俳優の趣里が、2月8日に都内で開催された映画「零落」完成披露プレミア上映会舞台あいさつに登場。共演の斎藤工玉城ティナ、メガホンをとった竹中直人監督、そして原作者・浅野いにおと共に、本作出演にあたっての思いなどを語った。

【写真】竹中直人監督が最後まで盛り上げ、笑顔が広がるフォトセッション

■「零落」とは

同作は、⻘春漫画の金字塔「ソラニン」などで知られるカリスマ漫画家・浅野が新境地に挑んだ同名漫画を竹中の演出によって映画化。8年間の連載が終了し、自堕落で鬱屈した空虚な毎日を過ごす元人気漫画家・深澤薫を斎藤が、“猫のような目をした”風俗嬢・ちふゆを趣里が演じ、その他にMEGUMI、玉城、安達祐実、山下リオらが脇を固め、3月17日(金)より全国公開される。

ちふゆを演じるにあたり「とてもプレッシャーだった」という趣里だが、「竹中監督や斎藤さんに導いていただいて、今日という日を迎えられてうれしく思っています」と無事完成を迎えたことに、安堵(あんど)の表情。

MCから“原作から出てきたような”という形容で紹介され、個性的な役柄を務めたことについて聞かれると「いにお先生の原作の女の子を演じられることはとても光栄だなと思うのと同時に、本当にたくさんの原作ファンの方がいらっしゃるので、それはそれはプレッシャーだったんですけど…」とこぼしつつ、趣里は「心強い竹中監督が導いてくださいますし、工さんに委ねて、空気感に身を置くということをやっていたので、本当にとてもすてきな現場でした。楽しかったです」と、満足そうに撮影を振り返った。

■竹中監督も大絶賛

印象的なシーンについては「全部が印象的だったんですけれども、ちょっと外に出た時には空気が変わったような…。ちふゆの田舎のシーンで、(深澤と)2人の距離がちょっと縮まりつつ、切なくもあり、みたいなところ」と明かす。

続けて、不安そうに趣里が「(そのシーンの演技は)どうでした?」と竹中に聞くと、竹中は「素晴らしかったです。とにかく僕、クルトヴァイルというドイツのミュージシャンが大好きで、2人のシーンにはピッタリだったので全てのシーンが感動的でしたね」と絶賛。趣里は「監督が明確に伝えてくださったり、イメージの音楽も送ってくださったりして、内側からちふゆというキャラクターができてきたなと思って、感謝しています」と、監督の心配りに感謝を込めた。

また、劇中には主人公・深澤が「もうやってらんねえよこんなの」と本音をぶちまけるシーンがあるということで、最近そういう「うんざりしたエピソードはあるか」という質問が。

これに対し、斎藤は「めちゃくちゃありますよね。タクシーをよく利用させていただくんですけど、『空車』だと思ったら『迎車』だっていう。何で同系色なんだろうって、思いませんか? 何で近い色なんだろう。それに対しては積年のうらみ…じゃないですけど、どうにか色味を変えてもらいたいなって…絞り出した答えがこれしかない」と苦笑いしながらも、タクシーが捕まらない時は特に誰もが思ってしまうような“あるある”ネタを紹介。

一方、趣里は「最近ということでもないんですけど、家で掃除をしているとき、掃除をしてもしてもなぜか髪の毛が落ちているという(笑)。ないですか?あれ?さっきしたのに、ねっ?」と観客に向かって同意を求めると、うなずいている人が多く見られ「ほら、皆さんうなずいてらっしゃる。こういう感じです…絞り出しました!」とエピソードをひねり出し、こちらも日常生活における“うんざりネタ”を披露した。

◆取材・文・撮影=ブルータスシーダ

映画「零落」に出演する斎藤工、趣里(写真左から)/※ザテレビジョン撮影