瀬戸利樹と中田圭祐がW主演を務める「僕らのミクロな終末」(夜0:55-1:30、ABCテレビ)の第3話2月12日に放送された。息詰まる状況のなかでいたいけな男子高校生・遊馬(富本惣昭)が登場し、彼のピュアな存在に心が和んだ。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】食べ終わったカップラーメンを見つけて不審がる中田圭祐“律”

■「僕らのミクロな終末」とは

同作は、実写ドラマがヒットした「ポルノグラファー」で知られる丸木戸マキによる同名コミックを原作に、地球滅亡寸前というSFなシチュエーションで異色の終末を描く恋愛ヒューマンドラマ。傷を抱えた不器用な登場人物たちの心情が交差する恋愛模様と同時に、絶望の中で奇跡を信じたくなるようなストーリーを展開していく。

主人公・仁科真澄役を瀬戸が、真澄の大学時代の“昔の男”・日下部律役を中田が、アイドルオタクピュア男子高校生・広瀬遊馬役を富本が、国民的アイドル・嘉神まどかとその”自称妹”・めぐる役の一人二役を井手上漠が演じている。

また、真澄と律が大学時代所属していた出版サークルの同級生・橋本陽介役に大朏岳優、サークルの部長・露口役に前田瑞貴、律に夢中なミスキャンパス・谷口美佐役に西村美柚と、フレッシュな面々が共演。さらに、真澄の母親役に遊井亮子、律の母親役に岡谷瞳、律の父親役に成松修、めぐるの母親役に舟木幸、めぐるの父親役に飯田基祐が配役されている。

主題歌は、水野良樹が主宰するプロジェクト“HIROBA”から「ふたたび(with 大塚 愛)」。作詞作曲は初のタッグとなる水野&大塚愛が共作、編曲は蔦谷好位置が手掛け、真澄と律のもどかしく、苦しくも愛おしい関係性に重なる楽曲の世界観が、同作のストーリーに寄り添う。

■律の家に行くと少年が横たわっていて…

安楽死できる薬を渡す代わりに死体の処理を手伝ってほしいと真澄に持ちかけた律。死にたがっていたヤツに渡しただけと律はいう。

律の家へと向かうと男子高校生がソファに横たわっていた。真澄は驚いて「こんな少年に薬を渡したのか?」と非難し、口論しながらダイニングに行くと食べ終わったカップラーメンがテーブルに放置されている。律が食べた覚えがないと不審がっていると、背後で物音がする。

■遊馬は安楽死の薬を飲んだはずだったが……

背後での気配に気づいた真澄がドキドキしながら振り返るとそこには先ほどの少年・広瀬遊馬(富本)が立っていた。遊馬は「あの薬、全然効かねぇじゃん」と律に詰め寄る。今朝まで心臓が止まっていたと反論する律に、だいたいからして一緒に死ぬという話だったのに薬を飲まなかっただろうと律を糾弾する。

真澄はとりなすように遊馬に自殺しようとした理由を尋ねる。遊馬は高校に入学して推しのアイドルに似た女子に一目惚れして告白したことから高校で立場が悪くなってしまったこと、推しのアイドルが自殺して自暴自棄になったことを話す。

真澄は高校を卒業したら環境は変わる、卒業するまで生き延びてみろと遊馬を励ます。その言葉に希望を持って考えを改める遊馬だったが、彼は地球滅亡が近づいていることを知らないでいた。しかし遊馬は、世界が終焉に向かっていることを知ると、そもそも自殺しに来たのに「家に帰りたい、死にたくない」と泣いて訴えるのだった。

律の死体処理について恐ろしいシーンが展開せずにホッとした反面、いたいけな男子高校生の事情と、地球滅亡の現実を知って絶望する姿に憐憫の情が湧く。そして、真澄と律の息詰まる関係と深刻な状況のなかに現れた、天然過ぎるほどにピュアな遊馬の存在に心が和んだ。

◆構成・文/牧島史佳

瀬戸利樹“真澄”と富本惣昭“遊馬”/(C)丸木戸マキ/祥伝社 ABC