もはや装甲車レベルだが、銃犯罪が多発しているアメリカでは、これくらいの車じゃないと安心できないといったところなのだろうか?
レズバニ(Rezvani Motors)社のSUV「ヴェンジェンス(Vengeance)」は、がっちりと有事に備えられている。
この車のウリは、防弾ガラス、耐爆アンダーシールド、軍用のランフラットタイヤ(パンクしても走行可能なタイヤ)といった安全装備に、催涙(唐辛子)スプレーが装備されていることだ。
アメリカのお母さんたちが安心して子供の送迎をできるよう、徹底的にこだわったモンスターSUV。それがヴェンジェンスなのだ。
ちなみにSUVの名前となったヴェンジェンス(Vengeance)は日本語で復讐の意味だ。レズバニ社のウェブブサイトには「復讐はあなたのもの」とキャッチフレーズが謳われている。
ヴェンジェンスは公道を走る装甲車レベルの装備を持っている。
銃弾や爆発に耐える防弾ガラスや耐爆アンダーシールド。パンクしてもしばらく走れる軍用ランフラットタイヤ、さらには暗視装置、爆発物検出装置、電磁パルス・プロテクションを搭載することも可能だ。
ドライバーや搭乗者向けに防弾チョッキやガスマスクなんてオプションもある。
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もちろんヴェンジェンス(=復讐)だけに、ただ身を守るだけではない。襲いかかってくる暴漢がいれば、サイドミラーに内蔵される催涙(唐辛子)スプレーや後部から出る煙幕などで痛い目を見せてやることもできる。
Rezvani Vengeance worldwide reveal at Barrett Jackson Scottsdale 2023
元戦闘機パイロットが起業した自動車メーカー
ボディはテスラの「Cybertruck」を彷彿とさせる鋭角的なデザインで、リアウィンドウがないのが特徴だ。
もちろん安全を考慮したものだが、そのためにルームミラーで後方を確認することはできない。
そのかわり、リアとフロントに内蔵されたカメラで、拡張現実と組み合わせて周囲を確認できる。
ボディは鋭角的なデザインで、リアウィンドウがない / Image: Rezvani Motors
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ヴェンジェンスを開発した「レズバニ社(Rezvani)」は、フェリス・レズバニ氏が2014年に設立した比較的新しい自動車メーカーだ。
レズバニ氏の父親はイラン空軍の元戦闘機パイロットだったのだそう。
自身はパイロットになることを断念したが、そのかわりに「地上でも空と同じ高速のスリル」を味わえる車を作ろうと起業したのだという。
Image: Rezvani Motors
値段は家が建つレベル
でもお高いんでしょう?うん、もちろんお高い。
お値段は28万5000ドル(約3700万円)からとなっていて、フル装備にした場合は49万9000ドル(約6500万円)と家が建つレベルだ。
まあでも命あってのお金だ。これが買えるくらいの富裕層にとって、生命を守れるのなら安いものなのかもしれない。
Image: Rezvani Motors
子供を送迎する主婦層をターゲットにしたSUV
ちなみにヴェンジェンスのすごいところは、そのターゲットが車マニアや軍人ではなく、子供を送り迎えする普通のお母さんたちであるところかもしれない。
治安があまりよろしくないアメリカに住むお母さんたちは、催涙スプレーに興味津々で、防弾チョッキをきた女性がヴェンジェンスを紹介するTikTok動画は130万いいねを超えている。
the Rezvani Vengeance the safest vehicle for you Rezvani Vengeance
ちょっとやりすぎに思えるヴェンジェンスだが、傷害事件、銃乱射事件などが多発しているアメリカでは、これくらいの車じゃないと安心できないといったところだろうか。
アメリカでは大きな車が大人気で、今や自動車販売の80%がSUVやピックアップトラックであるという。装甲車のごときボディに包まれていれば、少なくとも車内のお母さんと子供たちは安全なのかもしれない。
確かに自分たちは安全かもしれないが、その屈強な車に衝突されたほうはたまったものではないだろう。事故を起こして人をひいてしまわないことを願うばかりだ。
References:Vengeance — Rezvani / Pepper spray for the school run? The weaponised SUV set to terrify America’s streets | Design | The Guardian / written by hiroching / edited by / parumo
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