本田響矢と鈴木康介がダブル主演を務めるドラマ「ジャックフロスト」(毎週木曜深夜1:29-ほか、MBSほか※全6話)が2月16日よりスタートする。同作は、数々のBLドラマを放送してきたMBS「ドラマシャワー」枠で初の完全オリジナル作品。本田響矢演じる奥沢律が、事故で恋人・池上郁哉に関する記憶だけを失ってしまったことをきっかけに、“記憶喪失”をキーにした両片想いの物語を展開する。今回は本田と鈴木に、本作の見どころやお互いの関係性などを聞いた。

【写真】本田響矢&鈴木康介の壁ドン接近ショット

■切ないストーリーに「もどかしさも含めてキュンキュンしました」

──「ジャックフロスト」はMBSドラマシャワー枠初のオリジナル脚本の作品です。最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。

本田:最初に頂いたのは2話くらいまでだったと思うのですが、監督さんと顔合わせのときに「読んでみてすごくよかったです」とお話しさせていただいたことを覚えています。物語の中で郁哉に「僕のこと覚えてる?」と言われて、律が「覚えてないんだよね」って返すところで感情が込み上げてきました。

鈴木:切ない話ではありますが、僕はすごくキュンキュンしました。律も郁哉のことが好きなんだろうし、郁哉も律のことが好きなんだろうけど、お互いに言い出せない“両片想い”。側から見ていたらお互いに好きなことはわかるのに、っていうもどかしさも含めてキュンキュンしましたね。

──SNS上では、放送前にも関わらず海外の視聴者からも期待の声があがっています。この反響を受けて感じることはありますか?

本田:今回は原作のないオリジナル作品であるにも関わらず、これだけの反響があるということに心の底からびっくりしました。ドラマシャワー枠のファンの方と、「ジャックフロスト」というタイトルに期待している方々がそれだけいらっしゃるということだと思うので、その期待に応えられるような作品になっていればうれしいです。

鈴木:ドラマシャワーさんは、これまで素敵な作品を残している枠なのでプレッシャーが大きかったです。ですが「ジャックフロスト」も日本だけでなく、いろいろな国の方々が楽しめる作品になっていると思うので頑張ります!…って言いたいんですけど、もう撮影は終わってしまったので(笑)、いろいろな国の方に届いたらいいなと思います。

■撮影初日で仲良しに…「お茶目」な本田と「頼り」になる鈴木

──おふたりは以前「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記」(2020年、テレビ東京)で共演されていますが、今作で関係に変化はありましたか?

本田:共演はさせていただいたんですけど、そのときは一緒にお芝居はしていなくて。僕が帰るときに康介くんが現場に入ってきて「お疲れ様でした」ってあいさつするくらいでした。だからどういった方なのかわからないけど、楽しみだなと思いながら最初の本読みに行きました。

鈴木:仲良くなったきっかけを考えていたんですが、「ジャックフロスト」撮影初日のロケバスの中で2人でセリフを合わせたときだと思います。2時間くらいの道のりだったので、1話から6話まで全部読んで。そこで仲良くなりました。「セリフ間違えてるよ〜ケラケラ」みたいな(笑)。それまでは敬語だったけど、そこからタメ口になったよね。

本田:確かに!

──撮影初日で仲良くなったとのことですが、それまでのお互いの印象と、撮影を経ての印象の変化を教えてください。

本田:最初のイメージは「色白でおしゃれな人だな」みたいな単純なものでした。実際にお話しさせていただくと、すごく雰囲気が柔らかくて。その場が和むし、一緒にいるとすごく安心する。その空気感にみんな癒されていたんじゃないかな。実際、僕も頼り過ぎていたかもしれないと思うくらい、頼りにしていました。

鈴木:僕も最初は「色、白!」って思っていました(笑)。すごくおしゃれだし、ちょっとクールなのかなと思っていました。でも実際はお茶目。テンションが上がったときはすごく面白いし。でもストイックな一面もあって。今回の作品では脱ぐシーンもあったので、2週間くらい糖質を抜いていて、お互いに結構フラフラになりながら芝居をしていたんですが、そこでも弱音を一切吐かず、バキバキに仕上げてきて…。

本田:やめてもらっていい(笑)?バキバキではないです、できる限りです!

鈴木:でもその過程を一番近くで見てきたから。最初はクールなのかなと思っていましたけど、必死にもがいている姿も間近で見て、“好き”から“大好き”になりました。

本田:わぁ! ありがとう!

■劇中で演じる役との共通点とは

──本田さんは“記憶喪失のイラストレーター・奥沢律”、鈴木さんは“愛を取り戻すために嘘をつく池上郁哉”を演じられましたが、ご自身と役の共通点はどのようなところに感じましたか?

鈴木:僕は面倒見たがりな部分がすごく似ているなと思っていて。僕、実際に弟がいるんですけど、弟のことが好き過ぎて面倒を見たくなっちゃうんですよ。郁哉も、律が好き過ぎて頼まれてもいないのにいろいろやってあげちゃう。ご飯も作ってあげるし、尽くしまくる。そこが似ているなと思いました。

本田:律くんはイラストレーターで芸術的。ファッションが好きで、カラフルな服を着ていたり、おしゃれな髪型をしていたりするんですが、そういうこだわりの強さは自分と共通しているなと思いました。僕も洋服が好きですし。

──絵は描かれるんですか?

本田:それが!これを機に絵を描くようになって、最近iPad miniとペンを買ったんです。もともと温泉が好きなんですけど、そこに新たに絵を描くという趣味が増えました。

──鈴木さんは、本田さんの絵を見たことは?

