子供の絵には、彼らが見て感じたままの表現がそのまま描かれることが多いが、一部の大人の目にはそんな子供達の絵が理解できないこともあるようだ。このほどアメリカで、娘の描いた絵を不適切だとして学校側が没収したことに憤慨する母親が関心を集めている。娘は蝶ネクタイをしたブタの絵を描いたのだが、学校の職員らには違うものに見えてしまったようだ。英メディア『The Daily Star』などが伝えている。

ミシガン州在住のシエラ・カーターさん(Sierra Carter)が、先月17日にTikTokに投稿した動画が関心を集めている。動画は彼女の娘が通う小学校、ハノーバー・ホートン・スクールに対して不満を述べるものだった。

シエラさんの主張によると、先月13日に11歳の娘の担任から電話があり、娘が美術の時間に「不適切な絵」を描いたために絵を没収したと告げられた。絵は英アニメ『ペッパピッグ』のようなピンクのブタが描かれているものの、ブタが着けている蝶ネクタイ男性器に見えたようで、男子生徒から担任が「ブタに男の子の体の一部がある」と知らせを受けたそうだ。

担任は、娘に対して「絵を校長先生に見せてどう対処するか聞いてみようね」と言うと、そのまま絵を没収してしまったという。シエラさんは、翌週の17日に学校に出向いて娘とともに教頭とスクール・ソーシャルワーカーに面会し話をすることにした。そしてこの時初めて娘の絵を目にしたシエラさんは、「これって、まさに蝶ネクタイでしょ!」と思ったそうだ。

また、絵には今回の件を記録した数枚の書類がホチキスで留められており、校長の指示により成績評価ファイルに入れられるとのことだった。納得がいかないシエラさんは、校長を話し合いの場に呼んでもらい、本人に「これのどこがいけないのか理解できません。これは蝶ネクタイでしょ!」と訴えた。

すると校長から「蝶ネクタイはリボンの形をしてるでしょ」と反論されたそうが、シエラさんも負けじと「娘はまだ11歳で、プロの画家のように描けなくても彼女にとってはこれが蝶ネクタイのイメージだったんです。これは明らかに蝶ネクタイなんです!」と言い返したそうだ。

最終的にシエラさんは娘の描いた絵を返すように要求し、学校側はこれを受け入れたものの、絵は成績評価ファイルに入れるため、コピーをとる必要があると説明されたという。その日の夜、シエラさんはTikTokに動画を投稿し、このように述べている。

「この件に関わった全ての大人達はこの件をおおごとにせずに済ませるべきだったと思っております。彼らは少なくとも娘に『これは何? 何を描いたの?』と聞くべきでした。それで娘が『それは蝶ネクタイよ』と答えたら、そこで事態を収拾すべきだったのです。こんなことで子供を間違ってると決めつけたり仲間外れになるような事はしてはならないと思っています。たった1人の男子生徒が、『別の物に見える』と言ったからってそれを鵜呑みにしてしまうのはどうかと思うんです。」

その後、同学区の教育長であるジョン・デニー氏(John Denney)がメディアの取材に応じ、今回の絵についての記録は成績評価ファイルに残されることはなく、現在シエラさんの娘が学校でいじめに遭うような事態は起こっていないと説明した。しかしながら、シエラさんはこの件に関する本当の問題は絵についての記録が残されることではなく、娘が大人たちの対応によって不当な扱いを受けたと感じたことにあると述べている。そして彼女は次のように訴えている。

「学校で子供たちが恥ずかしい思いをしたり、仲間はずれやいじめの標的にならないように、このような時は子供から話を聞くのが教育者の責任だと思っています。」

今回のように、純真無垢な子供の絵が見る人によって違うものに歪められてしまうことがあるが、2021年に当時開催された東京オリンピックに感銘を受けたイギリス4歳男児が体操選手の絵を描いたところ、絵は両親によってFacebookに投稿されたものの、Facebookの運営側に「非常に成人向けである」という理由で削除されてしまい、当時多くの物議を醸していた。

画像は『Sierra Carter 2023年1月17日付TikTok「I can’t make this crap up.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

海外セレブ・芸能のオンリーワンニュースならテックインサイト