
アメリカ・ニューヨーク州の海岸に打ち上げられたザトウクジラの死骸が発見された。
ここ数か月、アメリカの米東海岸では、浜辺に漂着して死んでしまうクジラが相次いており、今回のザトウクジラは、これまで漂着したクジラの中でも体長10.6メートル(35フィート)と最大で、現在当局が剖検を行っている最中だという。
Dead whale washes ashore on Long Island beach
1月30日の早朝、ニューヨーク州ロングアイランドに位置するナッソー郡のリドビーチに、巨大なオスのザトウクジラが打ち上げられた。
午前6時半頃、発見されたクジラの通報を受けてナッソー郡警察が駆け付けたが、すでにクジラは死んでいたという。
今回の出来事は、ここ数か月東海岸沿いで起こっているクジラの漂着に関連している最新のもので、2週間前にはニュージャージー州の海岸線で死んだクジラが発見されたばかりだった。
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リドビーチがあるヘムステッドタウンの町政担当、ドン・クラビンさんは、このように話している。
浜にクジラが打ち上げられることは、ここ最近よく起きており、ニュージャージーのビーチでは、約1か月で7頭のクジラの漂着がありました。
今回のザトウクジラの大きさは、群を抜いて最大です。20年近く、こんな大きなクジラの漂着は見たことありません。
当局による死骸の剖検が進行中
死骸となったザトウクジラは、満潮になるため高台へ移動させなければならず、重いクレーンがビーチに運び込まれた。

しかし、クジラが重すぎてクレーンのワイヤーが断線してしまったことから、クジラを移動させるのは断念し、死骸の周りを柵で囲んで関係者以外がクジラに触れないよう措置が取られた。
それでも、巨大なクジラの死骸は地元の人の注目を集め、すでに多くの人がビーチに集まっている。
本当に悲しい光景です。きっともっと多くの人が、このクジラの死骸を見にやって来ることでしょう。(クラビンさん)
当局は、迅速に剖検を進行中であり、最終的には環境保護局を含む複数の組織と調整し、このクジラを埋葬することになるようだ。
Whale found dead at Lido Beach on Long Island
2か月で9頭のクジラが漂着も原因は未だ不明
連邦環境当局によると、これまでに2 頭のマッコウクジラと 7 頭のザトウクジラを含む 9 頭のクジラが、2 か月以内に東海岸の 4 つの州の沖合で死んでいるのが発見されている。
海上風力発電建設の騒音である可能性
海洋エネルギー管理局 (BOEM) によると、現在、ニューヨーク沖の連邦海域で 3 つの洋上風力発電プロジェクトが建設されていて、ニュージャージー沖の連邦海域でさらに 4 つのプロジェクトが建設されているという。
海上に風力発電を設置するには杭を打ち込まねばならないが、この時に激しい音が発生し、クジラやイルカなど海の哺乳類たちの聴力を低下させ、方向感覚を狂わせているという指摘は以前からあり、問題視されていた。
ニュージャージー州で複数のクジラが浜に打ち上げられたのが発見された時点で、環境保護団体の人々は、クジラの死についてより多くの情報が明らかになるまで、洋上風力発電の開発を中止するよう呼びかけた。
ニュージャージー州に本拠を置くクリーン・オーシャン・アクションは、クジラの死を調査し、建設工事や海洋風力発電所に責任があるかどうかを確認するよう連邦政府に求めている。
比較的短期間で多くのクジラの死骸が東海岸に漂着していることについて、米海洋大気局(NOAA)も懸念の表明を出した。
気候変動による活動範囲の変化が要因の1つと示唆しているが、現時点では明確な原因はわかっていない。
日本でも、1月に大阪市の淀川河口近くにマッコウクジラが迷い込んで死んだことが大きな話題となった。
追記:(2023/02/01)本文を一部訂正して再送します。
References:Dead humpback whale found washed ashore in New York amid uptick in endangered whale deaths along East Coast/ written by Scarlet / edited by parumo

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