ドイツで先月、ある女が殺人罪で逮捕された。女は自分と容姿が似ている女性を探して殺害し、自分が死亡したように偽装したのだ。ドイツメディアが「ドッペルゲンガー殺人」と呼んでいるこの奇妙な事件は、犯行から半年が経った最近になって真相が明らかになった。米メディア『New York Post』などが伝えている。

ドイツバイエルン州インゴルシュタットで昨年8月16日午後11時35分頃、市民から「女性が死亡している」と警察に通報が入った。現場を捜査した警察官によると、遺体を発見したのはこの女性の両親であり、彼らは遺体が娘のシャラバン・K(Sharaban K、24)であることを認めたそうだ。

ところが翌日、遺体の検死が行われると事態は一変した。

遺体はシャラバンではなく、バーデン=ヴュルテンベルク州ハイルブロンに住む、当時23歳の美容系インフルエンサーでアルジェリア人のハディージャ・Oさん(Khadidja O)だと判明したのだ。亡くなったハディージャさんは容姿がシャラバンと似ていたこともあり、警察はシャラバンと友人のシェキール・K(Sheqir K、24)を殺人の疑いで同月19日に身柄を拘束した。

その後の警察の調べにより、シャラバンは自分が死亡したように見せかけるため、外見が似ているハディージャさんを殺害したことが明らかとなった。シャラバンがこのようなおぞましい計画を立てた理由は「家族との内輪揉めから身を隠すため」だったというが、ハイルブロン地域のニュースメディア『STIMME.de』では「シャラバンはシェキールとの交際を両親に反対されていたものの、(家族に知られず)彼と新しい生活を始めるために死を偽装した」と伝えている。

シャラバンは計画を実行するために、偽のInstagramアカウントを使い、自分と良く似た女性を見つけてメッセージを送っていたという。そしてハディージャさんに白羽の矢を立てたシャラバンは、自分が美容師であることから「ヘアモデルを探している」という口実で連絡を入れ、会うことになった。

殺害当日、シャラバンは両親に「離婚した夫に会うためミュンヘンに行く」とだけ伝え、シェキールと一緒に愛車のメルセデス・ベンツハディージャさんをアパートまで迎えにいった。その後、2人はハディージャさんを森の中へ連れ込んで殺害に及んだのだった。

その後シャラバンは、あたかも自分が死んでいるかのように見せるため、遺体を車の後部座席に乗せたままシェキールの住むアパート近くに車を停めてその場を離れ、身を隠した。シャラバンの思惑通り、両親は娘が死亡したと思い込んだようだが、警察の目までは欺くことはできなかった。捜査にあたった地元警察のスポークスマン、アンドレアス・アイヒェレ氏(Andreas Aichele)はこのように述べている。

「被害者の遺体には50か所以上の刺し傷があり、顔にも重傷を負っていました。それはあまりにも残酷なものでした。今回のような事件は頻繁にあるわけではありませんが、これほど意外な方向に展開したケースはありません。遺体を発見した当時は事態がこのような形に進展するとは思ってもいませんでした。」

警察は遺体発見から6か月にも及ぶ捜査の末、今年1月26日と27日に逮捕状を発行してシャラバンとシェキールを逮捕するに至った。なお今後の裁判で有罪が確定した場合、2人は終身刑に直面することになるようだ。

画像は『New York Post 2023年1月31日付「Woman found lookalike online ― and killed her to fake own death: prosecutors」(Bild)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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