本記事は、東京海上アセットマネジメントのマーケットレポートより転載したものです。

インフレ進行下で注目される「空港インフラ」

世界的にインフレが進行するなか、東京海上アセットマネジメントは、高い参入障壁等により一定の地域においてモノ・サービス等を独占・寡占していると考えられる「モノポリー企業」に注目しています。今回は、一般的に参入障壁が高いインフラ・公益企業のなかから、「空港インフラ」のトピックをご紹介します。

【本記事のポイント】 ・世界の航空旅客輸送は新型コロナウイルスパンデミックから回復傾向が続く。国内線国際線ともに2019年10月比で約7割以上の水準まで回復。

・世界の総旅客数が新型コロナ感染拡大以前の水準に戻るのは、2024年の見通し。航空旅客需要は長期的に高まると予想され、空港運営会社は利用者が増加することで恩恵を受けると期待。

・世界の空港運営会社の収益は2023年度以降、コロナ禍前の水準に戻り、拡大する見通し。

世界の航空旅客需要は力強く回復

世界の航空旅客輸送は新型コロナウイルスパンデミックから回復傾向が続いています。IATA(国際航空運送協会)が発表した国際旅客市場分析(2022年10月)によれば、旅客数と飛行距離を反映させた世界全体の航空旅客輸送はコロナ禍前の2019年同月比の約74%まで回復しています。

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢など、さまざまな要因によって回復が遅れることが考えられますが、IATAでは、世界の航空旅客数は2024年までに2019年の水準を回復すると予想しており、今後、航空旅客需要は回復していくことが見込まれます。

航空旅客需要は、国内線・国際線ともに改善

主要地域別で見ると、厳しい旅行規制などの影響を受けたアジア地域のマイナスが世界全体に大きく影響を及ぼす一方、欧米を中心に入国制限の緩和が進んだことなどを背景に、北米、欧州、中南米地域では、マイナス幅が世界平均を下回り回復しています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、空港業界は未曽有の危機に見舞われましたが、世界の航空旅客輸送は回復傾向にあり、空港運営会社は、今後、中長期的に成長が期待される投資先として注目を集めるものと考えます。

新型コロナパンデミックから回復が期待される航空需要

ウクライナ情勢や世界的な景気後退などの影響を受けて航空需要の回復が遅れることが考えられますが、国際空港評議会(ACI)は2022年10月6日に、世界の総旅客数が通年で新型コロナウイルス感染拡大以前の水準に戻るのは、2024年になるとの見通しを発表しています。

新興国を中心とした世界経済の拡大などにより、航空旅客需要は長期にわたって高まることが予想されており、空港運営会社は、空港施設利用者が増加することで中長期的に恩恵を享受することが期待されます。

世界の空港運営会社の収益は、拡大する見通し

世界の空港運営会社の株価は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて大きく下落しましたが、社会経済活動の正常化に向けたさまざまな取り組みが進んだことで回復傾向となっています。また、世界の空港運営会社の収益は2023年度以降、コロナ禍前の水準に戻り、拡大する見通しです。

新型コロナウイルスへの対応は続くものの、世界では航空旅客需要の回復が予想され、今後、空港運営会社は魅力的な投資先として投資家から注目が高まることが考えられます。

※上記には過去の実績および東京海上アセットマネジメントの見解が含まれる場合がありますが、将来の動向等を示唆・保証するものではありません。 ※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください。ページに見当たらない場合は関連記事『航空需要の回復を背景に注目が高まる空港インフラ新型コロナの影響から回復し、今後、成長が見込める投資先として注目~【投資のプロが解説】』をご覧ください。

東京海上アセットマネジメント株式会社

(※写真はイメージです/PIXTA)