『月曜日に乾杯!』『皆さま、ごきげんよう』などを手掛けた名匠オタール・イオセリアーニの劇場初公開作品を含む全監督作21本をデジタル・リマスター版にて、2月17日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シアター・イメージフォーラムにて一挙上映。「オタール・イオセリアーニ映画祭 ~ジョージア、そしてパリ~」が開催されます。

長編は、1作目にしてジョージアでは公開禁止となったがカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞した『落葉』をはじめ、各国でロングランヒットとなった『素敵な歌と舟はゆく』や、ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(監督賞)を受賞し世界の名匠としての地位を確立した『月曜日に乾杯!』、またレトロスペクティブが開催され、再評価が高まるピエール・エテックスや、『アメリ』などジャン=ピエール・ジュネ監督作品でおなじみのリュファスが出演していることも話題となった集大成的傑作『皆さま、ごきげんよう』など。

さらに、ウェス・アンダーソン監督作常連のマチュー・アマルリックの役者デビュー作となった『月の寵児たち』、全編アフリカセネガルで撮影が行われた『そして光ありき』がこの度日本初上映される。いずれもヴェネツィア国際映画祭にて審査員特別大賞を受賞した作品です。そのほか、本国ジョージアにて上映禁止を受けたものの、2000 年にはカンヌ国際映画祭で復元版による特別上映が行われた中編『四月』、ジョージアの映像資料を用いて歴史・文化を紹介した三部構成となる日本初公開のドキュメンタリー三部作『唯一、ゲオルギア』なども上映。貴重な機会となっています。

今回、楽しい発言が度々ネットでも話題を呼ぶ、在日ジョージア特命全権大使のティムラズ・レジャバさんのインタビューが到着しました!この映画祭やジョージアという国について色々とお答えくださっています。

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ジョージアとは一言でいうとどんな国ですか?

「あつい国」です。まず、ジョージア人には情熱的な熱さがあります。また、歴史も厚い国です。そしておもてなしも「厚い」国です。

―今回日本で劇場初公開となるイオセリアーニ監督のドキュメンタリー大作『唯一、ゲオルギア』をご鑑賞いただき、率直なご感想をお教えください。

イオセリアーニ監督に対する印象がさらに強くなりました。これまで芸術作品ばかり撮ってきた監督が撮影したからこそ、訴えるものがあり、“彼がジョージアを大切にしている“、そういう姿勢を確認することができたという意味で、監督を知るうえで大変重要な作品だと思います。加えて、自分がジョージアという国にどう向き合うかという意味でも、大変勉強になりましたね。

―印象的なシーンはありましたか?

ジョージアの文化をひとつひとつ丁寧に描いていて、それも本当にジョージアのコアな部分を含めて説明した流れを受けて、歴史の説明に繋がっていく…。そういった描き方が印象的でした。

―『唯一、ゲオルギア』で、イオセリアーニ監督はジョージアを「騎士の国」と表現していました。

そういった一面もあります、歴史的に侵略や闘いの多い国だったので、自分の価値観を守る姿勢はジョージア人の特徴でもありますね。でもいつもそう、というわけではないです(笑)。普段はおおらかで人道的でクリエイティブな人がおおいのではないでしょうか。

―イオセリアーニ監督は、ジョージアではどういった存在でしょうか?

知名度はありますが、実際に映画を観たことがある人は少ないと思います。フランスの映画監督というイメージが強いですね。僕は大ファンですよ。

―大使の1番好きなイオセリアーニ監督の作品は何ですか?

『歌うつぐみがおりました』です。気が散漫だけど、気遣いができて、みんなに愛される主人公が登場します。実は、当時の自分と似ていたんですよね。取り組むべきことがわからなかった当時の自分と、主人公のギアがすごく似ているように思えて、共感しました。何度も観ていますが、素晴らしいエンディングです。この映画は日本で観ました、下高井戸シネマですかね。

―ちなみにラストはどう感じていますか?

それこそ僕が監督に一番聞きたい質問なんです、「この男はどうなるんだ!」って。当時は自分に思えて仕方なかったから、映画の中でもこういう人はどうなるのか、あなたはこういうひとだったのか、それが聞きたくて仕方がないんです!会ってみたいなあ。

―このタイミングで映画祭が行われることについて、どう思われますか?

非常にありがたいです。この数のイオセリアーニ監督の作品が上映されることはこれまでなかったでしょうし、イオセリアーニ監督の一ファンとして、たまらなく嬉しい出来事です。パリ時代の作品はなかなか観れていないので、この機会に観たいですね。

―最後に、この映画祭を楽しみにしている皆さんに向けて、ジョージア人としておすすめのポイントを教えてください。

私はイオセリアーニ監督の大ファンなんです!だから、ジョージア人としてというか、ファンとして、一緒にこの世界観を観て、楽しみたいです。

<プロフィール>
ティムラズ・レジャバ
(略歴)
1988年ジョージアの首都トビリシ生まれ。父親の日本留学・仕事の関係で92年に日本へ移り住み、2011年早稲田大学国際教養学部卒業後、12~15年キッコーマン株式会社へ入社。その後18年にジョージア外務省へ入省し、21年より在日ジョージア特命全権大使に。

在日ジョージア大使 ティムラズ・レジャバさんが語る“イオセリアーニ映画”の魅力「文化をひとつひとつ丁寧に描いている」