カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 5億1500万年前の海に住んでいた「ホウキムシ(箒虫)」の化石を調査したところ、当時の環形動物は驚くほど複雑なつくりをしていたようだ。

 また、従来考えられていたより2億年も早く地球に登場していたことが判明したという。海の中で複雑な多細胞生物が爆発的に増え始めた「カンブリア爆発」に間に合わなかったとされる彼らだが、実はそうではなかったのだ。

【画像】 ほうきのような触手冠を持つ環形動物「ホウキムシ」

 この発見は、5億1500万年前の環形動物「Iotuba chengjiangensis」の化石から明らかになったことだ。

 この動物は、細長い体の先端にフェイクの花のような構造があり、どことなくホウキを思わせることから「箒虫動物(ほうきむしどうぶつ)」に分類される。

 驚いたことに、このホウキムシの化石には消化器と腎臓の痕跡が残されていた。従来の説では、このような複雑な体をした環形動物は、あと2億年たってようやく誕生したとされてきた。

2_e

化石堆積物から発見されたカンブリア紀のホウキムシの完全な標本 / image credit:ZHANG ZHIFEI

カンブリア爆発の時に誕生していた

 このことは、環形動物が生物史の一大イベント、海の中で複雑な多細胞生物が爆発的に増え始めた「カンブリア爆発」にきちんと間に合っていたということでもある。

今日見られる主な動物の門はカンブリア爆発で出そろいましたが、環形動物はこのパーティに間に合わなかったと考えられていました。

この主要なサブグループが多様化しはじめたのは、それから2億年後のことだとされていたのです

と、英ダラム大学のマーティン・スミス博士はプレスリリースで説明する。

 ところがホウキムシの化石によって、従来の説は間違いであることがわかった。彼らはカンブリア爆発というパーティに遅れたわけではなく、目立たなくてもちゃんとそこにいたのだ。

4_e

花のような、ホウキのようなホウキムシ/Image credit: Zhang Zhifei / image credit:

5_e

Image credit: Zhang Zhifei / image credit:

3_e

Image credit: Zhang Zhifei / image credit:

・合わせて読みたい→頭と体がちぐはぐな謎のカンブリア紀の古代生物。その分類学上の地位が判明(英研究)

隠れた系統がいる可能性も

 いないと思われた環形動物の祖先がカンブリア爆発にいたという事実は、まだ知られていない隠れた系統が多数存在するだろうことを示唆している。

 「こうした系統は、進化というハシゴの一番上の段のようなものです。このグループが、これほど早く登場したからには、カンブリア爆発の熱気の中に、現代の環形動物の多様性へとつながる未知の劇的な起源があったに違いありません」とスミス博士は言う。

 つまりは愛すべき現代の環形動物、ミミズたちには、私たちが知らないドラマチックな誕生ストーリーが秘められているということだ。少しは興味が湧いてきただろう?

 この研究は『Proceedings of the Royal Society B』(2023年1月1日付)に掲載された。

References:Ancient fossils shed new light on evolution o | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

複雑な構造を持つ環形動物「ホウキムシ」は考えられていたより2億年も早く誕生していた