1月22日、海から約24キロ離れたイギリスのある農家の草地でアザラシの赤ちゃんが発見された。川から迷い込んだと思われるこのアザラシは、近隣住民らの協力のもと大型犬用のケージに保護されたのち、海に帰されたという。英国の公共放送BBC』などが伝えている。

ランカシャー州のウォルトン・ル・デールで暮らすレベッカ・エイダーさん(Rebecca Adair)は1月22日、海から15マイル(約24キロ)以上離れた農家の草地でアザラシの赤ちゃんに遭遇した。

動物看護師として働くレベッカさんはその日、犬の散歩をしていたところ近所に住むショーン・コーザップさん(Shaun Coathup)に呼び止められたそうで、当時の状況をこのように振り返った。

ショーンさんが私に向かって必死に手を振っていたので、ただの挨拶ではなく助けを求めていることに気づき、すぐに向かいました。すると驚くことに小さなアザラシがいたんです。このような草地にアザラシがいるなんて本当に信じられず、英国ダイバーズ海洋生物救助隊(British Divers Marine Life Rescue、以下BDMLR)に連絡して助けを求めました。私はペットを助けることに慣れていますが、アザラシは初めてで、とにかくアザラシを安全に守るためにできる限りのことをしようと思いました。それでBDMLRの到着を待つ間、ブランケットを使ってアザラシが危険な道路に近づかないようにしたんです。」

アザラシをクレート(輸送用のケージ)に入れて安全に海まで運ぶために、まずは複数の板で囲って誘導しなければならず、現場に到着したBDMLRはその板を持ってくるように応援を要請しましたが、到着までに1時間以上かかるとのことでした。でもその時点で発見から数時間が経過していたので、アザラシの健康状態が心配だったんです。なので私たちはその場で調達できるもので対応することにしました。私は近所の人たちに声をかけ、使用していないドアやゲートなどを使ってアザラシが逃げないようにして、その間にショーンさんが家から(大型犬である)ラブラドール・レトリバーのケージを持って来てくれました。凍てつくような寒い朝にもかかわらず、協力してくれた人々のおかげでアザラシを安全に誘導することができました。」

その後、アザラシは無事に海に帰されたといい、救助に協力したRSPCA(英国動物虐待防止協会)の動物救助担当であるケリー・ニックスさん(Kelly Nix)は今回のケースについて次のように述べている。

「このアザラシは海岸から18マイル(約28.9キロ)内陸にある川からやってきました。しかしこれは珍しいことではなく、以前にもこの川でアザラシが目撃されたことがあるそうです。彼らは通常、また海へ帰っていくのですが、このアザラシは迷子になってしまったのでしょう。」

アザラシを海に帰すにあたってBDMLRの専門家にアドバイスを求めたところ、この地域は犬の散歩に訪れる人が多く、アザラシが犬に怯えてさらに内陸に移動する可能性があるとのことで、川に戻すことを懸念していました。そこで私たちはフリートウッドにある王立救命艇協会(Royal National Lifeboat Institution)の基地に連れて行き、海に放すことにしました。最初は水を嫌がっていましたが、アザラシの赤ちゃんが海に戻っていく姿はとても心温まるものでした。」

その報告を受けたレベッカさんはこのように明かした。

アザラシが無事に海へ帰ったと聞き、私だけでなく近所の人々も安堵しました。アザラシが海へ帰る様子を写真で見て、あの寒さのなか3時間以上かけて保護した甲斐があったと思いました。本当に良かったです。」

画像は『BBC 2023年1月25日付「Lost seal pup found in field miles away from sea」(REBECCA ADAIR)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)

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