“令和の流行りはスマホから生まれる”と言われる現代。流行の中心にいる大学生たちが持つスマホのホーム画面には、一体どんなアプリが並んでいるのか。

 今回は、『ミスミスター青山コンテスト2022』のファイナリスト・永津明奈と、『ミスミスターSFCコンテスト2022』のグランプリ・石本菜々子。そして、Z世代ターゲットとしたブランディング・マーケティング支援を行う株式会社bienoの代表取締役・奥原ゆきの氏に話を聞き、彼女たちのスマホの中身から2023年の最新トレンド事情をひも解いていく。今回の取材においては、同社の実施した「現役大学生の"スマホアプリ・ホーム画面"調査」の結果をベースに、SNSやカメラ・写真アプリ、ゲーム、エンタメアプリなど、さまざまなジャンルのアプリにおける使用実態や、意外な大学生のリアルについて語ってもらった。

【画像】ミスコン出場者たちの"スマホの中身"を大公開!

・現役大学生は『Snapchat』でコミュニケーションを取るのがトレンド?

ーーまずは簡単に、永津さんと石本さんがどういった方なのかをご紹介いただきたいと思います。

永津明奈(以下、永津):『ミスミスター青山コンテスト2022』ファイナリストの永津明奈です。理工学部に入っていてプログラミングをやっているのですが、SNSに関してはあまり積極的に使ってこなくて。ミスコン出場を機にSNSへの投稿をするようになりました。

奥原ゆきの(以下、奥原):今年の『ミスミスター青山コンテスト2022』で一番最初に「あの子かわいい!」ってSNSでバズっていたのが永津さんなんですよ。

ーーそうだったのですね! 続いて石本さん、お願いします。

石本菜々子(以下、石本):『ミスミスターSFCコンテスト2022』グランプリの石本菜々子です。環境情報学部の2年生でカエルの研究をしています。部活はカヌー部に入っていて、今日も埼玉で朝練をして、SFCカエルの研究をして、ここに辿り着きました(笑)。私もSNSは見る専で、ミスコンを機に投稿するようになりました。

――ミスコン出場を機にSNSへの投稿を積極的にするようになった、ということですが、その際にどういった意識の変化があったのでしょうか。

永津:これまで、『Instagram』はカフェを検索するために使っていましたが、ミスコンに出場してからは“どういう写真を撮ろう”“この人はどうやって撮っているんだろう”という目でSNSを見るようになりました。

石本:たしかに。私も、写真の撮り方を学ぶために見ています。

永津:どんなポーズがいいのかな? とか。

奥原:そうなると、レコメンドされてオススメに出てくるものも変わってきますか?

永津:そうですね。変わってきました。

――実際に調査結果をベースに考えていくと、SNSランキングの1位は『LINE』、2位は『Instagram』、3位は『Twitter』、4位は『Snapchat』、5位は『TikTok』でした。写真に重きを置くとなると、『Twitter』を使うことは少なくなってきました?

石本:逆に、SFC生は使っている人多いんですよね。

奥原:ああ、たしかに!

石本:授業で使うこともあったりして。

奥原:石本さんがSFCだからというのもあるかもしれないね。『Twitter』はコアな情報を収集するためのアプリだと思うんですよ。美容とかカフェなどは『Instagram(以下、インスタ)』のほうが充実しているけど、コアな情報となると、インスタのハッシュタグでは出てこなかったりするので。ビジネスもそうだし、カエルの研究みたいにテキスト上で面白い情報はいまだに『Twitter』が有利な気がします。

――永津さんの周りでは、いかがですか?

永津:私のまわりは、少ないです。

奥原:そもそも、『Twitter』のIDを友だちに教える?

永津:しないです。見る専門のアカウントなので。

奥原:そうなると、いまの時代は『Twitter』の役割を果たしているのが、『Snapchat(以下、スナチャ)』になっているのかも。もともとTwitterって、「今日バイトだ」とか、「三限だるい!」とか。何気ないつぶやきをするためのアプリだったと思うんですけど、いろんな人が炎上したりするのを見ると、公開アカウントでつぶやくのが怖くなってきているので。

――『スナチャ』は、公開したものがすぐに消えますもんね。

奥原:そうなんですよ。消えちゃうから、気軽に愚痴とかも書ける。

石本:保存したら、バレますしね(笑)。

奥原:そうそう。スクショしたら通知が届く機能があるのは大きいかも。

――実際に調査の結果でも『スナチャ』の利用率が50%を超えていて驚きました。永津さんと、石本さんも使っているのでしょうか?

永津 & 石本:結構使ってます!

――『スナチャ』のいちばんの魅力というのは、投稿がすぐに消えるところ?

