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サステナブルだが安全性能も確保

自動車の環境負荷を減らすための研究開発や実用化が、比較的早く進んでいるように見えるのがタイヤだ。

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グッドイヤーは1月12日サステナブル素材を90%使用して作られた実証用のデモタイヤを発表した。公道走行に必要なあらゆる規制を満たし、性能と安全性に関する独自の社内テストに合格しているという。

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転がり抵抗が低いため、車両の燃費改善にもつながるという。    グッドイヤー

このタイヤは従来品より環境負荷が低いだけでなく、転がり抵抗も低いため、装着した車両の二酸化炭素排出量を削減できるとしている。

2021年と2022年には、グッドイヤー、ミシュランコンチネンタル、ファルケンの4社が、タイヤコンパウンドの石油由来成分を再生可能素材に置き換える取り組みについての進捗を発表した。その一例として、グッドイヤーとコンチネンタルはタンポポの根から採取した天然ラテックスを使用しており、ミシュランは発酵バイオマスからブタジエンゴムのバイオ版を開発する「Bio Butterfly」プロジェクトに取り組んでいる。

2022年初頭、グッドイヤーはサステナブル素材70%のタイヤを開発し、今年から量産・販売を開始する予定だ。サステナブル素材の使用率を90%にまで高めたタイヤについては、商業化に向けてサプライヤーとのさらなる開発と調整を行う必要がある。

サステナブル素材90%のタイヤは、見慣れた外観とは裏腹に、その構造は非常に複雑である。タイヤの12の構成要素に、17種類の素材が使われているのだ。

例えば、コンパウンド強化やタイヤ寿命の延長にはカーボンブラックが使用されるが、従来のような石油系製品を燃やして作られたものではなく、メタン二酸化炭素、植物性オイルリサイクルタイヤの熱分解油という4種類の資源からできている。

また、さまざまな温度領域でコンパウンドの柔軟性を保つために、大豆油が使用されている。大豆タンパク食品や動物飼料を製造する際に出る副産物だ。

グリップ力を高め、転がり抵抗を減らすために使われているシリカは、籾殻廃棄物(RHAシリカ)から作られたもので、これもまた、通常は埋め立て処分される副産物である。

グッドイヤーは、2030年までに業界初のサステナブル素材100%のタイヤを導入する予定であると述べている。

依然としてポリエステルも使われているが、ペットボトルなどプラスチック製品からリサイクルされたものだ。ペットボトルは基材まで分解され、タイヤコードの材料となるポリマーに生まれ変わる。

他にも、トラクションを高めるために使用される樹脂は、石油系樹脂の代わりに再生可能な松の木の樹脂を原料としている。

また、ラジアルタイヤの構造体であるスチールコードには、再生鋼材の比率が高いスチールを使用している。スチールの精錬に使用される電気炉は、従来の高炉に比べて温室効果ガスの排出が少ない。

さらに、再生可能なバイオ資源から作られたISCC(国際持続可能性カーボン認証)のポリマーも使用している。

今回発表されたサステナブル素材90%のタイヤは、あくまで技術を実証するためのデモタイヤである。だが、このような商品が実用化されていけば、さまざまな方向から自動車の環境負荷の低減を進めることができるだろう。


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