瀬戸利樹と中田圭祐がW主演を務める「僕らのミクロな終末」(夜0:55-1:30、ABCテレビ)の第3話2月19日に放送された。真澄(瀬戸)の母への葛藤が描かれ、律(中田)が見せる優しさが感動を呼んだ。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】瀬戸利樹“真澄”を抱き寄せる中田圭祐“律”

■「僕らのミクロな終末」とは

同作は、実写ドラマがヒットした「ポルノグラファー」で知られる丸木戸マキによる同名コミックを原作に、地球滅亡寸前というSFなシチュエーションで異色の終末を描く恋愛ヒューマンドラマ。傷を抱えた不器用な登場人物たちの心情が交差する恋愛模様と同時に、絶望の中で奇跡を信じたくなるようなストーリーを展開していく。

主人公・仁科真澄役を瀬戸が、真澄の大学時代の“昔の男”・日下部律役を中田が、アイドルオタクピュア男子高校生・広瀬遊馬役を富本が、国民的アイドル・嘉神まどかとその”自称妹”・めぐる役の一人二役を井手上漠が演じている。

また、真澄と律が大学時代所属していた出版サークルの同級生・橋本陽介役に大朏岳優、サークルの部長・露口役に前田瑞貴、律に夢中なミスキャンパス・谷口美佐役に西村美柚と、フレッシュな面々が共演。さらに、真澄の母親役に遊井亮子、律の母親役に岡谷瞳、律の父親役に成松修、めぐるの母親役に舟木幸、めぐるの父親役に飯田基祐が配役されている。

主題歌は、水野良樹が主宰するプロジェクト“HIROBA”から「ふたたび(with 大塚愛)」。作詞作曲は初のタッグとなる水野&大塚愛が共作、編曲は蔦谷好位置が手掛け、真澄と律のもどかしく、苦しくも愛おしい関係性に重なる楽曲の世界観が、同作のストーリーに寄り添う。

■真澄のもとに母から連絡が入る

2023年9月18日、隕石落下まであと6日。律と過ごした12年前の年越しを思い出しつつも、もうあの日々には戻れないことに真澄は胸を痛める。遊馬を実家へ送り届けるために向かう浜松への道中、真澄の携帯電話に母親から着信が入る。

真澄が高校時代にゲイであることを知り、「子どもができないのはうらやましい」と親とは思えない言葉を放つような母だった。しかし、体を悪くし、食べ物とライフラインも尽きたことから、真澄を頼ろうと連絡してきたのだった。

■自責の念に駆られる真澄に律は優しく寄り添う

すがりつくような母の声に感情を揺さぶられ、律や遊馬とは別れて母の元に行くという真澄。遊馬も同意するが、律は真澄の腕をつかんでやめておけという。「ろくでもない母親と縁を切ったんだろ?」と言われて、言葉が出ない真澄。

しかし、それでも行くという真澄に、律は「じゃあ、俺もやーめた。家に帰ってゴロゴロしてるわ」と鷹揚に言って車に乗り込む。約束が違うと遊馬は慌てるが、律は「真澄が行かないなら俺も行きたくない、面倒くさくなってきた」と言う。車までツカツカと戻って遊馬を連れて行ってやれと言う真澄に向き直り、律は真澄の目を見つめて「残り少ない人生、俺もお前もしたいようにするだけだ」と告げる。それを聞いた真澄は「俺のしたいこと……?」とつぶやく。

浜松の遊馬の実家へと車は向かい、真澄も同乗していた。海沿いに車を止めて休憩することにし、遊馬ははしゃいで海に向かって駆け出していく。真澄と律は浜辺の流木に腰を下ろした。

「ごめんね。お母さんのとこ、行きたかった?」と尋ねる律に真澄は「行きたくなかった」と言う。考えて考えてそれでも行きたくなかったと涙する真澄。手をつないで歩いた母との楽しかった思い出が脳裏を過ぎり、見殺しにしてしまうことに自責の念に駆られる。

嗚咽しながら自分の心の冷たさに絶望する真澄に、律は優しく「真澄、行かなかったのは俺のせいだろ」と声をかける。お前は悪くないよと肩を抱く律に真澄は寄りかかってしゃくりあげる。真澄のやるせない辛さに見ているほうも涙がこみ上げる。また、真澄の心情を理解し、真澄が欲しかった言葉をかける律の姿にさらに泣けてくるのだった。

◆構成・文/牧島史佳

「僕らのミクロな終末」第4話より/(C)丸木戸マキ/祥伝社 ABC