仙台高裁の岡口基一裁判官(職務停止中)は、SNSへの不適切投稿をめぐり、女子高生殺害事件の遺族に44万円を支払うよう命じた東京地裁判決に対する控訴権を放棄することを決めた。代理人弁護士が1月31日に発表した。

岡口氏側は声明文で、「(遺族に対し)改めてお詫びの意を表する」とした。一方で、審理が続く弾劾裁判とは、「何らの関係性もない」と強調。以下のように牽制した。

「本件における民事上の責任を下に弾劾手続きを進めることは、弾劾裁判の制度趣旨、法律上の要件、行為と制裁のバランスのいずれの点においても不適当であり、引き続き罷免相当ではないことを訴える」

問題となった裁判は、岡口氏が2017年に起きた女子高生殺害事件の刑事判決をツイッターに投稿したことなどをめぐり、遺族の岩瀬正史さん、裕見子さん夫妻が起こしたもの。

東京地裁(清野正彦裁判長)は1月27日、3つあった投稿のうち、遺族が「洗脳」されているなどとする投稿について名誉毀損を認めた。遺族後は判決後の記者会見で「控訴も検討中」と話していた。

岡口裁判官「控訴しない」と発表 「遺族洗脳」投稿の賠償命令