香港の食肉処理場で働いていた男性が、屠殺しようとした豚に襲われ死亡した。同処理場では豚をあらかじめ電気ショックで気絶させ屠殺する方法を取っていたが、個体差により途中で目を覚ましてしまう豚も多いという。この事故死にはTwitter上で「自然界からの復讐」というコメントがあがっている。米ニュースチャンネルCNN International』、香港紙『明報』などが報じた。

1月20日、香港北部の郊外にある上水食肉処理場で61歳の男性従業員が豚に地面に叩きつけられ死亡するという事故が発生した。男性はスタンガンで電気ショックを与えていた豚を屠殺しようとしたところ、意識を取り戻したこの豚に地面に倒されたという。

その後同僚が、手に包丁を持ち左足に傷を負った姿で意識を失っている男性を発見したそうだ。男性は病院に運ばれたが、のちに死亡が確認された。

死因はまだ特定されておらず、上水市の労働局は調査を開始したという。

労働局は「お亡くなりになった方の死を悲しむとともに、ご遺族の方に心よりお悔やみ申し上げます。我々は事故の原因を特定し、責任の所在を明確にし、改善策を申し上げられるよう、できるだけ早く調査を完了する所存です。労働安全法の違反があれば、法律に従って措置を講じます」と声明で述べた。

家畜の食肉処理場を管理する市食品環境衛生局も声明で男性の遺族に哀悼の意を表したが、問題の豚がどうなったかは不明だという。

今回のニュースには、Twitter上で「かわいそうな豚」、「豚は“自分より先にこの男性を”と言ったはず」、「自然界からの復讐に違いない」といった意見があがっている。

なお動物保護団体「HOPE for ANIMALS」によると、豚の屠殺時には、電気ショックもしくは、二酸化炭素で意識を失わせるガススタニングという方法が用いられるそうだ。日本では一部の食肉処理場でガススタニングが行われているようだが、多くは電気ショックを与える方法がとられている。電気ショックで気を失わせて豚が動けなくなった後、胸のあたりの頚動脈を切って放血し、失血死させるという。ただ電気ショック後に、豚が足をばたつかせることは多々あるそうだ。

とはいえ高濃度の二酸化炭素を吸入させるガススタニングも豚を苦しませるおそれがあるとして、人道的な方法ではないと考える研究者もいる。また同保護団体は豚の個体差を考えた場合、電気ショックで豚が完全に気絶するかは定かではないと訴えている。

画像は『明報 2023年1月21日付「電豬未暈 屠工遭踢跌動脈中刀亡 事發上水屠房 死者包辦電擊屠宰 業界:一般兩人負責」(衛永康攝)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)

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