
すでに絶滅してしまった「マンモス」の復活を目指す研究チームが、次のターゲットとして「ドードー」を選んだ。
ドードーは、17世紀までマダガスカル沖の島に生息していた飛べない鳥で、オランダ人に発見されてから、わずか100年足らずで絶滅してしまった。
侵入してきた人間による乱獲と、人間が持ち込んだ動物にヒナや卵が捕食されたことによるものだ。
絶滅種の復活を目指す新興企業「コロッサル・バイオサイエンシズ(Clossal Biosciences)」は、このプロジェクトのため新たに1億5000万ドル(195億円)の資金を調達し、総額は2億2500万ドル(292億円)に達したそうだ。
【画像】 人間が絶滅に追い込んだモーリシャス島の固有種「ドードー」
ドードー(Raphus cucullatus)は、マダガスカル沖に浮かぶモーリシャス島に生息していた飛べない鳥だ。
シチメンチョウよりも大きな巨体で、で翼も尾羽はほとんど退化していた。ドードーの名前の由来は、ポルトガル語で「のろま」を意味する。
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1598年、当時無人島だった島へやってきたオランダの探検家によって発見され、それから100年足らずで絶滅してしまった。
モーリシャス島に天敵がいなかったことから、ドードーは飛ぶ能力をすてており、警戒心も薄かった。
そのおかげで人間に乱獲され、また人間が連れ込んだ動物(犬や豚、ネズミなど)に本体のみならず、ヒナや卵を捕食されてしまったことが、あっという間に絶滅した大きな要因だったとされている。

ドードーを復活させるための遺伝子を探せ!
どんなに優れた科学者でも何もないところからドードーを復活させることはできない。
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ハーバード大学の遺伝学者ジョージ・チャーチ氏が立ち上げたコロッサル社が提唱するアイデアは、ドードーによく似た現生の動物の胚に、ドードー特有の遺伝子を組み込むというものだ。
そのためにはドードーに一番近いとされる「ミノバト」やドードーのゲノムを解読して、「ドードーをドードーたらしめる遺伝子」を解明しなければならない。

プロジェクトの中心人物であるベス・シャピロ氏は、「ドードーは、人間のせいで生息地で生きられなくなり絶滅したという典型的な例です」と述べる。
「ドードーのゲノムを完全に解読する最初の研究者として、コロッサル社とモーリシャスの人々と協力してドードー復活に挑むことにワクワクしています」
最終的には、復活したドードーをモーリシャス島の自然にかえす計画であるそうだ。
Scientists recreating extinct Dodo bird
マンモスとタスマニアタイガーの復活はどうなった?
コロッサル社は、「マンモス」と「タスマニアタイガー(フクロオオカミ)」復活プロジェクトの進捗についても報告している。
それによるとマンモスチームは、アフリカゾウとアジアゾウのゲノムを解読し、「多能性幹細胞」を採取したとのこと。
また、編集の対象となるマンモス固有の遺伝子を絞り込み、それらを編集する技術も開発。さらに新しい研究所も設立したそうだ。
一方、タスマニアタイガーチームは、現生の動物としては一番タスマニアタイガーに近いフクロネコ科の動物「ダンナート (Kangaroo Island dunnart)」から多能性幹細胞を得て、それを編集する方法を考案。
また大きな成果として、タスマニアタイガーの胎児を育てる人工子宮の試作品ができたとのことだ。
ちなみにタスマニアタイガーの復活プロジェクトは、別の企業でも行っている。
一度は絶滅した動物が生きている姿を再び見られるようになるかはわからないが、カラパイアではこの興味深いプロジェクトを今後も追っていく予定だ。
References:Dodo next in line for de-extinction by scientists reviving the mammoth / written by hiroching / edited by / parumo

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