シス・カンパニー『ケンジトシ』(作:北村 想、演出:栗山民也)が、2023年2月7日(火)18:30より東京・シアタートラムにて開幕する(東京公演は2月28日迄。その後、大阪公演が3月3日3月10日にサンケイホールブリーゼで開催される)。出演は、中村倫也 黒木華 山崎一 田中俊介 河内大和 野坂弘 依田朋子 徳高真奈美(ヴィオラ演奏)。

この公演は、当初2020年に上演される予定だったがコロナ禍により延期を余儀なくされ、このほどようやく初日の幕を開けられることとなった。描かれるのは、題名が示すとおり「宮沢賢治と妹トシの物語」。東北の大地から、天空の星々に至るまで、その創作の翼を広げた宮沢賢治と、その傍らにいつもいた聡明で信仰篤き妹トシ。

近年の未曽有の災害や、新型コロナウイルス感染症などの疫病に立ち向かう現代にあっても、宮沢賢治が遺した言葉の数々は、長きに渡り、私たち日本人の人生や暮らしの多くの場面に寄り添ってきた。そんな宮沢賢治と、彼の創作のインスピレーションであった妹トシを、劇作家・北村想が新たな視点から瑞々しく描いた本作を、栗山民也が演出。中村倫也黒木華が兄妹役で舞台初共演を果たし、山崎一、田中俊介らと共に、観客を“無方の空”へと誘う。

『ケンジトシ』(撮影:宮川舞子)

『ケンジトシ』(撮影:宮川舞子)

このほど、出演の中村倫也黒木華のコメントが届いたので、紹介する。

■中村倫也(ケンジ=宮沢賢治) コメント

宮沢賢治というと、作品の世界観と重ね合わせた賢治像や、どこか神格化されたアイコンとしてのイメージがありますが、この作品は北村想さんの考察や研究が入っている戯曲です。あまり難しく考えず、まずは「ケンジとして存在する」ことが大切だと思っています。これは、もがきながらも何かを探し求め、懸命に生きている人たちの物語です。ご覧になる方々も、ふとご自身とリンクする部分を感じるのではないでしょうか。そして、舞台では初共演なのですが、黒木華さんと僕は芝居に「遊び心」がある二人だと思っているんです。今回、そういうことが可能な場面では、本当に二人で楽しく遊んでいるかのような会話ができたら面白いな、と思っています。

『ケンジトシ』(撮影:宮川舞子)

『ケンジトシ』(撮影:宮川舞子)

■黒木華(トシ=妹) コメント

台本を読んだ当初は、北村想さんの独特の世界観をきちんと伝えられるのだろうか…と戸惑いもありましたが、稽古初日に演出の栗山さんから「答えを探さなくていい」「わからないことの大切さ」という言葉をお聞きしてからは、安心すると同時にとてもワクワクしてきたんです。私が演じるトシはとても明るく聡明で自立した女性。いわば「菩薩のような存在」です。妹ですが、母のように包み込む愛を意識して、ケンジにとって大きな存在になれればと思っています。演劇は想像力を働かせてどこへでも行ける豊かな世界です。頼りになる先輩・中村倫也さんをはじめ演劇界の大好きな人たちと一緒に舞台を創る!その毎日がとても幸せで、今回のような余白のあるお芝居に挑めることがとても嬉しいです。

『ケンジトシ』(撮影:宮川舞子)

『ケンジトシ』(撮影:宮川舞子)

『ケンジトシ』(撮影:宮川舞子)