1971年に放送が始まった特撮テレビ番組『仮面ライダー』。現在でも新シリーズが作られ、2023年3月には庵野秀明監督の映画『シン・仮面ライダー』が公開されるなど、変わらない人気を誇っている。

 そんな『仮面ライダー』は、人気絶頂期の1971年1973年にはある社会問題を抱えていた。それは「仮面ライダースナック投棄事件」である。カルビーから発売されていた「仮面ライダースナック」は、スナック菓子1袋につき1枚の仮面ライダーカードが封入されていた。

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 ビデオデッキが普及していない当時、写真でライダーの戦いを振り返り、登場怪人の詳細なデータが記載されたカードは画期的であり、子どもたちの間で大人気となった。だが、その人気の結果、「おまけのカードだけを抜き取って、菓子を食べずに捨ててしまう」という子どもが続出したのだ。70年代は子どもにとって既に「飽食の時代」であり、お菓子よりもおまけが優先された「仮面ライダースナック投棄事件」は当時の大人たちに衝撃を与えた。

 だが、食べ物の放棄は仮面ライダーに夢中だった小学生だけではなく、中学生・高校生も同様だったようだ。1971年10月、愛知県の某飲料メーカーの工場内にて、保管されていた瓶入りコーラ1400本分の王冠(フタ)が何者かによって開けられ、放置される事件があった。

 王冠を開けられたコーラは全て駄目になってしまい、工場は大きな損害を抱えてしまった。しばらくして、犯人として愛知県内の中学校に通う少年2名が逮捕されたのだが、彼らがコーラではなく王冠だけを盗んでいたのは驚くべき理由であった。

 この時、この飲料メーカーでは王冠の裏に文字を印刷しており、当たりが出ると1等500円とホームサイズのコーラ3本、2等は100円、3等は50円、4等はコーラ1本が貰えるキャンペーンを行っていた。当時の500円は中高生にとっては大金であるため、一部の生徒の間でコーラの王冠集めが流行していたという。

 そんな中、コーラの工場が近くにあった某中学生2名はお小遣い欲しさに、栓抜きを片手に夜の誰もいない工場に潜入。数日に分けて1400本分の王冠だけを抜き取っていたというのだ。

 こうした事件が全国で相次いだためか、次第に王冠を使った飲料メーカーのクジ企画は行われなくなったという。

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