2月13日(月)より夜ドラ「超人間要塞ヒロシ戦記」(毎週月~木曜夜10:45-11:00、NHK総合)が放送される。まつだこうた、大間九郎原作の同ドラマは、一見普通の青年・ヒロシと母星を失い地球にやってきた“スカベリア姫国”の人々、女子大生しずかが繰り広げる新感覚のラブコメディー。

【写真】夜道を2人で歩く山之内すず“しずか”と豆原一成“ヒロシ”

WEBザテレビジョンでは、同ドラマでスカベリア姫国の人型要塞戦艦“緋炉詩”の乗組員・アケミを演じる高山一実と、スカベリア姫国の英知が結集された人間要塞・ヒロシを演じる豆原一成、ヒロシに思いを寄せていく大学生・しずかを演じる山之内すずに、ドラマの出演が決まった時の感想や、お互いの印象、撮影で印象に残っている出来事やシーンなどを語ってもらった。

高山一実できるかなという不安な気持ちでいっぱい」

――NHKドラマ初出演ですが、出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。

高山:ドラマのオファーを受けた時は、ありがたいと思う反面できるかなという不安な気持ちでいっぱいでした。ドラマのオファーはみんなを喜ばせるため、全員に主演ですよと言ってオファーしているのかなと思っていて(笑)。顔合わせの時に「めちゃくちゃ不安です」という気持ちを話したら、スタッフさんが「できることはやりますので、楽しんで撮影に臨んでください」と言ってくださって、とても優しい方々だなと感動しました。不安だけど、この期間は頑張るしかないと思いました。

豆原:2022年の夏頃に韓国にいた時にお話をいただいて、僕はドラマが好きで演技をすることも大好きなので、こうしてNHKさんで演技ができることがうれしかったです。ヒロシという役を演じると聞いた時は何も想像ができなかったですが、自分にプラスになるような役柄になると感じていて、頑張ろうと思っています。

山之内:NHKさんのドラマは初めてでとてもうれしかったです。タイトルを聞いた時に「どんな話だろう?」と思いました。実際に原作を読ませていただくと、とても面白くて撮影の日を楽しみにしていました。恋をする役が初めてだったのでしずか乙女心などを上手く表現できるのか、という心配もあったのですが、何よりも原作を読んでからのワクワクが止まらず、今も撮影に臨んでいます。

■豆原一成「今まで自分がやったことのない動きだった」

――撮影の中で印象に残ったことはありますか?

高山:ドラマを作るということは本当に大変なんだという印象を受けました。ドラマを作っているスタッフさんや役者さんたちは本当にプロフェッショナルで素晴らしいなと思いながら日々撮影をしています。

豆原:(僕が演じる)ヒロシの動き全てが印象に残っています。本当に今まで自分がやったことのない動きだったので、一つ一つの動きを丁寧に演じるということを心がけています。まだ撮影は残っているので、もっと“ヒロシ感”を出せるように頑張りたいです。

山之内:しずかヒロシの中の世界を知らないまま純粋に運命というものを日々考えている女の子です。鈍感で自分の人生や運命に翻弄されている役ですが、毎日楽しく撮影させていただいています。ヒロシの動きを見て、これは豆原さんにしかできない動きだなと感心しながら、本当にただひたすら豆原さんがすごいなと感じています。

■豆原一成「少し自分と似ているなと感じました」

――お互いの印象を教えてください。

高山:お二人とご一緒するシーンがほとんどなくて、早くお二人の演技を見たいです。本読みの時、お二人の姿がとても役に合っていると感じたので、扮装したお二人がカメラの前に立った時にどんな感じになっているのか、オンエアを楽しみにしています。

豆原:高山さんとは本読みで初めてお会いして、この間の撮影の入れ替わりの時にお会いして一緒に写真を撮りました。高山さん演じるアケミがどういう感じになっているのか興味深いですし、アケミが言ったことを僕がそのまま言葉にするといったシーンもあるので完成がとても楽しみです。山之内さんに関しては少し自分と似ているなと感じました。撮影を重ねていくうちにヒロシしずかの関係を作り上げている気がするので毎日楽しく撮影しています。

山之内:高山さんはずっと気さくに話してくださる方で、待ち時間も皆さんとお話されていて、私はかわいいなと思って見ていました。豆原さんは年齢が一つしか変わらないのですが、私は同世代の方と話す機会が本当になくて、いろいろとお話させていただいてとてもかわいらしい方だなと思いました。現場の方々にも本当に愛されていて、毎日ほんわかしています。アーティストとしての豆原さん、普段の豆原さん、ヒロシを演じている時の豆原さんなどいろいろな側面を見させていただいて、毎日楽しく撮影しています。

山之内すず「友達いないトークで盛り上がっていました」

――お互いに意外に感じた部分などはありますか?