石本:そうですね。だから、考えずに投稿できるというか。あと、ストリークという写真や動画を同じ友だちに何日連続で送ったかカウントしてくれる機能があるんですけど、それを積み重ねていくのがたのしかったりします。私は最高でも100日くらいなんですけど、それが途切れたときの絶望感は半端じゃなかったです。

永津:私もストリークは使っていますね。あとは位置情報を共有できる機能もあるから、そのために使っている子もいますね。『Zenly』が終了してしまったので。

奥原:みんな、位置情報を共有するのって、あまり抵抗がない?

永津:仲良い人としか交換しないので。むしろ、もう「見てていいよ」って感じです(笑)。近くにいたら、「会おう!」となりますし。

石本:私もです。待ち合わせの時とか、めっちゃ便利じゃないですか?

永津:そうそう。近づいてくるのが分かるし!

奥原:石本さんは、部活でも使っているんだよね?

石本:はい。カヌー部でグループを作って、位置情報を共有しています。LINEとかだと、「おつかれさまです」みたく堅い文章になってしまうけれど、『スナチャ』は砕けたやりとりができるので好きですね。

奥原:『スナチャ』の友だちの人数は、どのくらい? どのSNSよりも少なくなりがちな気がするんだけど。

永津:私は52人です。

石本:私は70人いますね。

奥原:2人とも、結構いる方じゃない?

石本:でも、直接やりとりをしているのは15人くらいです。

――『LINE』と『スナチャ』の使い分けは、どうされているのでしょうか。

石本:『スナチャ』は、そんなに話さない人にも送れるけど、『LINE』は連絡手段として使っています。

――逆に、残ってほしいものは『LINE』でという感じ?

石本:そうですね。『スナチャ』は残らないからこそ気軽にリアルな実態を共有することができます。

――アンケート結果で『TikTok』の利用率が低いことに驚きました。みなさんは、使われていますか?

永津:私は、結構見てます!

奥原:『TikTok』って、検索ツールになるの? それとも、暇つぶし?

永津:暇つぶしですね。

石本:検索ツールにはなっていないです。

永津:犬とか動物を見て癒されたり。

奥原:やっぱり、見る専門になると優先度は下がる傾向になるのかもしれません。

・ミスコン出場者たちが使っている“写真・加工アプリ”とおすすめアプリとは?

――では、次の部門にいきましょう。写真・加工アプリのランキングを見ると『Pinterest』が1位、『Picsart』が2位、『SODA』と『LINE Camera』が同率3位、『Dazz』が5位でした。お二人はこの中だとどのアプリを使っていますか?

永津:私は『Pinterest』と『Dazz』を使っています。

石本:私も『Dazz』使ってます! あとは『Picsart』。

――お二人とも『Dazz』は共通しているんですね。

永津:私たちの世代は、フィルムカメラが流行ったので、その影響もあるのかもしれません。

奥原:なんだかんだ、フィルムカメラを持ち歩くのって大変だったりするもんね。

永津:そうなんです。現像とかも面倒なので、スマホで同じような写真が撮れるならそれでいいかなって。

――『Pinterest』は、どのような時に使うのでしょうか。

永津:ミスコンの最中は、映える写真の撮り方を学ぶために使っていました。アクセサリーとかも、検索するとそのままサイトに飛べたりするんですよ。

――『Picsart』は?

石本:編集に使っていますね。画像を切り取ったり。

――そのほかに、画像のアプリで使っているものはありますか?

永津:あっ、『meitu』もオススメです!

石本:私も使ってる! 細かく編集ができるので、ミスコンに出場していた子たちも使っていました。

奥原:みんな、便利なアプリの情報ってなにで集めてる?

石本:私は『YouTube』で仕入れます。オススメのアプリ紹介とか、インフルエンサーの質問コーナーとか。

永津:私の場合は、完全に友だちです。トレンドに詳しい子が多いので、『BeReal』とかも、友だちに教えてもらってやりました。

奥原:『BeReal』はどういうアプリなの?

永津:毎日同じ時間に通知が来て、自分の写真を送るんです。他の人の写真を確認するのも、自分の顔を撮らなきゃいけなくて。

奥原:すっぴんでも撮らなきゃいけないんだ! 浮気防止にはなりそうだけど、結構ハードル高いね。

永津:たしかに(笑)。

――やはり、ミスコンに出場してから、使う写真・加工アプリは変わりましたか?

永津:そもそも、ミスコンに出る前は自撮りをすることがなかったので……。

――そう考えると、自撮りをする機会ってなかなかないですもんね。

永津:そうなんですよ。友だちと撮る時も、基本的にノーマルカメラで。

石本:私は、友だちの加工アプリで撮ることが多かったです。自分で入れるようになったのは、ミスコンに出てから。

奥原:友だちと撮る時って、ちょっと気を遣うよね。ノーマルでいいかな? とか。

石本:そうそう。ちょっと加工強いかな? って。

永津:私は逆に、ミスコンに出てから加工をつけなくなりました。フィルターをつけるとDMが来ちゃうんですよ。「そのままの方がいい!」とか。

奥原:なるほど。ノーマルが好きな人って多いよね。

石本:結局、自分のスマホで撮ってもらうのがいちばん安心するかも。

――ゲームについての調査結果では、『Among Us』が1位、『みんはや』が2位といった結果になりました。みなさん、ゲームはあまりやられないのですか?

