「受験」というワードを耳にする機会も多い、この季節。そしてお決まりともいえるのが「大学に行っておけばよかった……」という悲壮感溢れる呟き。その理由はさまざまですが、最も多いのが「給与」についての後悔です。みていきましょう。

学歴は関係ないといわれても…やはり学歴による給与差は歴然

受験シーズンも真っ只中。首都圏では中学校受験が本格化し、その親も落ち着かない日々が続いていることでしょう。

そんなタイミングで決まって巻き起こるのが学歴論争。

――世の中、なんだかんだいって学歴

――大卒より稼いでいるけど、なにか?

――大学に行けばいい、というわけではない

さまざまな主義主張がされていますが、給与の平均値で比べれば、日本の社会、なんだかんだ学歴がものをいうことは明らかです。

厚生労働省令和3年賃金構造統計調査』によると、最終学歴高校のサラリーマン(正社員)の平均給与(所定内給与)は、月30.5万円、年収は500.8万円。一方、最終学歴大学のサラリーマンだと月39.4万円、年収で647.8万円。さらに最終学歴大学院卒となると、月46.7万円、年収で800.6万円になります。

ただ、高校卒の場合は、先に卒業して社会人となり給与を手にしているというアドバンテージがあります。生涯年収となると、どうなのでしょうか。留年や浪人などせず、ともに60歳まで働いたと仮定した場合、高校卒は1億9,982万円で、2億円まであと一歩。一方、大学卒は2億4,275万円。さらに大学院(修士2年)卒では2億9,798万円と、3億円に届く水準。

進学するにはそれなりのコストがかかりますので、それらを加味して判断することも重要ですが、高校卒と大学卒、大学卒と大学院卒では、最終的にそれぞれ「家、1戸分」ほどの給与格差が生じるのが現実です。

もちろん、これらは平均値で考えた場合で、進学しなくても稼いている人は、この日本に大勢います。ただ割合でいうと少数派というのが現実。「やっぱり大学に進学したほうが……」と給与格差に投げている人たちには、なんら慰めにもならないかもしれません。

「子どもの学歴」は、結局は「親次第」

大卒か、非大卒か。もちろん、自身が決めたことかもしれませんが、それ以前に「親の影響」も大きいでしょう。

文部科学省令和3年度 子供の学習費調査』で、親の最終学歴ごとの教育費をみていくと、小学校でも中学校でも高校でも、「親の学歴が高いほど子どもの教育にお金をかける」という傾向が明らかです。

【親の学歴別「子どもの教育費」】

◆親の最終学歴「中学校」12万4,748円/32万1,276円/8万9,560

◆親の最終学歴「高等学校」16万9,676円/31万1,910円/13万1,460円

◆親の最終学歴「大学」29万3,617円/40万3,687円/28万5,215

◆親の最終学歴「大学院」41万6,007円/50万5,486円/39万2,550円

出所:文部科学省令和3年度 子供の学習費調査』より

※数値は主たる生計維持者の最終卒業学校別に「学校外活動費」を比較したもの。左より、子どもが小学生(公立)/子どもが中学生(公立)/子どもが高校生(公立)

また「親が子どもにどの程度の学歴を望むか」で教育費を比べてみても、望む学歴が高いほど教育にお金をかける傾向にあります。

【親が望む学歴別「子どもの教育費」】

◆最終学歴「高等学校まで」7万9,799円/17万9,630円/5万0,973円

◆最終学歴「大学まで」28万6,159円/41万0,914円/27万1,498円

◆最終学歴「大学院まで」56万3,657円/ー/―

出所:文部科学省令和3年度 子供の学習費調査』より

※数値は希望進路別に「学校外活動費」を比較したもの。左より、子どもが小学生(公立)/子どもが中学生(公立)/子どもが高校生(公立)。—の箇所はデータなし

――親の学歴が高ければ給与もいいのだから、子どもの教育にお金をかける

――親が子どもに対し高い学歴を望めば、教育にお金をかける

当たり前といえば当たり前ですが、どれほど子どものお金をかけるかは、親次第といったところ。子どもの進学にも大きな影響を与えていると考えられます。「オレの給料が安いのは、親のせいだ!」というのはあまりに短絡的ではありますが、そう言いたくなるのも仕方がないことかもしれません。

昨今、「学歴不問」という風潮があり、「能力」が問われるシーンが増えています。しかし、なにかと「大卒以上」という前提がついて回ることも多く、非大卒だと選択肢が限られていることも。このような状況を打破できるだけの力を身に着けるか、それとも「とりあえず、大学は行っておけ」と背中を押すか、親としての判断が問われます。

(※写真はイメージです/PIXTA)