高山:(豆原さんと山之内さん)二人は性格など少し違うのかなと思っていたのですが、先ほどの豆原さんの話を聞いて似ている部分があるのだと驚きました。私たち(ヒロシの体の中で過ごす人たち)の現場としずかとの現場では、雰囲気が全然違うんだろうなと思いました。

豆原:ヒロシは普通の生活を送っているのに、自分の体の中ではすごいことが起こっているというギャップが台本を読んでいて面白いなと思います。

高山:(ヒロシの体の)中の世界では、ベテラン役者さんたちがたくさんいらっしゃるのでいろいろ教えてくださいました。工(斎藤工)さんからは台本の覚え方として、縦書きの台本を固定概念にとらわれないよう横書きに書き直していたり、漢字をカタカナにしたり、など工夫されていると聞いて現状の形を崩して覚えていくという方法もあるんだと知ることができました。

山之内:私たちの現場は水木さん(重岡漠)が面白いです。意外な一面で言うと、豆原さんが休みの日はずっと寝ているというのを聞いて、「メンバーしか友達いないから」と言っていて、私も(芸能界の)友達がいないので、友達いないトークで盛り上がっていました。

山之内すず「(豆原は)人が真似できないような動きをしています」

――独特な演技があるドラマだと思いますが、どのように作られているのでしょうか。

豆原:とにかくヒロシの一つの動作に対して、体の中で操縦してくれている人がいるということを意識しています。例えば、首が動く、手が挙がるという動作一つにしても動かしてくれている人たちがいるので、丁寧に動きをつけるということを心がけています。でも、現場で監督さんからもアドバイスをいただけるので、それを参考に自分の中でも探りつつ演じているという感じです。

――ダンスが活かされている動きなどもありますか?

豆原:ギリギリの態勢を保ったり、ブルブル震えたり、といった動きはダンスに通ずるものがあるなと感じています。自分としてはダンスの動きをドラマでできるのがうれしかったです。

――山之内さんが現場でヒロシの動きを見ていかがでしたか?

山之内:基礎スキルがないとできない動きなので、もう本当にすごいです。「どうやったらそんな動きが?」「どこに力を入れたらできるんですか?」と聞くこともあるくらい人がまねできないような動きをしています。

豆原:でも、僕の動きを見て笑っていました(笑)。

山之内:すごすぎて笑えてきちゃうんです(笑)。

高山一実「言葉使いなどを落とし込めるように心がけています」

――ロボットのヒロシに普通に恋愛をするしずかという役柄は難しくないですか?

山之内:しずかは純粋でピュアな子なので、普通に見たら不思議に感じるヒロシの動きを含めて、ヒロシのことを目で追ってしまうのだと思います。

――アケミのいる世界もとても独特な世界だと思いますが。

高山:そうですね。アケミのせりふが普段では使わないような堅苦しい言葉を使うので台本をいただいた時から、とにかく台本を持ち歩いてなじませて、現場に入る時にはアケミの言葉使いなどを落とし込めるように心がけています。でも実際に口に出すと迫力が足りないなと思うこともあって、中の世界は掛け声も多く大きな声で話してばかりだと緩急がつかないので、そのバランスが難しく監督さんにアドバイスをいただきながら演じています。アケミに寄り添って考えるようにしたり、回を重ねるごとにアケミもより軍人らしくしないといけないなと思っているので声のトーンを変えるようにしています。

山之内すず「楽をして申し訳ないなと思っていました」

――撮影をしていく中で引っ張ってくれているなと感じる人はいますか?

高山:もともとは工さんが艦長役で、本当に艦長らしく撮影の時もクルーを演じる方々全員に話しかけていたり、現場の雰囲気を作ってくださったので、そういう姿を吸収して頑張りたいと思いました。また、女性で軍人役は難しいなと思っていた時に、大東(大東駿介)さんが具体的なアドバイスをくださったりと、たくさん皆さんに助けていただきました。

――ヒロシしずかのシーンで印象深いシーンや楽しみにしているシーンはありますか?

豆原:第1話ですかね。初めて会う二人の初々しさが印象的です。

山之内:そのシーンは大掛かりなシーンだったので、私も初めてサポーターをつけて撮影に挑むなど印象的でした。私は、寝ているだけで良かったですけど豆原さんは撮影時間も長かったので大変そうだなと思いながら、楽をして申し訳ないなと思っていました。とてもキュンとするシーンなので、どういう風に映像化されるのか楽しみです。

高山一実「愛着が湧いているのだなと感じました」

――高山さんはヒロシしずかのシーンを楽しみにしているシーンはありますか?

高山:私の想像ではしずかはセクシーな衣装を着ているのですが(笑)、「どんな衣装を着ているのか」「しずかがどんな顔でヒロシを見ているのか」など気になります。あと、ヒロシの動きがすごいということもこの取材で知ったので楽しみです。

――アケミしずかに共感する部分もあると思いますが。

高山:国のために指示を出さなければいけない中で、しずかの優しさに感謝を伝えたいというか、しずかに対して適当にしてしまうのは違うかなと思いながらも、縦社会がしっかりしている世界でもあるので、口に出すのが難しくてアケミだけ他のクルーとは違った表情をしていることもあると思います。シーンごとにアケミの感情が変わるので、とても苦戦していますが日々撮影を頑張っています。

――スカベリアの世界の衣装はいかがですか?

