4月よりスタートする、清野菜名主演、岡田惠和脚本のオリジナルドラマ「日曜の夜ぐらいは...」(毎週日曜夜10:00から、テレビ朝日系)に岸井ゆきのが出演することが決定した。同作は、「人生とは、家族とは、愛とは」をテーマに、3人の女性たちの友情を描くハートフルストーリー。

【写真】岸井ゆきの、ピンクのセットアップを着こなす

岸井ゆきのがタクシー運転手に扮(ふん)する

岸井が演じるのは、家族から縁を切られながらも、退屈な毎日に楽しみを求めてタクシー運転手を続ける女性・野田翔子。清野が演じる主人公・岸田サチと共に物語を紡ぐ、女友達3人組のうちの1人。

元ヤンキーの翔子は、乗客にドリフト走行をちらつかせたり、勤務明けには缶チューハイを一人あおったりと、言動はどこまでも粗野。初対面での距離感の近さやノリの軽さと相まって、一見、輪郭のはっきりした第一印象を与えるが、実は表には出さない人恋しさを心の奥底に抱え込んでいる。

直視してしまったら痛くてしょぼい人生を、ときにむなしいバカ笑いでマスキングしながら、生きる道を懸命に模索する翔子。そんな等身大の女性に、岸井が豊かな感性で命を吹き込む。

岸井ゆきのと清水一幸プロデューサーにインタビューを実施

WEBザテレビジョンでは、翔子役の岸井と清水一幸プロデューサーにインタビューを実施し、脚本の印象や役どころ、配役の決め手、注目ポイントなどを聞いた。

――出演が決まった際の率直なお気持ちをお聞かせください。

岸井:テレビ朝日の連続ドラマに出演するのが初めてなので、初めてのことはまだまだあるなぁと思いました。岡田さんの本であるということもとても楽しみでしたし、女性3人の物語というのもあまりやったことがないジャンルだったので、楽しくできたらいいなと思いました。

――脚本を読んだ印象はいかがですか?

岸井:すごく喋っています。読んでいると気持ちがいいのですが、そのあとに「あ、これ私たちがやるんだ…これは大変だぞ」と思います。暗く悲しい部分をそれぞれが持っているのですが、それでもリズムがあるのですごく読みやすいし、視聴者の方にも、暗さを全面に感じるというよりは「自分にもある」と共感して受け取っていただけるのではないかなと思いました。

■不良に憧れた女性がタクシー運転手に

――野田翔子という役についてお聞かせください。

岸井:役についてはまだ私も清水さんに聞きながら探っているのですが、不良に憧れて学生時代を過ごして、家庭環境にも複雑なものを抱えている女性です。

清水:生まれた町の雰囲気も含めて、裕福な家庭で育ったが故に不良に憧れていた子が、親といさかいがあって飛び出してしまうんです。そして、東京に出ていろいろなことにもまれ、やがてタクシー運転手になっていきます。

車に対してすごく興味がある設定なので、車を買うくらいのお金は貯めていきたいと思っているのですが、自分にもしっかり投資する子だと岡田さんに聞いております。

――そういった女性を岸井さんにお願いした経緯を教えてください。

清水:それはもう、どんな役でもやっていただけそうじゃないですか。僕は今回初めてご一緒しますが、いろいろな役柄を素晴らしい演技で真摯(しんし)に向き合って演じられている姿を映像で拝見していたので、今回女性3人のお話という設定が決まっている中で、可能であればそのうちの1人をやっていただけたらいいなと最初から思っていました。

3人の中で一番謎めいている部分が多いので、おそらくすごく心配されているのではないかと思います(笑)。一番は何よりも、岸井さんなら翔子を岡田さんの思い以上に具現化してくださるのではないかなという気持ちがあって、お願いしました。

――岸井さんは、このラブコールをお聞きになってどんなお気持ちですか?

岸井:そこまで言わないでくれとプレッシャーを感じています。

思春期を振り返り「反抗しておけばよかった」

――役との共通点はありますか?

