東急田園都市線青葉台駅で、新たな太陽電池の実証実験が行われました。軽量かつ安価なうえ、曲面や弱い光でも発電が可能という優れもの。将来的には鉄道車両に設置して、「走行しながら発電」が実現するかもしれません。

土地の制約がある都市部では期待も大

東急電鉄と東急は2023年2月11日(土)、桐蔭学園および横浜市と協同し、「ペロブスカイト太陽電池」の実証実験を青葉台駅横浜市青葉区)で実施しました。

実験は駅構内の自由通路、直射日光のない天窓下で実施。703平方センチメートルのフィルム型を広げ、発電性能を確認しました。太陽電池は、桐蔭横浜大学の宮坂 力特任教授が開発したものです。

ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの太陽電池であり、太陽光の電気への変換効率(25.7%)は、シリコンを活用した一般的な太陽電池に匹敵するとされています(アメリカ国立再生可能エネルギー研究所調べ)。

この太陽電池は薄く、構造物の曲面・垂直面に設置しても発電できるほか、インクジェット法などの印刷技術で製作されるため低コストだといいます。そのため、土地の制約が多い都市部では特に期待されているそう。

また電池に用いられるペロブスカイト膜は、曇天や雨天時、または室内光のような弱い光でも発電が可能なため、屋内での使用も模索できるとのことです。

今後は、駅舎のみならず高架橋や鉄道車両など保有する資産へ電池を設置できないか、活用方法を検討していくとしています。

撮影時は雨天。この天窓から入る光でも、ペロブスカイト太陽電池は発電が可能だという(2023年2月13日、大藤碩哉撮影)。