en Aldama Tamaulipas

4. ケイブ・オブ・スワローズ(メキシコ)

 ケイブ・オブ・スワローズは、この地域の生物多様性の中枢のようなところだ。人間の手が入っていないために、サン・ルイス・ポトス保護自然区の重要な一部でもある。

 49×62メートルの楕円形の開口部が斜めになっており、低い側から穴の底までの深さ333メートル、高い側からなら372メートルある。

 穴の底には狭い縦穴がいくつかあり、その深さまで含めるならば、穴は一番深いとろで515メートルある。

 飛び降りてパラシュートを開くまで数秒フリーフォールを楽しめることから、エクストリームスポーツの愛好家にも人気のスポットだ。

Cave of Swallows - Schwalbenhohle in Mexico

3. グレート・ブルーホール(ベリーズ)

 カリブ海に面したベリーズには世界で2番目に大きな珊瑚礁があり、ベリーズ珊瑚礁保護区として世界遺産に登録されている。

 その珊瑚礁の1つ「ライトハウス・リーフ」に直径313メートル、深さ130メートルの大穴があいている。

 それが「グレート・ブルーホール」だ。世界中に大勢のファンがいる美しい場所だが、地元では「海の怪物の寝床」と呼ばれているそうだ。

What's At The Bottom Of The Great Blue Hole?

2. クルベノ・ジェゼロ(クロアチア)

 カルスト地形に形成された世界的に有名な湖で、世界で3番目に大きな陥没穴。「レッド・レイク」とも呼ばれる。

 いくつもの洞窟と、赤みを帯びた断崖絶壁が特徴だ。絶壁は上から水面まで250メートルあるが、水中にも続いている。

 湖の深さは約250メートル。つまりクルベノ・ジェゼロは上から下まで500メートルの深さがあることになる。

Massive Sinkhole - Crveno Jezero / Red Lake - Croatia Full HD

1. 小寨天坑(中国)

 世界最深の陥没穴「小寨天坑」は、直径610~537メートル、深さ671メートルの巨大な穴だ。陝西天坑群の中で最大のもので、すり鉢状の窪地が2段になった外観がユニークだ。

 地元では昔から知られていたが、世界中に知られるようになったのは、1994年イギリスの探検家が発見してからのこと。

 洞窟の内部はこれまで何度か調査が試みられたが、急流ゆえに思うように進んでいない。そのため小寨天坑の地質などは今もわからないことが多い。

Inside China's mysterious sinkhole – BBC REEL

References:Top 10 Most Famous Sinkholes Around the World - Listverse / written by hiroching / edited by / parumo

 
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自然が地球に開けた巨大な穴。世界的に有名な陥没穴ベスト10