プロ野球はまもなくキャンプインの時期となり、開幕に向けて最終調整が始まる。スタートダッシュを決めたい全選手にとって、キャンプでの過ごし方が重要となる。

 現役時代、東京ヤクルトスワローズで、ゴールデングラブ賞を計10回受賞するなど活躍し、現在は野球評論家として活動する宮本慎也氏が自身のYouTubeチャンネル『解体慎書』を更新。ゲストにヤクルト石川雅規投手を迎え、キャンプでの調整方法について語り合った。

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 プロ21年目となった昨季は、16試合に登板し6勝4敗でリーグ連覇に貢献。年俸9000万円で契約更改した球界最年長の43歳は、通算200勝まで残り17勝と迫る。契約更新時には、「200勝という目標は僕の気持ちと体を動かす大きな原動力。目指すは開幕投手」と、大ベテランながらさらなる飛躍に向け力を込めた。

 そんな石川といえば、150キロを超えるような直球があるわけではないものの、正確無比なコントロールと巧みな変化球で打者を打ち取る技巧派タイプという印象を持つ人も多い。ただ、そんな彼は「真っ直ぐが基本にあって、それをしっかり投げてこそ変化球が生きる」という考え方を大事にしていること明かし、ストレートへのこだわりを語った。

 キャンプでもアウトローを中心に投げ込むという石川に対して、宮本氏はキャンプでの投げ込み量の多さを感じていた。若い選手と比べても多くの球数を投げ込むという石川は、その理由について「年々減ってはきていますが、人間なので体も変わってるので毎年投げ方も変わってくる。だからその年の投げ方を早く掴みたい。そのためにキャンプで球数を投げないといけない」と、様々な調整法がある中から見つけ出した自身の調整法を明かした。

 さらに多く投げることでフォームが固まり、能力も向上すると続けた。その一方で多く投げればその分、体には負担がかかる。ケガが一番の敵であるアスリートにとってこのジレンマは永遠のテーマかもしれない。そんな疑問について宮本氏が尋ねると、「ちゃんとした投げ方をしていると、僕はそんな怪我をしないと思っている。しっかり下半身を使って投げられれば、力を入れなくてもタイミングが合って強い球が投げられる。だから最低100球は投げた方がいいと思う」と、故障の原因は投球フォームにある場合が多く、投げ込みの量だけが原因ではないと考えを明かした。

 また、海外の選手たちはキャンプではあまり投げ込まず、シーズンの最初のうちは慣らして、そこから上げていくという考えが多いことも紹介。それぞれの調整法を尊重しながらも、キャンプでの投球練習の意味について石川は、「僕のイメージでは、これだけやれるんだと首脳陣にアピールする場で、ある意味ショーのようなもの」と、ただの調整の場ではなく、プロ野球選手として第一線で生き残るための大事な戦場であるという考えを持っていた。

 試合中だけがアピールの場とは限らない。キャンプを調整の場とは考えず、どんな時も貪欲に取り組んできた結果がプロ野球選手として活躍してきた長さに比例している。動画内では他にも、両者の考える『良い選手の条件』についても語っている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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