岸井:私は目立った反抗期がなかったのですが、それは自分で頑張って抑えていたというか、「思春期だから今こういう悩みにぶつかっているんだ」と、自分を抑え込もうとしていた部分があったように思います。でも、そこに素直に従っていったのが翔子だと思うんです。

私自身が当時そうやって耐えられた悩みというのは、結局は大人になっても変わらずずっと続いているので、そのせいでいつまでたっても大人になり切れない感覚がある気がします。これが続くのだったら反抗しておけばよかったなと思っているので、翔子に対して少しうらやましい部分もあります。

翔子には、素直で気持ちのとおりに動くような瞬間があるので、自由に、気持ちの赴くままに演じられたらいいなと思っています。

――翔子は不良に憧れていた設定ですが、岸井さんご自身が学生時代に憧れていたものはありますか?

岸井:ないですね。元々静かに生きていたいという願望があるんですよね。制服も校則どおりに着て、はやりものにもあまり興味がありませんでした。新しいものというよりは、潜在的に好きだったものを見つけてそれを掘っていくことの方がいまだに多いので、好きなものは今もあまり変わらず、そのときから映画館によく行っていました。「こうなりたい」という感覚はあまりなかったですね。

――翔子は、乗客にドリフト走行をちらつかせたり、勤務明けには缶チューハイを一人あおったりと、言動はどこまでも粗野ですが、岸井さんは真逆な性格といってもいいでしょうか?

そうですね。安全運転が好きだし。ハーブティーとかを飲んでソファで本を読みたいタイプです。

でも、感情の処理の仕方が違うだけだと思います。私にも耐えがたい感情はありますが、私はそれを対自分でも、対人でもなく、映画とか本とか植物とかに循環させるんですね。一方翔子は、自分や人やものにぶつけてしまう。そのベクトルの違いというだけで、内面的に悔しい思いや耐えきれない感情を持っているというところは一緒です。

――翔子の衣装がかなり派手だと伺いました。

岸井:派手でしたね。普段は絶対に選ばないです。でも意外と派手な服を着る役は結構あって、派手に派手を合わせてもいけるというのもなんとなく分かってきました。色に色とか、柄に柄とか、結構強烈ですね。

清野菜名らと読み合わせ、明るい雰囲気に手応え

――清野菜名さんとの共演はいかがですか?

岸井:すごく楽しみです。まだ一度しかちゃんとお話しできていないのですが、本読みをやってすてきな雰囲気が分かりました。

清水:先日3人での読み合わせがあって、僕らが少し暗い話に感じるんじゃないかなと思っていたのが、3人が会話をすると「こんなに明るく感じるんだ?」と思うくらいテンポが良くて。

岸井:めちゃくちゃ喋ってます。それぞれがばーっと喋って、それだけでも明るい雰囲気が出ていました。なので、きっと現場も明るくできるのではないかなと思っています。

清水:それぞれのキャラクターが本人とは違うタイプなので、いつもと違うキャラクターを演じているというふうに見えるのが逆に面白くて、くすくす笑いながら見ていました。

岸井:面白くなると信じています。

――注目してほしいポイントはどこですか?

岸井:3人の会話のテンポや、それぞれが何かを抱えながらも懸命に生きる姿を見てほしいです。「友達ってこうだったかもなぁ」と、忘れていたような感情がどんどん出てくるのかなと思います。

清水:もしその3人が出会わなかったら3人とも独りぼっちだったかもしれないという人間同士がたまたま出会うんです。そして初めて会ったときから会話のテンポが妙に合っているという。なので、その3人がそこから先どういうふうに変化していくかを楽しみにしていただければと思います。

■「明日(月曜)からの仕事も頑張れるようなドラマに」

――日曜の新枠となりますが、その重役を背負うお気持ちはいかがですか?

岸井:あまり考えないようにはしています。“日曜の夜ぐらいは”、テレビの前に座って、ハーブティーでも飲みながら見てほしいです。

――ちなみに、岸井さんの日曜の夜の定番の過ごし方はありますか?

岸井:私、実は日曜の夜が大嫌いなんですよ。終わってしまう感じが苦手だったんです。大人になって曜日感覚がなくなった今も、夕暮れ時が一番苦手で、何かが強制的に終わらせられるという感覚がすごくつらいんですよね。だから毎日大変です。夕焼けの時間が寂しくて…。

でも、明日(月曜)からの仕事も頑張れるようなドラマにできたらいいなと思います。元気をあげるというよりは、なんかちょっと希望が見えるというか、一歩進んでいる姿に勇気をもらうというか、皆さんとあまり変わらない人間像がそこに映っていればいいなと思います。

「日曜の夜ぐらいは...」に出演する岸井ゆきのにインタビューを実施した/(C)ABCテレビ