鈴木:僕の携帯のロック画面は、律が描いた絵ですよ。

本田:劇中に絵を描いているシーンがあったので、形だけじゃなくて本当に描こうと思って描いた絵があって。それを僕がロック画面用のサイズにして、監督さんやスタッフさんに布教しました(笑)。

──では、鈴木さんから見て本田さんと律、本田さんから見て鈴木さんと郁哉、それぞれの共通点はどこだと思いますか?

鈴木:上目遣いがうまい!

本田:え、それって、俺もっていうことだよね(笑)?

鈴木:そうそう(笑)。俺が上にいて「あ、響矢くん!」って呼んだときに「ん?」って顔をすることがあって。「あ、律」って思います。

本田:康介くんは、お兄ちゃんっぽく引っ張ってくれるところ。横にいればとりあえず安心できるみたいな気持ちになる。それは律として郁哉といるときも、本田響矢として康介くんといるときもどっちも同じ気持ちでしたね。

──郁哉はすごく優しくて理想の恋人のようですよね。

鈴木:現場では恋人にするなら郁哉か律か、半々だったよね。

本田:見ている方にも聞きたいですよね。どっち派か。

鈴木:アンケート取りたい。でも傷つくかもしれないからちょっと怖いな(笑)。

■新たに見つかった役者としての目標「“ナチュラル芝居”を極めたい」「役を自分の感覚に近づけていける役者に」

──今回の作品を経て気付いたことや、それを受けて今後挑戦してみたいと思ったことを教えてください。

鈴木:郁哉は普通の人、癖は強くないけどどこかにいるような人だったので、演じるのが難しくて。でも実際にやってみるとめちゃくちゃ楽しかったです。だから普通の人を演じるのを極めようと思いました。“ナチュラル芝居”を極めたいです。

本田:自分がこれまでにやってきた役柄って、自分に経験がある役や、出会ったことのあるようなキャラクターが多かったんですけど、律は記憶がないという、自分にも経験がないし、お会いしたこともない役柄。ない部分を自分の中に入れるという感覚を今回初めて経験しました。そういった、役を自分の感覚に近づけていける役者になりたいなと、今回律を演じてすごく思いました。

■2人で旅に出るなら「温泉」の一択?

──「ジャックフロスト」は律の記憶喪失が物語のキーになりますが、お二人の今までの人生の中で最も忘れたくない瞬間や出来事を挙げるなら何ですか?

鈴木:芝居を初めて半年くらいのときに出演していたドラマで、慣れてきたこともあって、セリフをうろ覚えの状態で現場に行ってしまったことがあるんです。そしたら現場でセリフが全然出てこなくなって、30〜40テイクくらい重ねました。その日はボロボロで泣きながら帰ったんですけど、いまだにその場面は夢にも出てきます。その経験をしてからは、絶対にセリフを覚えるときに手を抜かないというのは肝に命じていて。この失敗があって今につながっていると思うので、今後俳優を続けていくうえで忘れたくない出来事です。

本田:僕がこの仕事を始めるきっかけは「男子高生ミスターコン2016」なのですが、エントリーしてくれたのは、当時の部活の友達。その友達がエントリーしてくれて、支えてくれた学校の先輩がいて、親がいて、そのコンテストでお世話になったスタッフの方々がいて…って、その時々の段階を踏んで今がある。だからこの仕事をするきっかけになった方々の存在や、そこに対する感謝の気持ちは絶対に忘れたくないと思っています。

──では、律と郁哉は二人で交際の軌跡を辿る“旅”を始めますが、本田さんと鈴木さんで旅に行くとしたらどこで何をしたいですか?

鈴木:温泉!

本田:温泉だな〜。

──本田さんは温泉がお好きとのことでしたが、鈴木さんも温泉が好き?

鈴木:僕はサウナが好きなんですよ。

本田:じゃあサウナがある温泉だ。

鈴木:俺がサウナの良さ教えるから、温泉の良さ教えて?

本田:そうしよう!行ったことないけど行ってみたい温泉が結構あるので、そこに一緒に行きたいですね。

■ドラマの見どころは…?「イチャイチャシーン」「後半のとあるシーン」

──最後に、ドラマの見どころと、それぞれの思う「ジャックフロスト」のキュンポイントを教えてください。

本田:記憶を失ってしまった律を見て、郁哉がどう行動して、物語がどう進んでいくのか。全6話の中でジェットコースターのように展開していくので、その世界観をぜひ楽しんでいただきたいです。キュンポイントか…。僕としては見つめられてキュンよりも、どっちかというと後ろ姿にキュンとしちゃうんですよね。ご飯を作ってくれている後ろ姿とか。でも見どころとしてはやっぱりお互いを思い合っている姿にキュンキュンしていただけると思う。そういうシーンが多々あるので、キュンキュンしながら観てほしいです!

鈴木:BL作品を好きな方はもちろん、初めてBL作品を見る方も、みんなが楽しめるドラマだと思うので、たくさんの人に届いてほしいなと思っています。キュンポイントは詳しくは内緒なんですけど、後半で郁哉が律にあることをするシーン。僕もまだ映像では見ていないし、そもそも現実でやっている人を見たことがないので、どうなっているんだろう。完成が楽しみだし、見た方にはぜひキュンってしてほしいです。

取材・文/小林千絵

撮影/友野雄

「ジャックフロスト」インタビューより/撮影=岡田健