1月31日ファイナルファンタジーVIIが発売された日だ。

 『ファイナルファンタジーVII』(以下、『FF7』)は1997年1月31日、当時のスクウェア(現 スクウェア・エニックス)から初代プレイステーション向けに発売された。前作の『FF6』から引き続き、プロデューサーは坂口博信氏、ディレクターを北瀬佳範氏が担い、音楽も植松伸夫氏が担当している。

 シナリオは主に北瀬佳範氏と野島一成氏が担当しており、世界設定は従来の『FF』シリーズの中世ヨーロッパ風ファンタジーから一転して、近未来SFとなった。
 そしてキャラクターデザインは前作でグラフィックデザイナーを務めた野村哲也氏が担当し、FF1から『6』のキャラクターデザインを務めた天野喜孝氏は、イメージイラストレーションとロゴデザインでの参加となっている。

ファイナルファンタジーVII ロゴ
(画像は『ファイナルファンタジー』シリーズポータルサイトより)

 本作が発売された1997年当時は、「テレビゲーム」と言えば平面上をキャラクターが動き回る2D作品が主流であり、立体感のある3DCGを潤沢に取り入れられる作品はまだ限られている状況にあった。

 その流れを一変させたのが『FF7』だった。3DCGによる、従来とはシルエットが全く異なるデザインのキャラクターたち。豊富な色数によって描きこまれた背景を、立体感のあるキャラクターが駆け回る。戦闘画面ではカメラアングルが上下左右に臨場感を持って遷移し、指示したコマンドをキャラクターがリアリティのあるアクションで実行する。

 そしてストーリーの重要なシーンでは、プリレンダされた3DCGアニメーション──いわゆる「ムービー」が流れる。現在に至るまで3DCGを用いた多くの作品がムービーを導入しているが、『FF7』はそれらの表現のパイオニアとも言える存在であり、後世に及ぼした影響が非常に大きかったことは想像に難くない。

ファイナルファンタジーVII ムービー
(画像はスクウェア・エニックス『ファイナルファンタジーVII』公式サイトより)

 『FF7』は現在もファンから大きな支持を受けている作品だが、その理由としてキャラクターとストーリーの魅力が挙げられる。序盤から大量に張り巡らされた伏線によって、ストーリーには常に緊張感があり、先へ進めば進むほど「続きが気になる」状態にプレイヤーは置かれることになる。

 主人公のクラウドは元ソルジャーのなんでも屋で、斜に構えた態度を取りがちな冷笑系の青年だが、『FF7』のストーリーにおいて最も謎に満ちた人物でもある。ヒロインはティファエアリスの2人(あるいは、そこへユフィを加えた3人)がおり、見た目も性格も各人各様で、それぞれの魅力を持っている。

 敵となるセフィロスは長身に長い銀髪、黒ずくめの服、長刀、といった非常に特徴的なビジュアルをしており、重要なシーンに登場するためムービーで描かれる回数も多い。主人公たちに厄災をもたらす張本人であり、セフィロスが登場するとストーリーが大きく動くため、プレイヤーの心に大きな存在感を残す人物だ。
 他の登場人物たちも重い背景を抱えており、プレイヤーはクラウドを通してそれらのエピソードをつぶさに体験していくことになる。

ファイナルファンタジーVII キャラクター
(画像は『ファイナルファンタジー』シリーズポータルサイトより)

 本作が作中で扱うテーマは大小さまざまあるが、最も目立つテーマは「環境破壊」であろう。登場人物たちの価値観や切実さ、作中で描かれる格差には、現在プレイしても遜色がない普遍性がある。

 本作は重いストーリーが展開しながらも、各所でミニゲームが挟まることが当時は驚きを持って受け入れられた。ジャンルもさまざまで、アクション、レース、シューティングタワーディフェンスなどがあり、ゲームの中にゲームがあるというインパクトだけでなく、どれもつい真剣にプレイしてしまう面白さがあり、メインストーリーそっちのけで虜になったプレイヤーも数多くいた。

ファイナルファンタジーVII
(画像はYouTube「ゴールドソーサー(7/24発売 FINAL FANTASY VII ORIGINAL SOUNDTRACK REVIVAL DISC)」より)

 他にも本作がプレイヤーに与えたインパクトとして、あるボス戦のBGMで「肉声をサンプリングしたコーラスが使用されていた点も挙げられる。これはプレイステーションの内蔵音源が可能にした表現で、あまりに衝撃を受けたプレイヤーが多かったせいか、ボスの名前と合わせて現在も語り草となっている。

 『FF7』は非常に大きな人気を獲得し、主人公のクラウドも魅力的で人気のあるキャラクターだったため、スクウェア(現 スクウェア・エニックス)作品ではクラウドが登場する自社コラボ作品が多数存在する。シミュレーションRPGファイナルファンタジータクティクス格闘ゲームエアガイツ、レースゲームのチョコボレーシング、アクション要素を盛り込んだRPGのキングダムハーツなど、ジャンルも多岐に渡っている。
 現在は任天堂スマッシュブラザーズシリーズなど、他社作品にも出演を果たしており、『FF7』の根強い支持をうかがい知ることができる。

『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』のクラウド・セフィロス
(画像は『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』公式サイトより)

 『FF7』の発売から数年後、世間では携帯電話が普及し、主要ハードもプレイステーション2へと移り変わって行った。その時期に『FF7』は「コンピレーション」の名を冠し、世界設定を補強する関連作品を4作展開している。各作品はそれぞれの頭文字を取って、『AC』『BC』『CC』『DC』の略称で呼ばれている。

 各作品を実際に展開された年代順に並べると、2004年のフィーチャーフォン向けアクションRPG『ビフォア クライシス ファイナルファンタジーVII(BC)から始まり、2005年のフル3DCG映像作品ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン(AC)、2006年のPS2向けTPSアクションゲームダージュ オブ ケルベロス ファイナルファンタジーVII(DC)、2007年のPSP向けコマンドRPGクライシス コア ファイナルファンタジーVII(CC)の4作が、一連のコンピレーション作品となっている。

ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン
(画像はYouTube「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN COMPLETE」より)

 そしてオリジナル版発売から20年以上が経過している現在、『ファイナルファンタジーVII』のリメイクが3部作で展開されることが予告されている。
 記事執筆時点で1作目のファイナルファンタジーVII リメイクは発売されており、追加エピソードのDLCを収録したファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』が最新作となっている。
 また、2作目となるファイナルファンタジーVII リバースは、2024年2月29日PlayStation5向けに発売予定だ。

 「生まれる前から伝説──」が『FF7 リメイク』のキャッチコピーである。これほど『FF7』という存在の強さを端的に表現した殺し文句があるだろうか。『FF7』がゲーム史に及ぼした影響は、たしかに伝説級であった。そして多くの期待を集めて発売された『FF7 リメイク』もまた、待望に応える新たな伝説を力強く作り上げようとしている。オリジナル版の発売から20年以上の月日を経てなお、発展を続ける『FF7』の今後に注目していきたい。

ファイナルファンタジーVII リメイク
(画像は『ファイナルファンタジーVII リメイク』公式サイトより)
『ファイナルファンタジー』シリーズポータルサイト『ファイナルファンタジーVII』はこちら

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