NHK『BSマンガ夜話』の司会などで知られる民俗学者の大月隆寛さんが、学内対立をめぐり教授として勤務していた札幌国際大学から懲戒解雇されたのは不当だとして、解雇無効などを求めていた訴訟は2月16日、札幌地裁で判決があった。

中野琢郎裁判長は、解雇は違法で無効だとし、大学側にバックペイ(解雇期間中の賃金相当額)と慰謝料50万円の支払いを命じた。

●留学生の受け入れめぐり対立

判決によると、同大では留学生の受け入れをめぐり、語学力が不十分な学生が相当数いるなどとして、学内対立が発生。2020年3月、退任間近だった城後豊学長(当時)が受け入れを問題視して、記者会見を開いた。

大月さんはこの記者会見に参加していた。さらにツイッターで大学を批判するような投稿をしたことなども理由に、同年6月に懲戒解雇された。

判決は、記者会見で大月さんは同席していたにすぎず、主体的に意見を述べたことはなかったと認定。ツイッターの投稿についてもアカウントが実名ではないことや、具体的な事実を摘示するものとまでは言えないことなどを挙げ、懲戒解雇を無効とした。

大月さんは、裁判中に定年の63歳を迎えた。裁判では、定年後再雇用の成否も争点となったが、解雇事由がないことなどから、雇用が継続されるものと期待することに合理的な理由があるとして、現在についても、定年後再雇用された教職員としての労働契約上の地位にあると認めた。

懲戒解雇された大月隆寛元教授、札幌国際大に勝訴