
「この商品、少なくなっている気がする……」あなたもそんなふうに思ったことはないか? 実は今、我々の周りでは多くの商品が「ステルス値上げ」(値段を変えず容量を減らす実質的な値上げ)されている。食品や日用品などのさまざまなジャンルの商品が、“ひそかに”少なくなっているのだ。
◆量を減らしてでも同じ価格にしたほうが売れやすい
日々ステルス値上げが行われる中で、我々はどう消費生活を送るべきか。今回は「ドケチ節約芸人」として知られるザブングル加藤氏と、年間350回以上のテレビ出演をするスーパーアキダイ社長の秋葉弘道氏の対談を敢行。消費者と小売店、それぞれの目線で語り合ってもらった。
――ステルス値上げにはどんな印象を持っていますか?
加藤:僕は企業さんの苦肉の策だと思ってますね。やっぱり値上がりすると消費者が買わなくなるんで、日本人らしいやり方だなぁって。
――悔しくはないんですか?
加藤:本当は……悔しいです!!って、完全に言わせたいだけですよね?(笑)
秋葉:売る立場からすると、298円と300円を超えた値段っていうのは印象が全然違いますから。100の単位が変わると躊躇しちゃうお客さんがかなり多いんです。だから正直、量を減らしてでも同じ価格にしたほうが売れやすいんですよ。
加藤:それ、消費者目線でもめっちゃわかります。アキダイさんは量を減らしたものってありますか?
秋葉:正直に言うと、お肉のトレイを350g入るものから320gにサイズを小さくして、量を減らしつつ価格帯はそんなに変えないことはありますね。やはりパッと見たときの価格が高いと売り上げに直結しちゃうので、一度の買い物の金額を抑えたほうがいいんです。
加藤:めっちゃ涙ぐましい企業努力ですね!
◆’22年はステルス値上げの商品数が尋常じゃない!
――’22年はステルス値上げをする商品も増えましたか?
秋葉:ステルス値上げって言葉が最近出てきただけで、実は量が減るのは前から日常的にあったんです。
加藤:そうなんですか!? てっきり最近のことかと。
秋葉:ちゃんとメーカーからお知らせがあるから僕らは驚かないんですけど、’22年はその数が尋常じゃなくて。
加藤:やっぱり多いんですね。ふと思ったんですけど、量が変わる前と変わった後の商品が同じ棚に混在することってあるんですか?
秋葉:普通にありますよ。ただ、極端に量や大きさが変わらなければ気づかない人が多いです。もし違いに気づいたら、古くても多い商品か、少なくても新しい商品のどちらを選ぶか、それはお客さんの判断に委ねていますね。
◆アメリカンビーフより国産牛が安いことも?
――さまざまな商品が値上がりするなかで、スーパーで賢く買うコツはありますか?
加藤:僕は肉を買うときは絶対にグラム単位の値段を見ます。そして、とにかく安いやつを買う。僕はケチって言われますが、経済の知恵で「経知(ケチ)」だと思うのがポリシーなんです。だからゲーム感覚で少しでもお得なものを探しつつ買います。
秋葉:お肉を選ぶときには意外な落とし穴もあるんです。例えば皆さん国産牛よりアメリカンビーフが安いと思っていますが、実際には国産牛の切り落としのほうがグラム単位では安い場合もあるんです。国産牛は高いと思い込んでスルーしちゃうと、もったいないですよ。
加藤:なるほどー。僕、味は全然気にしないからアメリカ産かオーストラリア産ばかり見てました。
◆節約したいなら特売品の組み合わせでメニューを決めるべき
秋葉:あと、晩ご飯のメニューを決めてからスーパーに足りない食材を買いに来る人が多いですが、本当はスーパーに来て特売品の組み合わせでメニューを決めたほうがいいです。やっぱり特売品ってその日一番の安くておいしい食材なので。ウチだとかいわれ大根を10円で売ってたりするので、そういうものも利用しつつメニューを組む。
加藤:やっす~! アキダイさんの近くに住んでたら毎日かいわれが食卓に並びますわ。あとは30%オフとか半額のシールがついてたら迷わず買って、小分けにして冷凍して長持ちさせますね。
秋葉:店側も売り切りたくて値下げしてるんで、むしろ助かります(笑)。
【お笑い芸人 ザブングル加藤氏】
現在はピン芸人として活動中。自他共に認める節約家で、著書の『手取り20万円台からはじめる3000万円貯金術大全』には自らも実践しているドケチ節約術が満載
【アキダイ社長 秋葉弘道氏】
グループ全体で年商39億円を売り上げる日本一有名なスーパーの社長。近著に『いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術』
取材・文/週刊SPA!編集部

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