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 アメリカとカナダの研究グループが、科学分野において、「男性」と「女性」、「母」と「父」などの代わる用語を探すべきだと提案している。

 例えば男性は「精子生産者(perm-producing)」、女性なら「卵子生産者(egg-producing)」に言い換えたほうが望ましいとと語るのは、「生態・進化生物学言語プロジェクト(Ecology and Evolutionary Biology Language Project)」の研究者たちだ。

 父親と母親の場合なら、科学分野では「親」、「卵子提供者」、「精子提供者」と表示されるべきという。

【画像】 科学を植民地主義・白人至上主義・家父長制から脱却させる

 びっくりする提案だが、科学といっても、あくまで生態学や進化学においての話だ。

 そうした文脈においては、父親と母親はただの「親」、あるいは「卵子提供者」や「精子提供者」という表現がより正確で、社会的にも有害な影響が少ないのだという。

 『Trends in Ecology and Evolution』(2023年2月6日付)に掲載された論文では、次のように説明されている。

西洋科学のかなりの部分が、植民地主義・白人至上主義・家父長制に根ざしている。これらの権力構造が我々の科学文化にずっと浸透してきたのだ

 これまで西洋科学は社会に素晴らしい発展をもたらしてきたが、そこには暗い影の部分もある。

[もっと知りたい!→]マウス実験は研究者の性別によって結果が異なる可能性。男性のニオイでストレス反応を起こす(カナダ研究)

 とりわけ、植民地主義の犠牲になってきた人々など、歴史的に科学から排除されてきたグループもいるのである。

 この言語プロジェクトの目的は、そうした人々にとって有害と考えらえる用語を別のものに置き換えることだ。

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科学分野で置き換えるべき言葉トップ24

 生態・進化生物学言語プロジェクトは、置き換えるべき用語の上位24語と、その代案を発表している。

 たとえば、「原始的」 や「高度な」 は、「人間や人間の習慣を軽んじており、階層的な進化を示唆していることから科学的にも不正確」であるため問題だとのこと。その言い換えとして、「先祖の」や「派生」を提案する。

 また「適者生存」は、「優生学能力主義・社会的ダーウィニズム」につながる可能性があるため、「自然選択」や「生存率の差異」が望ましいという。

[もっと知りたい!→]生き物って面白い!性別を変える6種の生物とその科学的理由

 「市民科学」も「市民でない人」にとって有害になりかねないので、「参加者科学」や「コミュニティ科学」が提案されている。

 ブリティッシュコロンビア大学のダニエル・イグナス博士によると、このプロジェクトの目標は「生きた文書」になることだそうだ。

有害と感じる言葉やその言い換えは、時間とともに変わるでしょう。オンラインで提案してもらえば、その声に耳を傾けられるようになります。

個人だけでなく、組織や地域社会レベルでも参加してもいいでしょう。この草の根的な取り組みが、人々をひとつにすることを願っています

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References:Science needs to stop using male, female, mother, father: researchers / written by hiroching / edited by / parumo

 
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科学分野では「男性・女性・母・父」に代わる用語を使うべきだと提案する研究者グループ