永津:やらないですね。

石本:男子はやっていますけど。授業が一緒になった人とか、隣で三画面を駆使してやっているので、「すごい……」って。

奥原:『東大王』(TBS系)の影響もあってか、『みんはや』のように常識を問うクイズを入れている人もいます。

永津:そういえば、コロナ禍の最初のころはオンライン人狼を入れていました。

石本:みんなでできるゲームは、ディズニーの待ち時間とかにもいいですよね。

奥原:ひとりでいる時は、ゲームするなら『YouTube』とか『Netflix』を観るか、となるかもしれません。

――エンタメのアプリでは、1位が『Netflix』、2位が『Amazon Prime Video』、3位が『TVer』、4位が『ABEMA』、5位が『少年ジャンプ+』と面白い結果になっていますね。お二人も『Netflix』は結構使っていますか?

永津:そうですね。韓国ドラマが好きなので。アニメを観る時は『Amazon Prime Video』で、『ABEMA』では『オオカミくんには騙されない』シリーズを観たり、『RIZIN』のPPV(ペイパービュー)を購入したこともあります。

中本:私も、韓国ドラマを観るために『Netflix』を入れています。

奥原:自分の好きな時間に、好きなものを観られるのは大きいですよね。

奥原ゆきの

中本:最近、全然テレビを観ていないかも。

奥原:ドラマがやっている21時とかって、大学生は家にいることが少ないですからね。でも、今は『TVer』で見逃し配信を観られるのでいいですよね。『silent』(フジテレビ系)のように話題になったドラマは、みんな『TVer』でチェックをしています。

ーーなるほど。調査結果では、今年注目のアプリとして『MOODA』『トリマ』『OiTr』の3つが挙がっています。みなさんのなかで使っている・知っているアプリはありますか?

永津:わたしは無いですね……。

石本:『トリマ』はつい最近インストールして使い始めました。移動距離が長いので、すぐにポイントが貯まって驚いています(笑)。

奥原:石本さんにはピッタリのアプリかもしれない(笑)。『OiTr』は公共施設の個室トイレに生理用ナプキンを常備して無料で提供してくれるフェムテック的なアプリで、各大学にも設置されているんです。『MOODA』は今日の体調を似顔絵的に記していくもので、ライフログ的に使えるんです。

――続いてはホーム画面について教えてもらいたいのですが、調査の結果だとシンプルなパターンと、Dockにフォルダを設定する機能重視のパターン、フォルダやアプリのアイコンをカスタマイズするパターン、ブックマークなどをそのままホーム画面にとにかく並べるパターンなど、4種類があるようですね。

奥原:2人とも、めちゃくちゃシンプルなタイプだね。

永津:私は、ずっとシンプルです。

石本:可愛くしようかなと思ったこともあるけれど、挫折してしまいました(笑)。

奥原:私も、高校生の時とかは可愛くしてたけど、いまはシンプル。結局、使いやすさが一番大事というところにたどり着きました。

ーーお二人のホーム画面を見ているといくつか共通するものがあるのですが、たとえば『TimeTree』などはどういった用途で使っていますか?

永津:ミスコン関係のスケジュール管理ですね。

石本:私はそれに加えて、家族でのスケジュール共有にも使っています。「石本家」というカレンダーで全員の予定がわかるようにしてあって。

ーーすごく仲の良いご家族なんですね! それも今ならではの感覚で面白いです。最後に、それぞれのおすすめアプリについても聞かせてください。

永津:私は『Lemon8』です。インフルエンサーさんの方がおすすめの韓国コスメや服、旅行などをまとめてくださっていて、『Twitter』や『インスタ』よりもレイアウトが見やすく、とても使いやすいです。

奥原:雑誌の切り抜き、女性向けまとめサイトっぽい感じがしますね。少し前の『MERY』などを見ている感覚に近いかもしれません。

石本:私は先ほど話題にも出た『meitu』ですね。顔の補正やフィルター高画質化だけでなく、最近流行りのAI加工などもできたりするので。

ーーこうして調査結果をみるだけでなく、実際にお話を聞くことで大学生のリアルな利用実態を知ることができました。ありがとうございました!
(取材=中村拓海、構成=菜本かな、撮影=梁瀬玉実)

永津明奈、奥原ゆきの、石本菜々子(撮影=梁瀬玉実)