猫のコタツや妻のイクヨはん、亀のヨシオ、金魚のキンちゃんと仲良く暮らしている大塚くんは、漫画やイラストを描いたりしている“猫バカおじさん”――。「猫のコタツと大塚くん」は、温かい家族の日常を描いたエッセイ漫画だ。

【漫画】本編を読む

ギスギスしがちなこんな時世にこそより光る、“ゆるゆる”なタッチとストーリーの持つぬくもりに心がなごむ。そんな魅力いっぱいの同作から今回は、大塚くんが「かわいいという言葉では言い表せない」という、コタツの“ある魅力的な姿”に迫った。

ーー 今回、このエピソードを題材に選んだ理由を教えてください。

【大塚さん】今回の漫画に描いたような、猫のコタツがお腹を伸ばしてブランブランになっている状態は、これまで何度も見てきた光景です。でもある日、「なんでこの状態を『かわいい』と思うんだろう?」と素朴な疑問が湧きました。

コタツの“ブランブランな姿”を見たら、あまりのかわいさに誰でも胸がキューンとするとは思うんです(笑)。しかしそもそもなぜ、人間はかわいいモノを見て「かわいい」と感じるんだろう…。それが気になって、“かわいいとは何か?”を調べ始めました。

しかし、コタツのこの姿はただかわいいだけではなく、言葉では表せない“良さ”があるんです。何がこんなに僕の心を動かすのか?どのように“いい”のか?考えても結論が出ないので、そのまま漫画にしてみました。伝わったでしょうか…?

ーー コタツはどんなときに“ブランブランな状態”になるのでしょうか?

【大塚さん】いわゆる抱っこではなく、妻のイクヨはんがコタツを捕まえて移動させるときにこうなります。今回の漫画では、コタツ本人は「お手伝い」のつもりの「いたずら」をした際にこうなりました。

これは“猫ちゃんあるある”だと思うんですが、コタツは僕たちが忙しそうにしているときほど、よく邪魔をしてきます。例えば、僕とイクヨはんが2人でセカセカ家事をしていると、それを妨害してきたり、今回の漫画に描いたように物を落としたり…。そんなときはイクヨはんが背後からコタツを捕まえて、強制的に違う場所に連れて行くんです。と言っても2〜3メートルくらい移動するだけなんですが(笑)。

ーー そのときのコタツの様子を教えてください。

【大塚さん】 とにかくビローンと体を伸ばしきって両足としっぽをブラブラしながら、されるがままになっています(笑)。母猫に首根っこをくわえられて大人しくなる感じなのでしょうか。とにかく観念した様子で連行されています(笑)。

ーー “なんとも言えない絶妙な表情”だと作中にありますが、コタツはどんな気持ちなんでしょうね?

【大塚さん】 わかりません(笑)。ふてぶてしくも見えるし、「無」にも見える、とにかくなんとも言い表せない表情ですね。あの表情の奥深さをイラストで表現するのは僕には無理かもしれない…と頭を抱えながら描きました(笑)。「ちぇっ、捕まっちゃった」とか…?いや、そんな安っぽいセリフでは片付けられないですね。

そう考えると「無」、もしくは「無限」…いや「宇宙的」かな(笑)。とにかく、その“良さ”で世の中を幸せにするパワーを持った表情であることは間違いない、と“猫バカおじさん”の僕は思っています(笑)。

ーー ありがとうございました。

取材・文=前田智恵美/取材協力=大塚くん(Twitter:@KotatsuNekono)

観念した様子で連行されていく猫のコタツ/(C)猫のコタツと大塚くん