特急「踊り子」などに使われた国鉄型185系が定期運行を終了して2年が経とうとしています。車両はいまだ全廃されておらず、それどころか臨時列車として時々運行されます。今春もそこそこ広範囲に顔を出すようです。

定期運用時代の185系

東京と伊豆方面を結ぶ特急「踊り子」などに使われた国鉄型185系電車は、2021年3月13日に定期運行を終了。登場から40年間、観光の足だけでなく「湘南ライナー」などとして通勤用でも使われ、ふたつの顔を持つ新しいコンセプトで設計された電車でもありました。

引退に際し、その後の処遇がどうなるのか注目されましたが、2023年2月現在、残る車両を全廃するという公式発表はありません。それどころかこの2年間、臨時列車としてなお各地へ顔を出しています。

約40年前、185系は斬新な車両として登場しました。ビジュアルは真っ白い車体に3本の大きな緑色ストライプ。ドアは大型化され、座席は背もたれを動かして向きを変える転換クロスシートでした。通勤用を兼ねるため、窓は開閉できました。

185系は急行「伊豆」としてデビューします。その後は特急「踊り子」、上野~水上間の特急「谷川」、上野~大宮間の「新幹線リレー号」、スキー列車「シュプール号」などに使われ、東京都心と関東近郊の各地を結びました。

1995(平成7)年からのリニューアルでは、座席が回転リクライニングシートに、車体塗装が上毛三山をモチーフにした3色のブロックパターンに、それぞれ変更されました。大きな転機が訪れるのは、登場から約30年が経過したころでした。

老朽化も否めなくなり、2013(平成25)年には東海道伊東線普通列車での運用が熱海以南に短縮。翌2014(平成26)年には、高崎線の運用から撤退しました。185系に廃車が発生し始めます。最後の定期運用となった「踊り子」も、2020年3月のダイヤ改正からE257系電車へ順次置き換えられていきました。

3~6月にかけての臨時列車は

では、今年2023年にも185系は走るでしょうか。JR東日本が1月に発表したところによると、直近では3月5日(日)に小机~甲府間で臨時列車が運行されます。鉄道開業150年と銘打った「185系で行く横浜線と甲斐路の旅」。区間は短いものの、さながら往時の「はまかいじ」のようです。なお、甲府駅電留線で車内イベントが行われます。

ほかにも“お花見臨”として、4月22日(土)と23日(日)および5月3日(水)~6日(土)にかけ大船~桐生間で特急「あしかが大藤まつり号」が運行されます。

さらに6月3日(土)と4日(日)、17日(土)と18日(日)にも特急「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」が運行。それぞれ大宮~越後湯沢間を片道ずつ走り、途中は「日本一のもぐら駅」として知られる土合駅群馬県みなかみ町)に停車します。

首都圏を起点に、西は甲府、北は越後湯沢と、老体ながらまだまだ活躍する場を目にする機会がありそうです。

185系電車(画像:写真AC)。