高山:動きやすい格好にゴーグルなどの装具をつけていて、人によってはトランシーバーをつけていたり、つなぎを着ている人もいたりして、スカベリア人の多くは紫の瞳をしています。私はお団子ヘアをしているのですが、お正月休み明け久々にお団子ヘアをした時に、愛着が湧いているのだなと感じました。

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高山一実「常に緊張感あるアケミの世界で生きることは本当に大変」

――それぞれが演じる役が存在する世界をどのように捉えていますか?

高山:(アケミがいる世界は)辛い世界だなと思います。私自身は地球が好きで楽しく過ごしていますが、アケミは国を守るという使命を背負っている人なので安心することがあっても笑っていなくて、常に緊張感あるアケミの世界で生きることは本当に大変だなと思います。

豆原:ヒロシは感情がないので、本当にクルーの皆さんが思ったことや感じたことが自分の体に出てきます。ヒロシ自体は感じることがないので抜け殻ではありますけど、クルーの皆さんの気持ちを体の一部として出していくというのがヒロシの役割だと思っています。でも、台本を読む時も中の人たちの部分を読んでから自分のシーンを演じている部分もあるのでどこかアケミさんと似ている部分があるかもしれません。

山之内:ヒロシの中の世界を想像することもない普通の女の子ですが、運命に憧れを抱いている訳ではなく、運命という重圧を背負っているという不思議な子で、どこかに運命の出会いがあるかもしれない、それを見つけないといけない、という焦りみたいなものも感じていて普通の恋愛とは少し違った意識を持っていると思います。だからこそ盲目になってしまう部分もあって、おっとりしていて抜けていて変わっている子ですが、話が進むにつれて何か愛おしくなると思います。どんな人に対しても真剣に向き合うのがしずかの良いところなので、しずかしずかなりに自分が思う役割を全うしようと頑張っている子だと思います。

高山一実「原作のアケミの衣装を私も着てみたかったです(笑)」

――原作を読んで、役への理解度が深まったなどはありますか?

豆原:「どういうこと?」という感じで第1話が始まるので、原作も初めて見た時は全然分からなかったです。でも、読み進めていくとヒロシって面白いなとかいろいろ抱えながら生きているんだなということを感じました。

高山:私は原作を読んで指示の出し方や手の動きなど参考にして家でよく練習していました。クルーのキャラクターや立場などが少し変わっている部分もあるので、このキャラクターは原作ではこういう立ち位置の人物なのかな、ということはよく現場で話していました。あと、原作のアケミの衣装を私も着てみたかったです(笑)

山之内:しずかは地球の女の子なので、素直でかわいい子だなと思って、しずかというキャラクターは想像ができたのですが、スカベリアと現実世界のつながりがどういう風に映像になるのかなというのは想像できなくて、でも現場に入ってヒロシが見ている世界やしずかが見ている世界を目の当たりにして、こういうふうにつながっていくんだろうなと少しずつ想像ができるようになりました。原作ファンの方にも喜んでもらえるような映像になるのではないかと思っています。

山之内すず「中の世界と外の世界の緊張感のギャップは凄まじいと思います」

――本作の見どころを教えてください。

高山:(ヒロシの体の中の世界では)ヒロシを操縦しているボタンやモニターなどたくさんあって、色味やセットの世界観がとても細かく作られています。そんなところもぜひ注目してほしいです。現場ではスカベリアの人たちは本気でそこに国があると思って演じてくださいと言われているので、これだとコミカル過ぎると感じたことはそぎ落とされて、コミカルさゼロでやっているのでその必死さみたいなものを面白く捉えていただけたら。

豆原:とにかくヒロシの“間”を楽しんでいただきたいです。しずかから言われても中のスカベリアの人たちが一旦考えてから言葉を発するので、ヒロシが一瞬止まって話すといった何とも言えない間が面白くて。基本は無表情なのですが、少しニヤついたり、ぎこちない笑顔を見せたり、とか僕自身もしたことがないような表情を映像で見られると思いますし、現実世界とスカベリアの世界ではギャップがものすごくあるので、そこも見どころかなと思います。

山之内:中の世界と外の世界の緊張感のギャップはすさまじいと思います。全体的にコミカルで面白い映像になっていると思うのですが、スカベリアの世界は本当にいろいろなことがあって、ヒロシから見たらしずかは危ない相手かもしれない中、しずかの優しさに気づいて、国として国を守るためにヒロシからしずかを遠ざけないといけないという葛藤も深く描かれていて、考えさせられる部分もあると思うので、そこも注目していただけたらと思います。

高山一実“アケミ”/(C)NHK