アルファタウリの新車発表会 (c)RedBull Content Pool

 今年も日本の放送局でF1中継が存続されることになった。フジテレビは2月23日、CS放送『フジテレビNEXT』で全戦にわたって放送すると発表した。グランプリ初日のフリー走行から全ての走行セッションを完全生中継する。

 初戦は3月3日開幕のバーレーンGP。米ラスベガスで開催されるラスベガスGPが復活するなど今季は史上最多の全23戦で開催され、開幕時期も3月第1週に早まった。ところがF1公式サイトでは日本での中継については長らく「未確定(TBC)」となっており、日本のF1ファンを心配させていた。

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 これまでは米『FOXスポーツ』が東アジアでの放送契約を結び、フジテレビや動画配信サービスの『DAZNダゾーン)』は第三者に使用を許諾する「再許諾」を得るなどして中継を継続していた。が、2021年4月にFOXがディズニーに買収され、FOXスポーツが東アジアから撤退するなど複雑な事情が絡んでいた。

 それでもF1側と折り合いがついたもようで、2月20日にはダゾーンが複数年契約で放送契約を延長し、2025年シーズンまで日本向けにF1の生配信を継続すると発表。フジテレビも放送権を確保できたとみられている。

 フジテレビも「フジテレビ☆モータースポーツ」の公式ツイッターを通じて「3/3にバーレーンで開幕する2023シーズン、史上最多23レースの熱狂と興奮を全てお届けします!」と報告。2月23~25日にバーレーンで行われるF1合同テストも生中継する予定だ。

 フジテレビは1989年代後半から90年代前半にかけてF1ブームに火を付けた。同局が地上波でF1中継を開始したのは1987年中嶋悟が日本人初のレギュラードライバーとしてデビューした年だ。その後は音速の貴公子と呼ばれた天才ドライバーのアイルトン・セナチャンピオンとしてモータースポーツの世界を席巻。多くの日本人選手、日本企業もF1に参入した。

 ところがホンダの撤退(第2期プロジェクト)、セナの事故死など、日本のバブル崩壊の影響でブームは一気に去った。フジテレビも地上波放送から撤退し、現在ではCS放送に特化している。

 F1関係者は「ホンダは2021年にF1撤退を発表したが、翌年もレッドブルパワーユニットの供給を継続しており、今季からレッドブルパワーユニットの名前も『RBPT』から『ホンダRBPT』に変わる。日本にも潜在的なF1ファンは多いので、中継継続のニュースが届いてほっとしているのではないか」と指摘した。

 ただし、日本のテレビ局のスポーツニュースでのモータースポーツの取り上げ方はいびつで、ゆかりの深いジャンルのみにスポットを当てることが多い。F1についてはフジテレビ系世界ラリー選手権テレビ朝日系オートバイモトGP日本テレビ系とすみ分けができてしまっている。

 高額な放送権なども影響しているとみられるが、モータースポーツが一般になじみの薄い競技になっている一つの要因にもなっている。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

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