機嫌の悪い自分をアピールすることで周囲を思い通りに動かそうとするのが「不機嫌ハラスメント」、フキハラです。

疲れたとき・つらいときこそ意識したい!「自分の機嫌は自分で取る」ためのステップ

職場の人間でも恋人でも、嫌な空気を圧力にしてこちらに機嫌を取らせようとするのは正常ではなく、接しているうちにどんどん疲れてしまいます。

フキハラを押し付ける人にはどう対処すればいいか、振り回されないために考えたいことについてご紹介します。

不機嫌で相手の関心を引くのが「不機嫌ハラスメント=フキハラ」

仕事でもプライベートでも、嫌なことがあってネガティブな気持ちになるのは誰でもありますよね。

イライラを抱えるとそれを早く解消したくなり、八つ当たりのような振る舞いをしたり空気を読まない発言をしたり、周囲を振り回す人は多いものです。

自身の不機嫌さを武器にして他人に何とかさせようとするのが「不機嫌ハラスメント」であり、機嫌を取ってもらうことを無言で要求してきます。

本来、自分の感情は自分で何とかするのが筋であって、安易に他人の関心を利用したがるのは相手の負担を無視することでありNG。

「不機嫌ハラスメント=フキハラ」をする人はどんな心理なのか、またどう接すれば良いのでしょうか。

「フキハラ」をする人の特徴とは?

「フキハラ」をするのは“弱い”から

何だか怒っている人を見れば、「何かあったのだろうか」と心配したり、なかには「私が何か悪いことをしたのかな」と不安になったり、つい声をかけたくなりますよね。

「何かあったの?」「大丈夫?」と言うと仏頂面で「別に」など素っ気ない返事をよこし、そんな姿がさらにこちらを追い詰めます。

それにも構わず態度を改めない、自分が満足するまで相手に機嫌を取らせようとするフキハラは、付き合っていくほどにこちらの自尊心が削られていくため危険です。

考えたいのは、自分の感情を上手く扱えずに他人を頼って何とかしてもらおうとする心は幼稚であり、成熟した大人ではないという事実。

わあわあと駄々をこねて誰かに頭を撫でてもらいたがるのは子供の振る舞いであって、社会に出てからもそんな自分を平気で見せられること自体が心根の弱さの証拠です。

怒りを持つ人は威圧感があり怖いなと感じますが、「弱いからこんな姿をさらしてしまえるのだ」と思うのが正解。

年齢と相応の心を持つ大人なら、自分の機嫌は自分で取るのが当たり前です。

相手の弱さに向き合わない

他人を大事にしたいと思う人ほど、機嫌の悪い人が目の前にいると「何とかしなければ」と関心を向けがちです。

ですが、不機嫌なのは相手の問題であり、たとえばその原因が自分との衝突や喧嘩であっても、それをどう感じてどう対処するかは相手が自分で決めないといけないこと。

不機嫌の原因を自分にあると受け取ると、その解消まで自分の責任だと思ってしまいますが、それこそフキハラをする人の目的です。

「あなたのせいなのだから」と無言でイライラを出してきては「早く機嫌を取って」と迫るのは、そうやって大切にされる自分が見たいからであって、他人の力を利用して自己愛を満たすことと同じ。

「自分の感情を自分で扱えない弱さ」は相手の問題であり、それに向き合うと「何とかしてもらえる」実感を得た相手はどんどんこちらに依存してきます。

自分と他人の間にしっかりと境界線を引ける大人は、不機嫌の原因を見つめる強さがあります。

問題の解決を考えるにはエネルギーが必要であり、そのしんどさから逃げているのがフキハラをする人の実態と思いましょう。

その弱さに向き合うのではなく、「私の問題ではない」ときっぱり割り切って関わらないことが、自分のためでありその人との正しい境界線を作ります。

もしも責められたら…

放置を「見捨てる」と責められたら

恋人や配偶者がフキハラを押し付けてくる人だと、距離を取るのが難しく嫌な空気に耐えられなくてつい構ってしまう、という人は多いですよね。

近い距離にいる人の悪い状態を何もせずにいるのはまるで見捨てるように感じられ、相手からもそう責められると「私が悪いのだろうか」と悩みます。

フキハラをする人は、そうやって自分の問題を他人に負わせて現実を良くすることしか頭になく、相手にされない、放置されることを一番に嫌います。

何もしないことで「俺(私)がこんなに苦しんでいるのに平気なのか」と言われるのは確かに心が怯みますが、こんな言葉も依存の証拠であって、「それはあなたの問題だから」とこちらから線を引く言葉が自尊心を守るためには重要です。

その結果相手が離れていくのなら、その人はそもそも対等な関わりを望めない人です。「自分の犠牲になること」を求めているのと同じと考えましょう。

本当にこちらのことが大切でいい関係でいたいと思うのならば、フキハラで自分の機嫌を取らせるのではなく、同じ目線で解決を考えたり歩み寄る提案ができたり、「その後」のつながりを見た言動があるはず。

その場だけの感情で「何とかしろ」とこちらを振り回すような人とは、幸せな関係は望めません。

放置を「見捨てる」と責める人ほど依存心が強く、向き合うとこちらが疲れていく一方になります。

離れることができない場合は?

「見守る」姿勢も重要

恋人でも友人でも、好きな人ならフキハラなんてやめてほしいと思うし、対等な関係でいたいと思いますよね。

職場の人間でも、離れることができない以上は相手が変わるしかフキハラの解決はありません。

フキハラに付き合わず放置するとさらに嫌味が飛んできたり嫌な態度を取られたりしますが、圧力に負けず「見守る」のも、お互いの距離感を守るため。

機嫌を取るようなことはしないが相手から「助けてほしい」と正直に言われたら手を貸す、不機嫌で振り回したことを反省している言葉が出たときは「そうならないためにどうすればいいか」を話し合うなど、フキハラをやめるために力を尽くす姿が信頼を強くします。

フキハラそのものに向き合うのではなく、相手の状態が正常なときに「やめてほしい」「つらい」と自分の気持ちを伝えるのも、ふたりの関係を悪化させないための手。

フキハラをする人は自分の異常さに気がついていないことも多いので、「そんな態度は受け入れがたい」とこちらの気持ちを知ると客観視のきっかけになります。

肝心なのは、フキハラを拒絶するのと相手を見捨てるのは同じではないと知ってもらうことで、正しく良い関係を築きたいこちらの気持ちを伝える姿勢が、相手にとっては自分の言動を振り返る機会になることも。

見捨てるのではなく「見守る」強さを、好きな人には持ちたいですね。

そうやって力を尽くした結果相手が変わらないのであれば、自分のために関係を考え直す必要があります。

「不機嫌ハラスメント」は弱い人がすること、と思えば、それに付き合うと自分まで相手の幼稚なレベルまで下がってしまい、結局はこちらだけがストレスを抱える結末を想像できます。

フキハラは依存の一つであり、感情をどう扱うかは相手の問題であることを忘れてはいけません。

境界線をこちらから引いていくことで、お互いにとって正しい距離感を守りましょう。