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EU圏内で販売に制限 2024年以降は輸出へ力

EU(欧州連合)で新たに導入された自動車安全規則「GSR2(一般安全規則2)」は、アルピーヌの人気スポーツカー、A110にも打撃を与えることになりそうだ。

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このGSR2は、従来のGSRをさらに強化したもので、EU加盟27か国および英国で販売される新車に適用される。大きく2段階に分けて発効し、1回目は2022年7月6日、2回目は2024年7月を予定している。

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GSR2によってA110の生産が中止されることはないが、欧州での販売台数は制限されることになる。

自動車の安全性を高めるために、アクティブセーフティ・システムを可能にするカメラとセンサーの搭載を義務付けており、対応が難しいトヨタGR86はすでに欧州市場での販売を制限されている。アルピーヌA110の生産が完全に終了することはないが、欧州での販売台数が制限されるため、輸出に目を向けざるを得なくなる。

アルピーヌのエンジニアリング担当副社長であるロバート・ボネット氏は、次のように述べている。

「当社の計画では、A110は2026年まで生産されることになっており、現在、需要も高まっています。アルピーヌは引き続き欧州のディーラー網を拡大しており、2022年には前年比3割増しの台数(約3500台)を販売しました」

「しかし、A110はEUの新しいアクティブセーフティ・ホモロゲーション規格『GSR2』に準拠していないため、2024年7月から欧州販売が制限されることになるのです。規格に適合させるために必要な装備を装着するにはコストがかかりすぎ、生産終了までにそのコストを回収することができないのです」

ボネット氏によると、アルピーヌは少量生産メーカーを対象とした特別免除を利用して、少量ながらも欧州販売を継続するようだ。

「EUは、年間販売台数が1500台未満の少量生産メーカーに対して、2年間のGSR2免除を認めています」

「アルピーヌはその免除により、2026年7月まで欧州市場でA110を販売し続けることができると考えています。また、EU圏外への輸出も視野に入れ、生産台数の確保を目指します」

現在、A110の販売台数の半分以上を占めているのは、アルピーヌのお膝元フランスである。

フランスCO2排出量ベースの自動車購入税「malus」は現在、ポルシェ718ケイマンのエントリーモデルに4万ユーロ(約560万円)近く課されるが、比較的軽量で燃費の良いA110には3000ユーロ(約40万円)しか課されない。

EUを離脱した英国でもGSR2が導入されるため、欧州大陸で販売できなくなった車両は輸出で捌くしかない。アルピーヌは輸出市場への本格的なテコ入れを始めようとしており、特に北米に熱い視線を注いでいる。


スポーツカーの首をしめるEU安全規制 アルピーヌA110に販売制限 トヨタGR86も……